12:終わりの近い日常の一コマ
気が付けば、もう12月も中旬です。
大学は2期制なので試験などに追われる事は無いのですが、なぜか日々追い立てられる気がするのは流石に師走という所なのでしょうか?
先日、初めて大学の友人たちとVRスキーを楽しんできました。
体感設定によるのですが、寒さも、雪の冷たさも、本当にスキー場に来たかのようにリアルで驚いてしまいました。今まで、なんか嘘っぽい?といった気持ちが有ってVRスポーツなどは殆ど遊んだことが無かったのですが、価値観が根底から変わってしまいました。
子供連れのご家族も結構お見かけしたのですが、VRですから子供が怪我をしたりしないなどの安心感もあるそうです。ただ、これでよくリアルのスキー場経営が成り立ってるなぁと思ったら、スキーが本当に好きな人とかはやっぱりスキー場に来られているそうです。
そうですよね、海外旅行とかもそうですが、夏休みや冬休みの思い出が、家族みんなでVRで何処何処行きました!て発表は結構悲しい物があるようなないような?
せっかくだから子供の頃は実際の場所や体験をして欲しい物ですよね?
ちなみに、生まれてからまだ2回、もちろんリアルで、しかスキーに行った事のない私は思いっきりスキーの滑り方を忘れていました。
ハの字にしてゆっくりと降りてくるのですが、ターンするときにどうしてもスキー板?が揃ってしまうのでスピードが・・・。
結局すぐに転ぶことになっちゃうんですよね。ある意味ゲームなのですから、スキル補正とか欲しかった!
みんなに教えてもらいながら、ゲーム内時間で数時間滑って何とか恰好が付くようになったんですけど、これってゲームじゃなかったら体力的に厳しかったかも。
ゲーム内でみんなで思いっきり遊んだ!スキーはしばらくは滑んなくてもいいかも!って言えるくらい滑っても、現実時間で一時間経ってませんでした。もっとも、その後はみんなでVR内ショッピングで更に楽しみました。こちらも、ネット内で自分のサイズに合った服を買うと、後で郵送されてくるんです。
VR内とは言え、実際に着てみて自分に似合うかどうかなど確認出来るので今や買い物の主流ですよね。
ある意味、VRってどんどん日常に浸食してきてますね。
あ、ちなみに残念なことに動物ライフでスキー場はありませんでした。
高原などの遊び場はあるのに何故に!
と思ったのですが、どうも雪の再現に思いの外容量がなどで断念したような記述が公式Q&Aに。
まぁ確かにペットと遊ぶのに別にスキー場は・・・あれ?ペットにペンギンとか居なかった?
「お父さ~ん、ペンギンって飼えなかったっけ?」
「ん?突然なんだ?」
「雪の再現がどうこうって公式に書いてあるから、ペンギンとかってどうしてるのかなって」
私の言葉に、お父さんは納得した表情です。
で、ハウス改装カタログなどをゴソゴソ出して来て、ペンギンライフのページを開き眼前に。
「あ、そっか、氷が主体なんだね」
そこにはガラスで囲われた大きな水槽?と南極のように白い氷で作られた台?まんま水族館のペンギンコーナープラス氷ですね。雪は欠片も存在しません。
「知り合いが飼ってるが、雪自体はなんとなく細かな氷といった感じらしいぞ」
「そういえば、ここって冬でも雪積もった事無いよね?」
「クリスマスに降るちゃ降るが、積もらないからな」
VRで雪をリアルに表現するのは結構容量を取るのでしょうか?雪に戯れるバロン!むぅ見てみたいかと問われれば思いっきりカメラ構えてYESという自信があります!
カタログを更にパラパラと捲れば、他にも色々な設備があります。どうせなら最後に色々家の設備を変えてみても良かったかも?
「そういえば、うちってプール作らなかったね」
「まぁ、わざわざVRでプール作って泳ぐのもな、ましてやお母さんや娘の水着見るのもなぁ」
お父さんの返事にこっちはプンすか怒っていると、いつの間にかお父さんの背後にお母さんが・・・
「貴方、ちょっとお・は・な・し・しましょうね」
うん、満面の笑みで声を掛けるお母さんですが、うん、目がツンドラの様ですね。
でも、どうやって会話を聞いていたのでしょう?とても聞こえる距離にはいなかったと思うのですが。
ともかく、お気に入りのクッションに頭を突っ込んで、一応隠れているつもりのバロンを誘ってお散歩に行きましょう。バロン?そんなに怯えなくても平気ですよ?被害はお父さんで止るのですから。
とにもかくにもリードを付けてお散歩に出発しましょうか。
威圧?恐怖?ともかく怖い場所から解放され、ちょっぴりテンション高めのバロンを連れて、近くのお池にお出かけです。ここも、春には桜が満開になってすっごく綺麗なので、毎年家族みんなでお花見に来ていたものです。それももう出来なくなるんだなぁ。
「思えば、この動物ライフの世界で育ったようなものだよね。何かあればINしてバロンと遊んでたよね」
動物ライフでは、後半は特にすごいアップデートなどはありませんでした。でも、日常とはそういう物なんだと今なら思えます。人によっては所詮ゲームでの出来事と言うのかもしれませんけど。
でも、初めてバロンと出会った時の嬉しさは今でも覚えてますよ。
池周りの芝に腰を下ろしてバロンをモフモフと撫でてあげます。
バロンもドべ~~って俯せになって、頭だけを太腿の上に乗っけてきます。
「おおきくなったよね~、もう抱き上げるの大変だもんね~」
ワシャワシャ撫でながら話しかけます。バロンはチロッっとこちらを見て、気持ちよさそうに撫でられています。
「クォン?」
本当に、穏やかな陽だまりの中ただバロンと一緒に、ぼ~~っとしていられる。
その事がすっごく幸せに思えてきて、ふと気が付くと涙が流れていました。
その事に気が付いたバロンが頭をもたげます。
「うん、なんでもないよ、大丈夫だよ」
バロンにそう答えながらも、涙が次から次へ溢れてきます。
「あれ、あ、あはは、このゲームって涙が流せたんだね。最後に来て初めて知ったね。うわ!バロン!だ、大丈夫だから!」
そんな私の顔を、バロンが起き上がってべろんべろんと舐めはじめます。
私は、バロンの頭を抱きかかえるようにして、そのまま芝生の上に寝転がりました。
ドスッ!
「あぅ!」
寝転がる私のお腹の上に、バロンがドスンと乗っかりましたので、一瞬息が!
「ほんとに、重くなったよね~」
「ヴォン!」
このまま、バロンと一緒にお昼寝しましょうか。残り少ない時間ですけど、こんな日もあってもいいよね?