Dream4 妖艶な山姥
疲れ果てた俺に天使の笑顔が降り立った。決して太陽ではない。民宿「やまんば」だ。奇怪なネーミングはさておき、泊まる場所が見つかったのは、不幸中の幸いだ。
もう何件民家を横切り、朽ち果てた工場をすり抜けただろうか? 人里離れたこの国道で民宿を見つけることはネコがネズミをくわえて逃げるのを見るくらい難しい事かもしれない。
駄菓子屋で買ったペロペロキャンディーを頬張りながら、階段横の自転車置き場に盗んだ自転車を置く。
青年はもういない。もしかしたら自転車に変身したのだろうか?
ありもしない事を想像しながら、昔ながらの引き戸を開けた。
「すいませーーーん」声が響き、壁が少し振動したように見えた。
奥の方からぎしぎしと音がする。急に畳の香りがツンと鼻を通り過ぎる。
白髪染めした髪の長い老婆ではなく、ぽっちゃりとした黒髪の目のまん丸とした50代のおばちゃんが現れた。
「あなたが来ることは遠い昔から分かっていました。お入りください」
危険な罠に踏み込むかのように俺は玄関を上がった。おばちゃんが妙に色目を使い、化粧仕上げをしていた。
現在のオレ
HP:75
MP:100
特に変化なし。RPGといえども、何も無い時は何もないのだ。