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1:運営が終了を発表しちゃいました

オールドイングリッシュシープドッグは可愛いのです!

モフモフです!トテトテでドテドテなのです!

私は長年遊んできたゲームの公式HPの告知を見て愕然としていました。


ゲームの名前は”ほのぼの動物ライフ(動物達に囲まれて生活しよう)”


題名そのもの、VR技術が発展した現代において、自宅で生き物を飼う事が出来ない人をターゲットに発売されたゲームです。もちろん全年齢対応、ただし初期設定の所持金で選べるペットは”柴犬(犬)、アメリカンショートヘア(猫)、インコ(鳥)、ジャージーウーリー(ウサギ)の4種類です。

もちろん課金すればその種類は膨大になります。


ゲームの中でちょっとしたミニゲームなどを行えば基本的な餌が貰えます。

勿論課金して色々なグッズや高級品のペットフードを購入する事も出来ます。

ゲームの中なので余程の事が無い限り、動物達は病気にならないので、そこも人気の秘密でした。

お仕事をしている人や、毎日お世話をしてあげる事が出来なくて現実では動物を飼う事が出来ない人たちも一斉にゲームを始めました。


その後、様々なシステム拡張が行われ、今は庭を拡張して畑も作れます。

もっと大きな土地を購入して牧場を作る事も出来ます。ゲーム内で牧場を経営している人もいるくらいです。

基本どれも課金が必要ですけど、現実には不可能な生活がゲームの中では可能なのですから、人気も鰻上りでした。

そうなのです、でしたと過去形なのです。


今では、それこそ様々なVR技術が発達して、ペットと遊ぶだけでは無く一緒に冒険しようなどのVRRPG系のゲームが主流です。当初は現実とVRでの時間は1対1で、VRの世界の1時間は現実でも1時間でした。この為、ゲームで遊ぶとしても遊べる時間は限られていましたから、動物とのんびりするゲームが主流だったのです。

技術の発達で今では現実の1時間がゲームでは8時間に相当するんです。

年末には16倍率のゲームとハードが発売されるみたいです。

そんな中で、未だに”ほのぼの動物ライフ”は1倍率のゲームであり続けたんです。

ゲーム会社は、生き物との生活は1倍率以外には考えられないとの見解を上げていました。

確かに倍率が変われば、不在時の時間推移も変わってしまいます。

可愛い赤ちゃん時代もあっと言う間に過ぎてしまいますし、食事の世話なども問題ですよね。

私は、そのゲーム会社の思いはよく解ります。でも、次第に増えていくVRゲームにどんどん人は流れていっちゃいました。

その為、ユーザー数は減少して行き、ここ最近はゲームの存続が危ぶまれる状況になっています。


私は、小学校3年生の時にお父さんからこのゲームを買ってもらいました。

当時はまだ結構なお値段だったのですが、うちはマンション暮らしで動物を飼う事が出来なかったのと、お母さんがお友達の家で体験して虜になってしまったんです。

それで家族3人分のVRマシーンと、ゲームを買ってしまったんです。

家族設定をすれば1ゲームライセンスで遊べたのも大きいかったのかな?


購入したのはオールドイングリッシュシープドッグです。

お母さんが某劇に出演していたのを見て一目ぼれです。

大型犬なので、現実に飼うにはハードルの思いっきり高いワンちゃんです。現実でのお値段も調べてみたんですけど、ちょっとびっくりさんでした。

ゲームでも、勿論課金して購入です。この犬種がゲーム内にいたのも始める切っ掛けではあったと思います。最初はちっちゃなヌイグルミ?足はぷっくりモフモフで、将来の大きさを予感させます。

1年もすると、どんどん大きくなって、もうフワフワモコモコになっていきました。


家族みんなで楽しんで、気が付けば運営開始から10年が過ぎました。

そして、今日ゲームにログインしようとHPにアクセスしたら・・・画面にデカデカとゲームの統合発表が!同じ会社で発売されているVRPRGと、この動物ライフが統合?え?それって無理っぽくない?


VRRPGの方は運営開始から3年、そろそろ他社の新しいゲームにユーザーが流れ始めている状況です。

それで、根強いユーザーを一定数確保しているけど、これ以上の伸びは期待できない動物ライフとのシステム統合を決定したそうなのですが・・・。


「ふむふむ、一応ホームシステムは残るし、バロンのデーターも引き継がれるのね」


HPの説明を読みながら、愛犬バロンのデーターが引き継がれる事を確認して一応安堵します。

でも、その後の説明に困惑を隠しきれません。


「貴方のパートナーと、新たな世界で冒険が出来ます!ですか?誰もそんな事は望んでいないのですが」


その後の説明で、データー移行に際しての注意点が列挙されています。

でも、ステータスって・・・別にうちの子は強さなんか求めてませんよ?


「公式掲示板は・・・・うわぁ」


HPの掲示板は、もう凄い数のスレが乱立していますね。

しかも、すでに幾人もの人の書き込みが・・・。

そんな中でも、意外な事に牧場を経営されていた有名キャラの方は統合に前向きなようです。

ただ、個人ユーザーは否定的な意見が多いですね。

もちろん、わたしも否定派です。特に問題となるのが、システムにおける時間比率が8倍率で対応するとの事です。即ち、現実の1時間で8時間、現実の3時間でゲームでは1日の経過ですか・・・。

生き物の寿命はどうなるのでしょう?今までのシステムでは一応動物の種類毎に寿命がありました。

もっとも、課金アイテムで若返らせる事も出来たので、あって無きの如しではありましたけど。


「あぅぅ、バロンがいるし続けるのは確定なんですけど、なんか納得できないなぁ」


まだシステム移行までの時間は残されていますが、引き継げるデーターの種類にも制限が出ています。

特に、所有地、所持家屋についても大きく制限されるみたいです。


・・・・でも、もう10歳になるバロンが冒険ですか・・・・

元々、狼などから羊を守る為の犬種なのだそうで、戦闘も出来るかも?なんですが・・・


INして、庭をドテドテと喜んで走り回るバロンを見て思います。


「ないわぁ・・・」


とりあえず、無理だと思いますけど、運営に要望を送ってみましょう。


◆◆◆

その日の夜、動物ライフにINをしてたら、当たり前に家族が全員集合です。

当たり前にリビングで全員そろっての家族会議が開催されます。

もっとも、バロンはフガフガ言いながら、おやつの豚の耳をガブガブしています。


あなたの事を悩んでいるのですよ?っと言いたいのですが、まぁ相手は犬なのですから意味のない事ですね。


それにしても私は名古屋の大学へ通っています。実家からの通学はちょっと厳しいので、一人暮らしをしてはいるのですが、頻繁にというか毎日必ず動物ライフで集まるので、一人暮らしをしている気がまったくしません。


「で、結局どうなるの?公式ではまだ細かく書かれてないでしょう?」


お母さんがテーブルで溜息を吐きながら私を見ます、意見を言えと言うのでしょうか?


「うん、一応公式も、掲示板も見てみたけど、年末統合に向けて準備中としか書かれてなかった。で、データーの容量の関係でハウス関係はRPGの方に合されるのと、動物ライフの生き物はペットとして登録される事くらいしかまだ情報出てない」


「ああ、それなんだが、ペットになると仮定してだが、家族みんなのペットって出来るのか?」


「「あっ!」」


思わずお母さんと声が被っちゃいました。


「どうなのかしら?でも、う~~ん、それぞれ一匹ずつなんてなったら怒るわよ?」


眉を顰めて私をみるお母さんですけど、なぜこちらを睨むのですか?


「お母さ~~ん、別に私がどうこうした訳じゃないのに何でこっちを睨むのよ?」


「え?あら、別に美雪を睨んだんじゃないわよ?」


「え~~~~」


そんな事を話している間も、お父さんはせっせと公式HPで情報収集中なのです。

で、そんなお父さんそっちのけで、お母さんと私はバロンと庭で遊んで、部屋でブラッシングして、結局その日はそのまま解散となりました。


何となくいつもよりバロン構い度が高い一日でした。

オールドの可愛さ表現は残念ながら次話以降に延期されました(ぇ

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