第15話
レッスン帰りでへとへとになった私に、飛び込んできたのは衝撃的なニュース。
桐嶋かなめ、卒業のお知らせ
……え? ちょ、ま、え? ちょ待って?
ホント? え? なにどういうこと?
この前たまたま会えた時はそんなそぶり全然なかったのに!
しかもバスだったら行ける!と思って応募したワンマンじゃん!!
チケット落選して、行けないの確定だったけど!!
え~、推し最後のライブは行かなきゃじゃん。でも行けないじゃん!!
……ってことは地獄じゃん!!
「……これは、本当にダメなやつだ」
これはダメだ。間違いなく病む。きっつい。
ごはんの味がしない。話が頭に入ってこない。
どうしよう、どうしよう……。
なんてベッドに横になって考えてると、スマホに通知が。
めいちゃん! あ、お礼の連絡してなかった!
でも、それどころじゃなかった!
ワンチャン助けてくれないかな……。
そう思ってメッセージを確認すると
『かなから連絡きたんだけど、卒業するワンマン、よかったら招待するけど来る?って』
おいおいおいおい! まーじかよ!!
ええんか、ええんかおい!!
はっ、これはお兄ちゃんが昔言ってたやつだ!
希望は一度、全て打ち砕かれねばならない。
絶望の底に落ちた時、人は最後に残った希望で、己を、救うことができる。
今はいないお兄ちゃんありがとう!
その言葉の意味が分かったよ!!
で、めいちゃんも本当にありがとう!!
「絶対いく!!!!」
声に出しながらそう返信すると、一気に落ち込んでた気持ちが上がってくる。
やーったやったー!!
あっという間にライブ当日。
藍那ちゃんとも久しぶりに会えて、4人で見ることに。
関係者席でひっそりと見てたんだけど、やっぱ関係者席ってすっごい。
コールなんてやったら追い出されそうで、大人しく見てるしかなかった。
ちょっと残念。
周りを見渡すと他のアイドルさんも見に来てるし、完全場違い。
でも、芽衣ちゃんは堂々と見てた。
最後の挨拶、もしかして私に向けて言ってくれたのかな?
うん、私頑張る。そう思って頷くとかなめちゃんが笑ってくれたような気がした。
「さて、ここでゆいちゃんにお知らせがあります」
ワンマンの興奮冷めやらぬ中、私にそう言ったのはかなめちゃん。
ライブ終わり、かなめちゃんの好意でホテルに泊まることになった私たち。
私とねおんちゃんの2人部屋に、芽衣ちゃんと藍那ちゃんとかなめちゃんが泊まる3人部屋。
なんとかなめちゃんがお金出してくれたらしい。
私の推し、優しすぎん?
みんなでコンビニとか回って、お菓子やジュース、ファストフードでお疲れ様会。
その最中の出来事。
「え、なに?」
「ゆいちゃんのデビュー日が決まりました~!」
……うそ。視線を向けると、どや顔になる芽衣ちゃん。
「ホントだよ。再来月のライブ、出てもらおうと思ってる。今のうちにステージでの名前とか色々考えておいてね」
って芽衣ちゃんの言葉に急に実感が沸く。
そっか、そっか! ついに私もアイドルか!
あ、ねおんちゃんにアイドルのこと言ってなかった!
ちょっと気まずい感じでねおんちゃんの方を向くと、穏やかな顔で私を見つめるねおんちゃん。
「ゆいちゃん、おめでとう。芽衣ちゃんから聞いてたけど、いよいよだね」
あっ、よかった~。ほんとありがとう芽衣ちゃん。
名前はもう決めてあるんだ。
昔お兄ちゃんからもらった、お嬢様が王子様の侍女になって、仲間とゆったり過ごすお話のマンガ。
そこの第3近衛軍の双子の兵士のお姉ちゃんからシュイナ。
シュイナ・シャイタン、この名前で私はデビューする。
でも、衣装は最近始めたゲームのキャラのコスプレでやるんだ~。
憧れてるあの子から力を借りれるような気がして。
もう衣装も届くから、あとは衣装が入らない、なんてことがないように気を付けなきゃ。
あ~、楽しみ!




