11:お試し終了
10月ももう最終日で、動物ライフとRPGの統合へのお試し期間も今日で終了。
家族みんなでっていうか私一人が何か空回りをして過ぎた10日間だった気がします。
アナザーからは今回RPG側で作られたペットデーターは保持されるとの事で、今回のお試し期間で発生した不具合などの修正を行った後、12月から正式にRPGでのペットライフが開始されるそうです。
「でも、これってやっぱり二重にバロンが存在するって事だよね?」
「運営からは、最終日の動物ライフにおけるデーターも、RPG側へと統合されるって案内にはあるが、ハッキリ言ってこっちではレベルやスキルとか無いから何処まで意味が有るやら」
「そうねぇ、でも統合までにバロンが丸々としちゃったら、あちらでも丸々になるのよね?」
「そっか!外見の変化があったよね!」
お母さんの言葉に、データー反映の意味が何となくイメージ出来ました。
でも、結局はそこまで止りなんでしょう。
「結局、移行するしかないのよね」
「そうだな、バロンと別れたくなければそうなるな。美雪はどうなんだ?」
「う~~~別れたくない!」
ん?呼んだ?と言った様子で俯せでビロ~~ンとしていたバロンが頭を擡げます。
なんでもないよっと頭を撫でてあげると、うにゅ~といった様子でまたビロ~~~ンとします。
「まぁ、はじめから移行する前提だったしな」
お父さんの言葉に、私もお母さんも頷きます。
そうですよね、バロンが余程こちらと変化していなければ移行しか選択がないのですよね。
「まぁあと少しの間はこちらでしか楽しめない事を楽しもう」
「うん」
「そうね」
「ヴォン!」
バロンも、何となくの雰囲気で同意してますし、ともかく頑張りましょう。
そして、お試し期間が終了と共にまたしばらくは動物ライフのみの生活が始まりました。
◆◆◆
う~ん、お昼どうしようかな?
大学でそんな事を考えながら、テキストやノートを鞄の中へとしまっています。
まだまだ1年生なので、座学の授業が多いです。でも、この授業なんかはVRにしてしまった方が良い気がしますが、未だに大学の講義はリアルが殆どです。
一部、VRにて行われ始めた大学や学科もありますけど、例えば農学部や医学部などはVRで行われるのは実技のシュミレーションのみです。
それはそうなりますよね、だってVRって言ってもプログラムされた事象しか出来ないですから、農作物の改良なんかはまったく駄目ですし、バイオ関係もまったく同様です。
あと、医薬品なんかは、実際の病原菌でのテストしか意味ないですからね。
基本、実験と称する物を主題とする学問においてはVRは意味を成さないのです。
という事ではあるのですが、VRの利点はなんといっても座学で睡魔に襲われない!なのですよね。
意識を強制的に維持する事が可能なので、あの眠たくなる講義すらしっかり聞く事が出来る・・・はず?
VR内でまで眠らせるとしたら、まさに魔法の領域ではないでしょうか?
ともかく、座学のみで良いのでVR講座開設を切に願っちゃいますよ!
そんな益体も無い事を考えながら、食堂へと移動します。
「あ、及川さ~~ん、こっちこっち!」
「あれ?」
食堂で食券を購入してどこか空いてるテーブルを探していると、同じ学科の木野瀬さんから呼ばれました。
はて?何事でしょう?どちらかというと今風のちょっと派手系である木野瀬さんとは、入学した以降もそれ程親しい訳では無いのですが。
「ちょっとまってね、注文したの来たらそっち行く」
とりあえずそう返事をして、注文したおろしきしめんを受け取って木野瀬さん達のいる座席へと向かいます。なんか名古屋に来てからきしめんに嵌っちゃったんですよね。手ごろで安いのです。
気分でお稲荷さんを1個付けるのも通なのです・・・よね?
ともかく空いている所にきしめんを置いて席に座ると、みんながわたしのきしめんを凝視しています?なんでしょうか?
「及川さんって何となく洋食のイメージだったけど、きしめんとか食べるんだ、ちょっと意外」
「うん、及川さんって地元なんだっけ?」
それ程意外なんでしょうか?きしめん美味しいのに、そんな事を考えながら、皆が食べている物を見ると
「え~~っと、皆ほど意外ではないような?」
お化粧バッチリ決めているのに、親子丼、かつ丼の2択って、みなさん丼もの好きなのですね。
「ふふふ、今は肉食系が流行りなのよ?」
「「「ね~~~」」」
何でしょうか、今一つノリに着いていけない私がいます。まぁそれは置いておいて、何のご用でしょうか?
「みんなで12月にスキー行こうかって話してて、たまたま及川さんの姿が見えたから声かけてみたの」
「同じ学部なのに、及川さんとあんまり接点なかったし」
「うんうん、及川さんはどこのグループにも入ってないみたいだしね」
「あと、クラブやサークルにも入ってないでしょ?」
「うん、でも12月かぁ、時間あるかわかんないよ?1泊?2泊?」
私の問いかけに、木野瀬さん達は一瞬顔を見合わせて、突然笑い始めます。
訳が解らずただ呆然とみんなを見ていると、
「わ、笑っちゃってごめん、スキーって言ってもVRだよ」
「そうそう、いまどきわざわざリアルでスキー行く人なんか少ないよ」
「だよね~、VRだとスキー場1dayチケットで100円だしね」
「うん、で、スキー滑る体感はリアルと変わらないんだから、それに8倍速スキー場だと十分遊べるし」
皆さん大盛り上がりですね。その後もVRだと好きなスキー場へ行けるやら、移動時間もいらないなど、VRスキーの良さを色々教えてくれます。でも、それってどうなんでしょう?っと思うのは私が古い人間なのでしょうか?
「でも、それなら何で12月に?今でも良いような?」
「そこはやっぱり気分の問題?」
「「「だね!」」」
やっぱり皆さん仲良しですね。一応、家庭教師のアルバイトがない日であれば問題ないと回答しておきました。でも、VRでスキー滑れるようになればリアルでも滑れるようになるのかな?
ただ、そういえばバロンとスキーに行った事無かったですね。これは、最後の思い出づくりに良いかもしれません。あとで動物ライフにスキー場があったか確認しておきましょうか。




