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生贄令嬢の幸せ  作者: maruko
本編
33/48

セリナの災難②

「その遣いが何を取ったというのだ?」


兄の指摘はセリナから話しを聞いたアルシェリーナも思った事だ。

主の遣いで忘れ物を取りに行った使用人が、そんな時に盗みなど働くなど有り得ない、それにそんな使用人がタイオール伯爵家に居ることも信じられなかった。


「それが教えてもらえなかったそうなの。それにその使用人が罪を認めてるというのよ」


「「「は?」」」


皆の反応は至極当然だ。

そして更に驚くべき事に騎士が言った事実確認とはタイオール伯爵に“あの使用人はここの家の者か”ではなく“あの使用人にハンカチを取りに行け”と言ったかだったのだ。

そしてセリナが自分が命じたと言った言葉を聞き満足して騎士達は帰って行った。


「これが最初の出来事なの」


「それで?」


ダイサスは嫌な予感がしながらも聞いた。


「それからセリナが今日学園長室に呼ばれてしまったのだけど」


セリナは今朝自宅を出る時に何故かトゥールが門前に居て驚いた。

トゥールの話しによるとセリナに窃盗の疑惑が有ると昨夜騎士団長からラガン伯爵家に内々で話しが来たと言う。

個人的な付き合いのない騎士団長の訪いにも驚いたが内容にも驚いた。

そもそもセリナとの婚約の話はまだ公になっていないのに、何故騎士団長はその話をラガン伯爵家にしに来たのだろうか?

疑問が疑問を呼ぶが取りあえずは自分が少し調べてみる、何があるか解らないから人の多い学園にいる方が安全だからと、でも何か起こったらアルシェリーナに相談するようにと言われたとのことだった。

そしてその何かが学園長室に呼ばれるというものだった。


「その捕まった使用人というのはどうなったの?」


ミナリーゼがヤキモキしながらアルシェリーナに聞いた。


「使用人は次の日に釈放されたのよ、しかも何のお咎めもなく」


「えっ?意味がわからない」


「でしょう、しかも使用人は窃盗を認めたわけではなかったの」


「どういうことなんだ」


ダイサスが訝しげに聞く


「使用人の話しによるとね。カフェに行って店員にハンカチの事を訪ねたそうなの、それでそのハンカチを見せられて“これか”と聞かれたそうよ、それで見せられたハンカチを確認する為に手に取った時に突然手を店員に掴まれて、何だろうと思っているうちに裏に連れて行かれて。そこで騎士にそのハンカチを取りに来たのかと聞かれたそうなの。確認前だったけど刺繍糸が赤だったからセリナに聞いていた刺繍糸の色だと思って頷いたら騎士団に連行されたそうなの」


「何だそれは」


「お兄様もそう思うでしょう。釈放された使用人の話しを聞いてタイオール伯爵は騎士団に抗議はしたそうなのだけど、それからはなしの礫で、だからといってそれ以降は何もなかったからそのままだったのよ」


「それが今日突然動いたということなのか?」


ダイサスの問いにアルシェリーナは頷いた。


「それはとても奇妙だけれどシェリーが王妃の仕業じゃないかと言うのにも頷けるわね。全く何がしたいのか意味がわからないわ、奇妙すぎる」


「でしょう!お母様。わかってくださいますか?だってそれってもうひと月も前の話しで婚約を正式に結んだのが先週なのよ、途端にこれですもの」


「学園の話というのは何だったんだい?」


「セリナに退学しろって言ってるのよ学園が」


「「「は?」」」


またまた当然の反応だ。

学園を退学になればトゥールとの婚約が破談になるのも頷ける。

何故ならこの国の貴族は学園に在籍するのが義務だ。

退学になれば自動的に違反になる、貴族として認めてもらえなくなるということだ。

即ち退学になった者は貴族との婚姻は認められない。

この手の込みすぎた案件はセリナやアルシェリーナの手に余る。

アルシェリーナがルーカスに相談しようと思ったのもここに居た皆が納得したのだった。


「ラガン伯爵令息の動向が気になるな、今日は殿下の側には来られて居ないのだろう?」


「そう言っていたわよね、だけど何か危険な事があればルーカス様ならわかると思うの。妖精が教えてくれると言っていたから。危険ではないのかしら?」


今隣の寝室で寝ているであろうルーカスのお目覚めを一同は待つより他に術はなかった。







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