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5:不必要なイベント

一息ついて、お父さん達を追いかけRPGへとINします。

リアルで2時間以上時間差がありますから、あちらでは16時間くらいのズレが出ているのでしょうか?

もしかすると、そろそろ一旦ログアウトしてくるかな?

まぁそれならそれで、入れ違いになるかもですがとにかくINしてみましょう。

私を置き去りにした薄情な両親より、初めての場所できっと不安いっぱいのバロンを重視です。

という事で、とにかくINしてみましょう。


確かINした時の出現場所はログアウトした場所になるはずです。

前回、チュートリアルを終わらせた後、ホームに戻ってログアウトした記憶が有ります。

ですので、INしたら即お父さん達が、まぁいなくてもバロンはいると思っていたのですが、なぜか誰もいません。


「あれ?」


思わず声が出てしまいました。


「どっかバロンを連れて出かけたのかな?」


ともかく、チャットで呼びかけてみると・・・


「あれ?反応がない?こまったなぁフレンド登録してないからINしてるのか状態が解んない」


あちらの動きが解らないと、動きようがないです。

ファミリー登録でホームが関連付いているので、その部分から何とか解らないかと思うのですが、残念ながら解らないですね。


「はぁ、ここに居ても意味がないので、とりあえず噂の冒険者ギルドまで向かってみましょう。他の人のペット達がどうなっているのかも見れるかもしれないですし」


ブツブツとそう呟きながら、ホームから外へと転移です。


転移すれば、目の前にはレンガ造りの家々、もう気分はヨーロッパです。もちろん、リアルで行った事は無いのですが、ほら、フランスやスイスとかの昔の街並みってこんな感じかな?って。

まぁ、ここで木造瓦屋根、純日本となると違和感が凄いと思うのです。

ファンタジーはやはり西洋風ですよね!きっとバロンに似合うはず!ここが一番大事ですね。


周りの景色?街並み?を見ながら、チュートリアルで行った冒険者ギルドへテクテクと向かいます。

まぁそんなに急いでいる訳ではないので、比較的のんびりと周りのお店など見ながらです。

そうすると、至る所にリードを付けた犬や猫を連れている人がチラホラ見れます。


「動物ライフから来た人かな?」


そう思いながら、ギルドのある広場に辿り着くと、広場全体に人人人の大混雑!


「・・・・か、帰ろうかな」


思いもよらない人混みに尻込みしていると、何やら掛け声が聞こえます。


「犬専門ですよ~可愛いパートナーはいかがですか~」


「うちは猫だよ!思わずデレッデレになっちゃうほど可愛いよ~」


その掛け声を辿って視線を向けると、何か天幕が見えます。

そして、その掛け声に誘われるようにして、向かう先はもちろん犬の天幕です!


「ふわぁ~~何これ、天国?」


人を掻き分けながら進み、ようやく天幕が見える位置へと来ると、そこには色んな犬種の子犬がヨチヨチ、タパタパ走り回っている様子が見えますよ!テンションだだ上がりです!


「ほわ~~、(ゴツン)痛っ!」


何という事でしょう、その天国の様な光景に誘われるままに進むと、目に見えない壁に顔面から激突しました。ぶつかった鼻と額を押さえながら、何が起きたのか確認しようとすると


「あ、気を付けてね!物理結界が張ってあるから許可が無いと入れないからね」


天幕の横に立っている女性に注意を受けてしまいました。ただ、どうせならもう少し早く言って欲しかった。


「う、ここに入るのはどうすれば良いのですか?」


「ここはペット即売会なんで、購入の意思があれば左の天幕で入場券が売られています。実際にペットを購入した場合、その分の金額は値引きされます。買わないとそのまま入場券代がかかります」


「ええっと、買う気が無い人お断り?」


「です」


満面の笑みで答える店員さん?を、つい恨めしそうに見てしまいます。

バロンがいるので他の子を更に購入する事は難しいと思います。あの子は結構内弁慶で外では大人しいですが、家の中では結構暴君ですし。


それにしても・・・・子犬は脅威的な可愛さです!ハートがグラグラ揺さぶられちゃってます。

柴犬の子犬がトテトテ走ってるんですよ?他にも、あ、あれは秋田犬?トイプードル?ああ!あれはビジョンフリーゼです!むぅぅ、フンフン匂いを嗅いでクルクル廻ってるんです。お互いにコロコロじゃれ合ってるんです!


「こ、この誘惑は・・・」


思わず、息をハアハアさせる私ですが、すべては子犬たちが悪いのです!

動揺している私は、ただその一瞬後、私目がけて走ってくる(ように見える)子犬を見て、デレっとした瞬間、一気に魅惑の魔法を振り切りました。

もう、背中に氷を入れられたかのように、一気に目が覚めたんです。


「・・・うう・・・20万G・・・」


別の子を見ても、皆15万~40万Gくらいのお値段です。


そ~~っと、自分のステータス画面を覗きますと、左下にある所持金表示は1千G・・・。

は、始めたばかりで、チュートリアルで貰った1千Gが有るだけです。


チラッっと子犬を見ると・・・ハァ。あ、今度は溜息ですよ?

とにかく、今のわたしにはとても手が出ません。しかも、楽園への立ち入り料金はなんと、10万Gだそうです。基本購入希望者のみ中へと入れるのだそうです。


「は、入れたって、お金があったって、バロンがいるから買えなかったもんね」


ま、負け惜しみじゃないんですよ!

わたしはバロン一筋なんです!他の子に浮気なんかしないんです!

と、とにかく視線をなんとか冒険者ギルドへと向け、この魔の領域から脱出しないと。

ギルドへ入るまでにも、幾人もの人達が、楽園の中へと入っていく姿が見えます。


く、こ、これが格差社会なのですね!


断腸の思いで冒険者ギルドへと入りました。

そして、入ったのは良いのですが。


「何のためにギルドに来たんでしたっけ?」


「どうかされましたか?」


何か呆然と立ち尽くしていたら、一人の女性に声を掛けられました。


「あ、いえ・・・」


とっさに女性を見ると、明らかにお金が掛かってそうなっていうか、なんかテレビアニメで良く見る、非機能性抜群のヒラヒラした白と赤の鎧?を来た同年齢くらい?の女性がいました。


「す、すごい恰好ですね」


「へ?!」


「いえ、ヒラヒラゴージャス?流石はファンタジーかなって」


あれ?この人何か顔を引き攣らせてません?


「あ、その、誤解しないで!別にその恰好が恥ずかしいとか思ってる訳じゃないんです!このゲーム始めたばかりでまだ慣れてないだけで!」


なぜでしょう、話せば話すほどこの方の表情が・・・


「ご、ごめんなさい?別に悪く言ってるつもりはないんです」


「は、ははは、そ、そう、とにかく、入り口付近で立ち尽くすのは危ないからね。何か用事があるなら移動した方がいいよ」


その、ヒラヒラ金魚さんはそう言うと、入り口から外へと出て行かれました。

え?なぜヒラヒラ金魚なのかですか?ほら、白と赤のヒラヒラした鎧?を着ているのですから、もうイメージ金魚ですよ?

ともかく、これ以上周りに迷惑を掛けない内に、今どんな依頼が出されているのか確認をしましょうか。


「・・・」


おかしいです。目につく物は、ゴブリンの討伐、ベビーウルフの討伐、ホーンラビットの討伐、見る物すべて討伐、討伐、討伐なのです。


「さ、採集依頼などがまったくないのです」


思わず声に出してしまいました。

いえ、前にチュートリアルをやった時は、確かに依頼は討伐系が多かったんですが、採集依頼もそこそこあったのですが、が、が、なぜかぜ~~んぜん無いのですね。これは嫌がらせなのでしょうか?


「あ~~、採集依頼は当分ないと思うぞ?」


「え?なんでですか?」


後ろに立っていたこれまたファンタジーな格好をしたお兄さんに聞きますと。


「一昨日から初心者歓迎キャンペーンで、この街周辺の魔物が経験値2倍、ドロップ率2倍、クエスト経験値も討伐系で経験値2倍になってるから、ここで一気にレベルを上げましょうってなってるな」


「が~~~ん!」


思わず声を出してしまいました。なんですかそれは!誰もそんな殺伐イベント望んでないのですが!

と、ともかく、一旦ホームに帰りましょう、そうしましょう。


お兄さんにお礼を言って、その場を離れようとしたら更に情報が。


「既存のプレーヤーも今セカンドとか育てる良い機会なんで、人が結構集まっててPT組みやすいから、PT募集は南門外でやってるから行ってみるといいぞ~」


「あ、ありがとうございます」


お礼を言って、わたしはホームへと足早に戻るのでした。

バ、バロンが出てこないなんて!(ぇ

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