表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/16

2:うちの子は可愛いのです


「うりゃ!」ハグハグ


「ほりゃ!」ハグハグ


「うにゅ~~~」ウウウ~~


動物ライフでバロン相手にストレス発散中!

白い縄のような物をバロンと引っ張りあってます。

これって結構力がいるので、それがストレス発散に大活躍なのです。


「うお~~~・・・ハァハァ」


現在6連敗中の綱引きだったりします。


ヴォフ!


うん、勝ち誇った顔で縄をモコモコカットの前足で押さえてるバロン!

前髪が垂れ下がって普段は目は隠れているのですが、その前髪の隙間から見える眼差しもすっごいキュートなのです。まぁこれに関しては家族で意見は分かれるのですが・・・。


ともかく、思わずバロンの横に腰を下ろして背中をなでなでします。

う~ん、くせっ毛なのですが、それでもサラサラです。でも、あとでブラッシングしないと駄目ねこれ。


以前、あまりブラッシングしないで放置していたら、それはもう下毛がフエルトの様になっちゃって、あわてて美容院へ持ち込んだんですが・・・出てきた犬を見て吃驚!


すっかり丸刈りされたお姿は、まったく別の犬種になってました。

あれはあれで思い出深いのですが、あれ以降はきっちりブラッシングをするようにしました。

少しでも時間を置くとブラシの通りが悪くなって、バロンが痛そうな顔をするのです。


「う~~しかし、どうなっちゃうのかなぁ」


ぼ~~っとしててもバロンといると、どうしても思考は年末の事を考えてしまいます。

最悪は統合されてもバロンが残るのなら我慢します。ただ、RPGの方は8倍速なんですよね。

そうすると、3時間INしないだけで1日が過ぎてしまいます。

そうすると学校へ行って、夕方帰ってくるだけでゲームでは2日間が過ぎてしまう事になるのです。


「それはそれで由々しき問題ですね」


わたしがそう呟くと、バロンが”なぁに?”といった表情で下から私を見上げてきます。


「あ~~~~、可愛いです!なんですか、その表情は?!」


思わずバロンのふわふわの首に抱きついちゃいます。


ヴォフ!


バロンは、遊んでくれるのかと尻尾ブンブンさせて逆にのしかかって来ます。


「きゃ~~~」


顔中がべろんべろんに舐められます。涎ダラダラです。

こんな所まで再現させなくてもいいような?っとこれはいっつも思いますが、それでもバロンと一緒に庭をゴロゴロ転げまわります。


そんなこんなでバロンのモフモフを堪能して、体を起こして今度は走り出します。


ヴォン!


バロンもすぐに追走です。

うちの庭には、囲むようにぐるりとドッグランが作られています。山あり谷あり更に小さな川まであって、ただ走るだけでなく楽しめるようになってます。


でも、ここでいくら走っても現実では1kgも痩せないのですよね・・・・

この点だけはどうせならリアルでオールドが欲しいなぁと思う理由の一つです。


「はぁはぁ」


ドックランで一通り走った後、のんびりまったり家のリビングで体を休めましょう。

なぜかゲーム内でも疲労、息切れなどが起きるので、クールダウンは必要なのです。


「う~んと、お水と、氷を2個入れましてっと」


バロン用の水入れに、氷を2個入れてあげます。

少しでも冷たいお水が飲めたほうがいいかな?との思いなのですが、


バリゴリ、ガジガジ


あっという間に氷だけ噛み砕かれています。

まぁ、いつもの事です。


お水をバロンが飲んでいる間に、私は横でタオルを持って待機です。


「ん、飲み終わったかな?」


バロンが、飲み皿から頭を上げて、おっきくて真っ黒でプリティーなお鼻を突き出してきます。


「ハイハイ」


手に持ったタオルで口と、口の下をゴシゴシと拭いてやります。

口?顎?とにかくその辺りが涎焼けして変色しやすいのです。だからキチンと拭いてあげないとです。


「うん、キレイキレイになりました!」


そういって頭を撫でてあげます。

お利口にしたら、褒めてあげるのは躾の基本です。


「さて、ご飯の用意をするので、のんびりしててね」


リビングから台所へと向かうのですが、相も変わらず私の後ろについてきます。

そして、冷たい台所の床にどべ~~っと寝転がります。


「・・・・邪魔よ?」


そう言ってもまったく意に解した様子は無く、寝転がって見えるようになった目だけがギョロっと私を見るのです。


「はぁ、こんなに可愛いのに、なぜ目だけが怖いのかなぁ。白目部分がちょっと多い?」


そうなのです。こんなにも大きくモコモコでフワフワで、サラサラで、手先も足先もプックリモコモコカットで、何処からどう見ても可愛い事間違いなしのバロンなのですが、目だけがちょっと怖めです。


まぁそんな所も可愛いのですが。うちの子の特徴なのですから、それはそれで。


とにかく、ドライのドッグフードをカップで掬って、お皿へと入れます。

そこに、煮干しを数匹取り出して、手で砕きながら入れてやります。


しかし、ここまで来るともう、リアルで飼っているのと殆ど変りないのですよね。

その殆どが問題で、実際に飼うには難しいのですけどね。

ただ、ここまで作りこまれたプログラムが、そのまま移行されるのでしょうか?

思いっきりその部分が心配なのです。


「まてよまて」


「はいお手」 バシッ


「おかわり」 バシッ


「お廻り~~お廻り~~」 ドタドタドタ


「はい、伏せ」 ドスッ


「まだよ、まだ待てだからね。1、2、3、4、・・・9、10!はい良し」ヴォヴォ~~ン、ヴォン!


良しの掛け声でがつがつとご飯を食べ始めます。うん、今日も健康だね!


「バロン、そしたらお姉ちゃんはちょっと席を外すからね、後でまた来るからね」


クォン?


うみゃ~~~なんですか、その可愛い仕草は!ちょこっと首を傾げるなど、なぜこんな可愛い仕草を教え込んでしまったのでしょう!可愛すぎます!過去のわたしグッジョブです!


一人でイヤンイヤンと悶えている傍で、バロンはご飯を食べ終わってしまいます。

で、悶える私に向かって・・・ バシツ!


「う・・・結局それね」


首を傾げて可愛く鳴いたらクッキーが貰えるのです。

そして、よく出かける前にそれをしてたので、学習したのですね。


クッキーを一個お口の前に持って行くと、ガブッっと・・・


おっきなお口ですね、ともかく、ログアウトしましょう。何せ、自分のリアルでのご飯を作らねば。


◆◆◆


チャーハンとベジタブルスープ(缶詰)で簡単な夕飯を食べ、洗濯機を回して簡単に部屋に掃除機を掛ける。何となく日課になってて、やらないと落ち着かないのですよね。

で、気が付けば時間はすでに夜9時に近くなっています。もっとも、特に用事の無い日はこんなもんですけど。


ヘッドギアを手に取って、いそいそとベットに横になります。

それにしても、これが花の女子大生の生活なのでしょうか?

昔想像した生活と、大きく違いますが?


大学受験の前に参加したVR専用の進学塾も、子供の頃に想像なんか出来なかったですけどね。

だって、学校から帰って、更にVRで8時間のお勉強です。信じられますか?

下手すると、高校での授業より長いのですよ?

VRの技術進歩に対し、もっとも影響を受けた内の一つが勉強時間だと思います。


VRの塾に通っている子と通っていない子の学力格差は中学での成績で大きく差が付きました。

うちは早くからVRをやっていたおかげで、2倍速、4倍速、8倍速と進んだ時も順応性は比較的良かったのですが、中には突然8倍速の塾に行ったせいで体調を崩す子も多発しましたからね。


テレビやネットでも、色々騒がれましたしね。倍速の世界に慣れてしまうと、倍速で老化するとか、あとは脳が焼き切れるとか、色々な噂やデマも流れましたし。


まぁ今日は9時半からアルバイトですから。

もっとも、週2回VRで中学生の家庭教師、リアル時間で1時間、VRで4時間(内休憩30分×2)ですから、移動などのタイムロスもないのですっごい楽ではあります。

一応、中学生なので4倍速までにされてるみたいですけど、来年は8時間になるのかなぁ?でも、リアルでは1時間なのでアルバイト料の上りはそこまでは・・・なのです・・・。


暗い話になってしまいました。

とにかく、用意してあったお勉強道具をデーター取込みしてログインします。


でも、1倍速、4倍速、8倍速って良く頭がおかしくならないですよね、人間の脳は凄いです。

オールドの可愛さが万分の一も伝わっていないかも><

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ