Dream2 三匹のオオカミ
青年は名を名乗らなかった。何回か聞いても「名乗る名前なんてありませんよ」と丁寧に断られてしまう。
10分ほど自転車を走らせると、後方右から何かが近付いてくる気がした。
車と思ったが、ヘッドライトがなく、特にエンジン音がしたわけでもない。では一体……
考える間もなく、突然後方右からオオカミが出現した。
イノシシのような牙を持ったオオカミは、するどい目つきで後ろから迫り狂っている。
「おい!! オオカミだ!! 来るぞ!! 逃げろ!!」
子供みたいな単語しか出ない俺は自転車のケツを意味なく一生懸命叩いた。逃げ切れると思っていないがこうするしかない。
突然青年はブレーキを思いっ切りかけた。訳が分からず青年に文句を言おうとした瞬間、全身が青ざめるのがわかった。
「前方にオオカミ二匹発見」
青年は自転車のヘッドライトで入念にオオカミの姿をチェックした。
大きくはみ出た牙、しなやかな足、するどい目、そして百戦錬磨を思わせるような顔の傷……
「この為にあなたを連れてきたんです。倒しちゃって下さい」
青年は自転車を乗り捨て、俺の背中の後ろへと引き下がってしまった。
現在のオレ
HP:85
MP:100
まさかの事態。精神的苦痛により10のダメージを受ける。