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8:バロンとお散歩?

何か疲れたので、そろそろログアウトする?っと尋ねたら、二人に怪訝な顔をされました。

で、良く考えたら、現実では私がINしてからまだ30分くらいしか経過していない事が解っちゃいました。

何という罠なのでしょうか?バロンを宥めるのにあれ程頑張った時間がたった30分、すっごく理不尽ですよね?それで、この世界の事をよく解っていない私を伴って、みんなでお散歩に行く事になりました。


「ヴォフヴォフ!」


もう、相も変わらずバロンは大喜びです。

先程帰って来たばかりのお散歩に、今度はみんなで出かけられるのです。

これで喜ばなかったらバロンじゃありません!


でも、尻尾フリフリでここまで喜びを表現されると、もうこっちまで嬉しくなってきますよね?

釣られて皆も笑顔になります。

そして、バロンと一緒に初めてのお散歩です。もちろん、こっちへ来て以降のお話ですけどね。


「リードはどうするの?こっちに持ってきてないよね?」


「ああ、こっちでは特にリードは必要ないらしい。プレイヤー製の物は発売されているが、そこそこの値段はするぞ?」


リード無でのお散歩ですか、わたしには暗雲が立ち込めているような気がするのですが、お父さんは平気なのでしょうか?

思わずお母さんへと視線を向けましたが、お母さんも特に心配はしていない様です。

ともかく、このままではと、ホームから出てお散歩開始です。


「ギルドには行ってきたんだな?」


「うん、特に何も討伐依頼ばっかりで、特に何かを請けたりはしなかったけどね。ただ広場でペット販売してたのがすごかった」


「あれはなぁ、そうすると美雪はチュートリアル終わった所で止ってるからレベルは4か?」


「うん、そっから全然変わってないけど?」


私の回答に、お父さんはどうやら私のレベル上げを企んでいる?

別にレベル上げに執着は無いっていうか、どちらかと言えばどうでも良い私なのですが、バロンが外で走り回るのに必要となると、ちょっと考えないとですね。


「美雪は嫌かもしれんが、まずはギルドで討伐依頼を受けて、まず目指すはレベル30だな」


「さ、さんじゅう?!」


思わず、返事が片言になってしまいました。


「ああ、このゲームではレベル差が10あれば単体の魔物は襲って来ない、群れていても、まぁ数によるがレベル20離れていれば襲って来ない様になっている。だからレベル30であればこのフィールドで魔物に襲われる事は無くなるので安心だぞ」


成程、理屈は解りますよ、理屈は!

でも、レベル30ってどれくらい戦闘をしないといけないのでしょう?一応15歳以上対応のゲームならではの残酷表現はないそうなんですが、襲われる恐怖とか、生き物を殺す忌避感などは絶対あると思うのです。


「そう心配しないで、お母さんも今日ちょっと頑張って、もうレベル8まで上がったのよ?」


「まぁ今は経験値2倍だからな、サクサクとレベルは上がっていくさ。ちなみに、ペットもレベルがあって、バロンはすでにレベル10だぞ?」


ニヤニヤ笑いを浮かべながら、お父さんがバロンの頭を撫でるのですが、それでも、何となく忌避感はあるのです。ただ、このまま外でバロンと遊べないのは辛いので、とにかく一度チャレンジしてみる事にします。

その後、未だに即売会を行っている会場へと意識を持って行かれそうな所、理性を総動員して何とかギルドへと入ります。そして、一連の討伐依頼を受注、村から外へと足を向けたのです。


「さあ、ここからは魔物が出る危険地帯だからな。不用意に近づかなければ襲ってはこない魔物が殆どだ」


「殆ど?例外もいるって事?」


「ああ、なぜか角ウサギでも何もしていないのに襲ってくる個体もいる。だから油断は出来ない」


お父さんの言葉に、わたしは大きく頷いてアイテムボックスから武器となる装備を取り出した。


「・・・・あ~~その~~、美雪さん?その手に持っている物はなにかな?」


私が戦闘態勢をとる傍らで、お父さんが何故か途方に暮れた表情でこちらを見ていた。


「ん?え~~っと、武器?チュートリアル済んで渡された物?」


「ごめん、うっかりしていたんだが、職業は何を選んだんだい?」


困惑した様子で尋ねてくるのですが、まぁわたしもこれって武器か?っと疑問をもっているので気持ちは何となく解る。


「育成士?」


「・・・・・え?」


「だ、か、ら、育成士」


わたしの回答に、困惑を隠せない様子のお父さんなのですが、何か問題があるのでしょうか?

本当は、ブリーダーとかあればいいなぁって思っていたのですが、案の定無かったのです。で、テイマーにしようかと思ったのですが、今度は従属や使役という単語にちょっと拒否反応を。

で、今回の統合に合わせて作られた新職業、育成に特化しているのだそうです。ただ、文字で選んで、初期装備アイテムを見て気が付いたのですが、この育成って、多分植物っぽいのですよね。


武器?の初期装備がなんと、スコップなのです!


最初、アイテムボックス内に他に何か無いか探しちゃいましたよ?

普通の人がスコップ見て武器だと思いますか?思うはずないですよね?


とにかく、今の私は雄々しくスコップを構えているのです!

やはり、スコップですから重視するのは突きの動作でしょうか?それとも、斬る動作でしょうか?

悩みどころなのです。


「あ~~その~~、美雪?なんでそんな難易度高い職業にしたのかな?育てば育成士は結構汎用性があるらしいんだが、レベル50くらいまで育たないときついらしいぞ?」


「え?ただ単に名前に釣られただけなんだけど」


「そうねぇ、お母さんもちょっと悩んだわ。でも、お父さんから魔術師を薦められてたから選ばなかったけど」


お母さんから思わぬ情報が!なんとお父さんから職業選択に関してのアドバイスがあったみたいです。


「勘違いするなよ?他のプレイヤーの動画を見ててお母さんが選んだんだからな。おれは押し付けはしない、自分で選ばないと楽しくないと思うからな」


「うん、それは私もそう思う。まぁ遊んでみないで失敗も何もないしね」


とにかく、手に持ったスコップをブンブンと振ってみます。


「ヴォン!ヴォン!」


バロンが待ちきれない様子で、はやく、はやく、といった感じで皆を急き立てます。


「まぁ、行くか」


お父さんの声で、外の草原を進んでいくと、前にひょっこりと角のあるウサギが現れる。


「うわぁ、角のあるウサギだ!違和感すっごいね!」


若干テンションが跳ね上がります。

そんな私を他所に、バロンが一気に飛び出しました。


「おおお!バロンが鳴かない!」


狩だと解っているのか、無言でバロンが駆け出すのですが・・・


ドテドテドテ


うん、なんというのでしょうか?ぜんぜん緊迫感が無いです。

本人は必死に走っているのかな?でも、素早さないよね?なんかドテドテしてるよね?

という感じです。そのせいか、何となくほのぼのしてしまいます。


そして、ウサギは一瞬バロンへと視線を向けた後、さっと草むらの中へと飛び跳ねて行ってしまいました。

もちろん、バロンは置いてきぼりです。ウサギがいた場所で、せっせと匂いを嗅いでいます。


「これって、匂いを辿って・・・・」


逃げたウサギを匂いを辿って追い詰めていくのかな?っと期待したのですが、フンフンと匂いを嗅いで満足した様子のバロンが、尻尾をフリフリ此方へ戻って来ました。


「うん、何となく解ってた」


華麗な狩をバロンに期待した私が悪いのです。

そうですよね、自分でも出来ない事をバロンに求めてはいけないのですよね。


「ふむ、よし、美雪、お前が先行してみなさい。何かいたらこっちに合図をしなさい」


「わかった、とりあえず前行くね」


あの可愛いウサギに向け暴力を振えるかは別として、とにかく前へと進みます。そして、草を掻き分けながら進んでいくと、今度はやたら痩せ細った犬が出てきました。


「うわ!なにあの犬!すっごい痩せちゃってる!」


わたしがそう叫ぶや否や、野犬は何を思ったか私へと外見から想像できないほどの速さで突撃してきます。


「え?」


スコップを構える時間すら無く飛び掛ってくる野犬を、とっさに身を屈めて回避しました。


「怖!すっごい怖い!」


「美雪!攻撃するんだ!」


尚も叫び続ける私に、お父さんがそう叫びますが無理です!

一般人に何を求めるのですか!ゲームとはいえ、思いの外リアルな野犬の姿にとっくに私は怖気づいているのですよ!


「無理無理~~~、怖いよ!むっちゃ怖いよ!」


出鱈目にスコップを振り回しながら叫ぶ私を、明らかに狙っている野犬さん、私は美味しくないですよ?


「ヴォン!」


そんな私を守るかのように、力強い吠え声を響かせバロンが野犬に飛び掛って行きます。


「バロン!」


すごいです、体の大きさでは圧倒的です!でも、素早さでは圧倒的に負けてますが。

ただ、バロンの乱入で、相手の野犬の意識はバロンへと向かいました。助かりましたよ!

バロンは、いつもの飛び掛りますよっといった頭をぐっと下げたポーズで野犬に身構えますが、野犬はバロンの後ろへと回り込もうとして、そのせいでドテドテとバロンは向きを変えます。そして、また身構えるのですが・・・なんでしょう、どちらも同じ動作を繰り返してぐるぐる回っています。


そして、何度目かの野犬の後ろ姿が私の目の前に・・・・


えっと、ほい!ギャン!


手に持っていたスコップを、目の前にいる野犬に投げつけました。


「ヴォフ!」


悲鳴を上げて動きが止まった野犬に、漸くバロンが飛び掛り押し倒しました。そして、そのまま首元をガブリ!あぅ、なんか見たくないような、そんな事を思う間もなく、野犬は光の粒になって消えていきます。


「初討伐おめでとう!」

「美雪、おめでと~」


「ありがとう?」


お父さんとお母さんが喜んでくれますが、なんか釈然としません。

でも、まぁ良い事にしましょう。ともかく、投げつけたスコップを拾って、次に備えるのです。


そう、次こそはがんばりましょう。でも、牙を剥いて飛び掛ってくる野犬は本当に怖かったのです。

感想&誤字の御指摘ありがとうございます。

どこかで時間を見て訂正させていただきます。


本文書くだけで余裕が無く、簡単な誤字訂正すらやれてません。

っていうか、これ書いている間に訂正が出来るような・・・


と、ともかく!取り急ぎお礼を!m(_ _)m


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