~自己紹介&プロローグ~
今日も自動起床装置に起こされる。
新しい一日の始まりだ!...とはいっても、これでは寝た気がしない。
まだ夜も明けきらぬ早朝、僕、こと菅原涼介は朝の身支度をしていた。とはいってもここは家ではなく、京里急行電鉄金沢検車区である。今日は始発電車の運転を任されている。お昼前には帰れるとはいえ、睡眠時間がなかなか確保できない鉄道運転士という仕事は中々体にこたえる。
涼介はさっとアルコール検査と時計合わせを済ませ、乗務行路票を持って車庫に向かった。
「さあ、今日もよろしく!」涼介は運転する列車に呼びかけるのが癖になっている。
今日の運転車両は1000形。現在の京里急行の主力車両である。
今日の運用はこれを品川まで運転して、折り返して朝ラッシュの特急をこの金沢文庫まで運転、さらにもう一度折り返して快特を品川まで運転して、もう一度折り返して普通で金沢文庫に帰るという運用だ。
信号が青になる。さあ、今日の仕事の始まりだ。
4時52分、ようやく日が少し覗くようになった金沢文庫駅を、涼介が運転する始発列車は駆け出した。
◇◇◇
ピピピピピピピピピ...
6時30分、いつもの時間に久々に起きられた。なぜか最近目覚まし時計の音が聞こえずに寝坊することがある。重い瞼を開いて、自分をたたき起こすように私、川野夏葉は顔を叩いた。ぼーっとなんかしてられない。早速朝の支度を始めなければ。まだ半年前まで実家で暮らしていたので、家事全般がかなり不慣れだ。だから早く起きないと大変なことになる。
とりあえず夏葉は顔を洗いながら、パンを焼く。はずだったのが...
「あれ、トースターの電源が入らない、えっ、なんで!?」
今日もトラブルだ。
説明書を読み直したり、ダイヤルを回すが、解決しない。
「どうしよう!忙しいのに...」
すると、夏葉の足元にプラグが当たった。
「なんだ、プラグが刺さってなかっただけか...ってこんなに時間取られてたの!?」
時計はもう7時を指している。夏葉は急いでパンを食べ、身支度を整えて家を飛び出した。
「さあ、今日も一日頑張るぞっ!」
夏葉はちょうど来た横浜行きの海浜急行線に飛び乗って、一路みなとみらいのオフィスを目指す。
手にあるのは、一級建築士の検定本だ。「音楽を聞きながらだと集中して勉強できないぞ!」とチーフに怒られたけど、これがないと活字ばかりの検定本なんて読んでられなかった。しかし、目覚まし時計で定時に起きた分、眠気が...
『横浜~、横浜~、終点です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。海浜急行をご利用いただき、ありがとうございました。』
夏葉はこのアナウンスに飛び起きた。
「いけない!勉強中に寝ちゃったんだ!」
夏葉はさっと席を立ち、横浜駅からみなとみらいの小さなオフィスに向かって歩き出した。
初めましてこんにちは。NMと申します。
このような小説の類は書いたことがないので、おかしな部分があるかもしれませんが(あとマニアックな部分があるかもしれませんがw)どうぞお手柔らかにお願いします。
実際にある場所とはいえ、もしかしたら一部違うところもあるかもしれませんが、そこは「物語内の世界はこんな呼び名なんだな」って見なかったことにしてくれると嬉しいです。