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閑話:VRMMORPGって不条理です!

VRMMORPGへと引っ越してきてそろそろ1ヶ月が過ぎようとしています。

そんな中、私はいつものように学校から帰って来てログイン。バロンとお散歩です。


「バロンのお嬢ちゃん、いつものお散歩か?他の3匹はどうしたね?」


バロンを連れて街を歩いていると、いつもお肉を買うお店のおじさんに声をかけられました。

だいたいこの時間にオールド4匹を連れてのお散歩なので、何となくこの街の名物的な扱いを受け始めています?何か運営からも公式HPに紹介されちゃいましたし、ちょっと有名人さんのバロンです。


「あ、はい、今日は両親が遅くなるので私一人で一頭ずつお散歩なんです」


「ああ、そうか、お嬢ちゃんももう少しLv上げたらどうだい?」


「あはははは、よく言われるんですけどね~」


おじさんの問いかけを笑ってごまかしながら、私はそのままバロンに引っ張られていきます。


「またな~~」


「は~~い」


日常的な会話はいつもの事です。街を歩けば誰かしら声をかけてくれます。


「う~~、広いお庭が欲しいです」


以前のゲームと違い、この世界ではお庭で思いっきり遊ばせる事が出来ないのが痛いですね。

お父さんは時々バロン達を連れて狩りに行くせいで、ただでさえ私より力のあるバロン達が今では私ではとても逆らえない力です。そのせいで今ではバロン達が満足するまで延々とお散歩、帰ろう?と言ってもぜんぜん駄目!ぼんぼん体当たりされると私がコロコロ転がる始末です。


「バウバウ!」


「ん?バロンどうしたの?」


外では滅多に鳴く事が無いバロンが突然吠えたので、びっくりして見てみると、向こう側からお隣のラブラドールのブラボーと飼い主さんが連れだっててやって来るのが見えました。


「おや、バロン一人でお散歩?」


「はい、今日の当番が私一人なので」


「ああ、なるほど」


こちらの事情をよく知っているおじさんが、バロンと私を見て笑います。うん、バロンだけでも私が力負けしているのが解りますもんね。バロンはと言うと頭を低くしてお尻をつんと突き出してブラボーに遊んで、遊んでと秋波を送っていますが、ブラボー君の反応は今一つ?


「ブラボー君はお散歩の帰りですか?」


「ええ、草原で遊ばせて来ました。この時間だと他のワンちゃんも来てましたよ」


ぬぬぬ、他のワンちゃんがいるなら十分に遊ばせる事が出来る・・・出来るのですが・・・時間が!

私一人であと3匹ですよ?一匹にそれ程時間を掛けれないのです。もちろんバロンと思いっきり遊びたいのは遊びたいのですが、リアルでの用事という物ももちろんありまして。


「あ、あはは、今日は止めときます」


私の表情で察してくれたのか、ブラボー君のご主人様は、笑いながらブラボー君を連れて帰って行きました。そうなのです、帰って行っちゃったのです・・・遊ぶ気満々のバロンをおいて!


「え、えっと、バロン?ほらお散歩お散歩、ほら、街をぐる~~っと廻ろうね」


そうです、当初の予定では家を始点にぐる~~っと街中を円を描いて廻ってお家に到着という計画を立てていたのです。立てていたのですが・・・・。


ズリズリズリズリ・・・・


「あ、バロン、駄目、駄目だったら、今日はそっちには行かないの、行かないんだって」


バロンはブラボー君に会ってその来た方向、すなわち草原の方向へと歩きはじめました。全力で足を突っぱねて引き止めを図る私ですが、まったく無駄な抵抗?それこそ道に私の足の跡がずずず~~っと線を引いてます。


「バウバウバウ!」


うきゃ~~~、駄目ですって、駄目なんです!草原なんか行ったらバロンはぜんぜん帰ろうとしないじゃない!他の子がお散歩いけなくて大騒動に!


”うわ~~ん、お母さん駄目だ~~バロンが草原に行っちゃうの止めらんない~~~”


急いでメールでお母さんにヘルプを出します。問題発生時は速やかに!


”頑張って~~、お母さんまだちょっと帰れないわぁ”


「ふぎゃ~~~~~」


お母さんからメール着信が!着信は良いのですが、内容が期待してたのとぜんぜん違うんです!


「バロン~~~お願い~~~」


「ヴォン?」


くわぁ~~何ですかそのどうしたの?という首を傾げるその姿!相変わらずラブリ~~全開!思わずバロンを抱きしめてしまいます。


「うわ~~ん、モフモフだよ~~~」


「ヴォフ」


バロンのモフモフを堪能しようとしたら、バロンの黒くておっきなお鼻で押されて引っ繰り返っちゃった?

あ、拙いです。この展開は拙いですよ?


「ヴォン!」


「ふぎゃ~~~」ズザザザザ~~


バロンの無駄に丈夫なリードにしがみ付いた状態で、駆け出したバロンに引きずられます。


「痛い、痛いっていうか熱い!うわ~~~ん、とまって~~~」


背中が地面との摩擦で熱を発してる気がしますが、こんな所まで再現しなくて良いと思うんです!

そんな私に、街の門番さんが笑いながら手を降ってくれます。


「うわ~~~ん、笑ってないで、と~~~め~~~て~~~」


ズズズズズズズ~~


草原に入って草の絨毯の上をバロンに引きずられていきます。そして、進行方向から犬達の鳴き声がきこえてきました。


「ああああ~~~ついに来ちゃったよ~~~」


「ヴォンヴォン!」


すっごい嬉しそうなバロンの鳴き声と、すっごい悲しそうな私の叫び声が響き渡ります。

漸く止まってくれた元気百倍のバロンに対し、わたしはセーフティーゾーンから出ても引きずられていた為HPまで半減してそれこそ満身創痍!


「ううう、こうなってしまっては仕方がない」


リードを首から外してバロンを自由にします。

私の様子を見ていた他の飼い主さん達が集まって来て、優しく私を起こしてくれます。併せてヒールも掛けてくれて、みんなの優しさに涙が出ますよ。


「バロンのお嬢ちゃん、すごい登場の仕方をするねぇ」


「ごめんなさい、おばさん久しぶりに此処まで笑ったわ」


集まった人たちが思い思いに声を掛けてくれますが、私はもう恥ずかしさで恐らく顔は真っ赤?

ただ、ともかく皆さんにお礼を言って、バロンの様子を見ます。一応ここは通常フィールドで、HPも減るし、死亡もありえるエリアですから。


「バロンちゃんは元気ねぇ」


他所様のお犬様に、いつものように頭を低くして、お尻フリフリ遊ぼうアピール!

近くでおっきな前足で伸し掛かり、首をグリグリして強引に遊びへと誘い込みます。うん、でもバロンよりも相手のゴールデンの方がレベルが高いのかな?バロンのハグハグ攻撃を簡単に躱してバロンが逆にサイドから伸し掛かかられてます。


「うわぁ~~~、健太郎君強いですね。バロンが相手になってないわ」


「ああ、今日Lv30まで上げてきた」


健太郎君の飼い主のおじさんが笑いながら答えますが、Lv30ってここの草原の適正Lvは1~10ですよ?何と言ってもスタートの街ですから。ちなみに、バロンはLv17で、私はLv10で止ってます。


「すごいですね、Lv30ってことはサードまで行きましたか?」


「ええ、今日知り合いと一緒に」


何かおじさん達が和気藹々と犬そっちのけで情報交換をしています。

でも、セカンドとかサードとか言いますが、私はこの街しか知りませんよ!だって、バロン達と遊べれば良いのですから。


「そういえば、各街をメインにしたイベントがあるそうですね」


「ああ、公式に出てましたね」


「ペットを題材にしたイベントありましたよね」


ん?ペットのイベントですか?聞き捨てならない情報です。


「ほら、要望が結構あったので、庭をつくれるようにするとかしないとか」


「に、庭ですか!庭が作れるんですか?!」


思わず叫んじゃいました。庭です、バロンをかつてのようにお庭で遊ばせる事が出来るんです!

私だって思いつくたびに運営へと要望を送りましたとも!それが、それがついに実装ですか!


「ああ、何かゲームランキング制度を強化して、上位は庭付きの家に住めるとか」


「な、なんですと!」


あまりのショックに私は絶句します。ゲームランキング上位・・・私に最も縁のない話ではないですか。

呆然とする私を他所に、バロンは今度はビジョンフリーゼのポワちゃんにちょっかいを掛けてひっくり返されてました。


「ヴォフ?」


バロン、あれ?って顔をしてるけど、この世界は見かけで強さが決まらないのよ?

突然のようにバロンが書きたくなっちゃいました><

言い訳はしません、バロンが、バロンが書きたかったんです!

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