~おさっん顔近いですが~
「..い、....丈....か?」
揺れてる?何で?
何かボーッとするようなぁ..
俺どうしたんだっ
バチンッ
「ブッ」
痛っったぁ
「おい、お前さん大丈夫か?」
「へっ」
何かすごく頬が痛いんだけど何で?
「大丈夫かと聞いとるんだ」
「だ、大丈夫ですが」
うわ、めっちゃヒゲ生えてるおっさん顔近い、もしかしてこいつがビンタしたのか?
「そうか、こんな森の中で武器も防具も無しで倒れとったら魔物のいい餌になってしまうぞ」
「はぁ..」
「兄ちゃん、名前は?」
「ご、五島です」
「ゴトーか、わしはゼニスと言うもんだ」
「あ、いえ、ゴトーではなく五島で」
「ゴトー、とりあえずここは危険だから町までもどるぞ」
おっさん話し聴けよ。
「ところで、お前さんは何でこんな森の中で倒れとったんだ」
確かに辺りは木の緑と土の茶色が埋め尽くす森そのもので俺が仕事していた養殖池の中ではなかった。
―――――――
あれは確か....1月の雨が吹きすさぶなかだった、
「いやいやいや、絶対に危ないですから!」
「お前やったらいける」
「風めっちゃ吹いてますし、雨まで降ってるじゃないですか!」
「言い訳ばっかりして、俺らはもっとひどい吹雪の中で作業してたんやぞ」
「いや、谷川さんとは違いますから‼」
「あそこのブレーカー外すだけやから、俺は事務所に用事あるから頑張れ」
「谷川さ~ん、待って下さいって~」
マジかよ、助手しかやったことないけどいきなりこの雨風で一人作業無理だよ
でも、今日は3人しかいないし、昼まで時間ないからどうしようもないよ
「さっぶ、手が震える」
これが、こうなってあれがそうなるから、そしてここを
「あっ」
バチバチバチ
ジジジジジジジジ
バンッ
ドッボーン
―――――――
あー、俺感電して火だるまになってそのまま池に....
死んだのか?
「えっっと、何かよくわからないんでここにいるんですけど」
「なんと、お前さん飛び人か」
「飛び、人?」
「ああ、お前さんみたいに記憶を無くして遠い異国からやってくる輩が4、5年に1度、あるいは100年に1度なりやってくるんだが、それを飛び人とここいらで言うそうだ」
ま、まじで、記憶は在るけどここ外国なのかよ
てか、このおっさん日本語すごく上手いなぁ
服とかなんでこんなの着てるのかな、
映画で昔のヨーロッパ人とか着てた奴っぽいなぁ
えっ、角の生えたでっかい熊いるんだけど
声出すなって、殺されるって
ヤバイ、泣きそう、なんだこれ
「おっ、もう少しで町が見えてくるぞ」
おっさんと森を抜けた先の丘を登りきると、そこには....
「マジかよ、RPGじゃん..」
活気溢れる町と洋風の城がでかでか目に写った。