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生贄令嬢の幸せ  作者: maruko
本編

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31/48

親に内緒で

アルシェリーナはセリナをタイオール伯爵家に送り届けると急いで帰宅した。

今日はルーカス様が来る日だ、と思い立ったから。

丁度よかったこの話は直ぐに対策を取らなければね。

そう思いながらいつもより少し遅めに帰宅すると既にルーカスは夕食の席に着いていた。

今日は大人ルーカスだ。

という事は夕食は急ぎめに食べなければあっという間に2時間過ぎてしまう。


ルーカスの訪いをエリナ(アルシェリーナの専属侍女)に聞いたアルシェリーナは急いで着替えて夕食の席に着いた、時間にして15分、貴族令嬢には有るまじき短縮だ。


黙々と食事を食べるアルシェリーナを見て、夕食に揃った皆が何か話しが有るのだろう、もうこれって王族関係だよね~と各々が思いながらも、彼女に倣って急いで食事を済ませた。

時間にして30分、貴族の晩餐に有るまじき短縮だった。


食べ終わるとルーカスはアルシェリーナをエスコートしてコソッと耳打ちをする。


「何かあった?」


「王妃様って⋯⋯お暇なんですね」


アルシェリーナの耳打ちのお返しにルーカスはフゥーと大きく嘆息した、やっぱり王家絡みかと途端に体が縮む思いだ。

まだ時間的に大丈夫ではある。


ドュバン家の隠し部屋に皆で集まってミナリーゼがお茶を準備する。

勿論アルシェリーナもお手伝い。


ソファに座った面々をラクサスが順番に見てからアルシェリーナに向かった。


「さて、と、何があった?」


「セリナの婚約が破談になりそうです」


「「「「は?」」」」


両親と兄、そしてルーカスの声は綺麗に揃って、何ならエコーもかかっている様に余韻が残る。


「それが王妃の画策なのか?」


「まだわかりません、でもそうかなって思いましたの」


ルーカスの問にアルシェリーナは自分の勘だと告げた。


「事の経緯が滅茶苦茶なのです、もうそれは強引にゴリゴリっの強引さなので、そんな事するのは王妃様しかいないのではないかと、ただそれで何がしたいのか良く解らないのです、だからルーカス様にご対応していただこうと思いましたの」


アルシェリーナの言葉にミナリーゼは疑問に思った。


「シェリーあの⋯タイオール伯爵令嬢はご婚約されていたかしら?」


「あぁお母様にはまだ報告していませんでしたわね、というかまだ発表前でしたの、ねっルーカス様」


「あぁまだ殆ど何も決まってなかったからな、公には」


「殿下どういう事ですか?」


ラクサスの言葉にルーカスは少し微笑みながら


「本日トゥールが何故居ないのか、解ったな」


と言うとアルシェリーナはそれも不思議だった。

まさか学園だけでなくルーカスの側にも居なかったとは思わなかったからだ。


「ルーカス様、それでは今日はとても不便だったのでは?」


アルシェリーナの気遣いにルーカスはまたもや微笑んでいた。


「大丈夫、そういう時は妖精達が手伝ってくれるんだ」


「えっ!妖精が?」


一同は驚いた、まさか妖精が侍従の真似事まで出来るとは思っていなかったからだ。

ただその辺の空気中をフワフワと浮かんで、偶に踊っていたりお喋りしたりしてるだけだと思っていた。

まさか人の世話などするなんて!

新しい発見にアルシェリーナの好奇心は疼いたが今はそれどころではない。


「実はですね、私がトゥール様の婚約者にセリナを推薦していたんですの」


両親にも内緒で事を進めていたアルシェリーナはラクサス達に懺悔した。

本来なら婚約という家と家との繋がりを一介の貴族子女が口先だけで進めるなど言語道断である。

当主の面目丸潰れのラクサスは苦虫を噛み潰した様な顔をした。

父親のその顔を見てアルシェリーナは自分の勝手さを後悔した。


「お父様本当にごめんなさい、ちょっとした思い付きだったの。でも殊の外盛り上がってしまって」


アルシェリーナがトゥールの婚約者にセリナを推薦したのは、ルーカスの愛子(めでご)が関係している。

トゥールは今後もルーカスの側近を務めることになっているが実は彼はラガン家の嫡男でもあった。

離宮で暮らす彼の伴侶はある程度の秘密も保持できる者でないとルーカスも困るので今までは婚約者が居なかった。

トゥールが離宮で暮らす事を容認して尚且つラガン家を守れる貴族令嬢。


そんな人居る?


アルシェリーナがラガン夫人からトゥールの婚約事情を聞かされた時に最初に思ったのがそれだった。


そしてここに来て、ルーカスが臣籍降下しても離宮でこのまま暮らす事をダートンによって決められてしまった。

本当は爵位も子爵辺りを賜って王家所有の辺鄙な土地に二人で引っ込もうかとアルシェリーナは安直に考えていたのだけれど、そうは問屋が降ろさなかった。


そんな時にアルシェリーナが閃いたのがセリナだったのだ。


─可愛いは正義─のセリナならルーカスの秘密も保持できるはず、それに何といっても彼女は自分の大親友だから。

そしてこれが一番の理由かもしれない本音は、結婚してもセリナと一緒に居られる!

とてもとてもいい考え(アルシェリーナにとって)だと直ぐにルーカスにだけ相談してラガン家とタイオール家にサッサと話しを進めてしまったのだ。


その辺の話しをしているうちにルーカスが微睡み始めた。

そろそろ2時間経過しているのだろう。


続きはルーカスが小さくなってからに持ち越された。





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