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生贄令嬢の幸せ  作者: maruko
本編
19/48

溺愛は私から

アルシェリーナとルーカスの婚約から一年が経過した。


いつものようにルーカスに膝枕をして手持ち無沙汰の手で彼のオデコにかかる前髪を弄って遊んでいると不意にその手を掴まれた。


「擽ったいぞ」


アルシェリーナはその掴んだ手に反対の手を重ねて上からルーカスを見つめる。

その目はウルウルと感動していた。


「ルーカス様、不意打ちは心臓に悪いです。私を殺す気ですか」


相変わらずルーカス命のアルシェリーナの言葉だが一年も経てば新鮮さを失いルーカスは最早慣れてしまって、右から左も板について来た。


いつものようにアルシェリーナの《《戯言》》はスルーして話し始めた。


「父上が近日中に訪うと連絡があった、シェリーは如何する?」


「私がお会いするのはよろしいのですか?」


「あぁ其方に会いたいと前々から言われていたんだ。タイミングが悪かっただけだ」


「漸く陛下と直にお話し出来るのですね」


「ダイサスは?」


「向こうで皇女様にお会いして浮かれているようですわ。暫く滞在するとお兄様の侍従から文が届いたようです」


今学園は夏期休暇中だった。

それを利用してアルシェリーナの兄であるダイサスは婚約者であるアルシェルト帝国の第三皇女に、会いに行っている。

二人の婚約にはゲート王国の社交界が揺れた。

大国である帝国の皇女がよりによって少し前まで斜陽貴族だったドュバン家に輿入れするなんて!

(うち)でもいいだろう!と声をあげる家が続出したのだ。

決定してからの発表にも関わらず、無礼で身の程知らずにも帝国へ釣書を送った貴族家がゲート王国からその姿を消した。


王妃アネトスの息のかかった貴族家ばかりだったから誰の差し金かは皆解っていたが表向きは声に出さない。

だがゲート王国が手を出すまでもなく帝国より厳しい判断が下った為、彼らは一律取り潰しになったのだ。


そのおかげでアネトス一派が今は息を潜めている。


ルーカスは「嵐の前の静けさではないか」と危惧していた。

おそらく今回の陛下の訪いはその話を詰める為の物だと考えていた。


それからルーカスの夜会参加の話もぼちぼち聞こえて来ているので、どのタイミングで姿を表すかも打ち合わせをしなければならない。


愛子(めでご)の正念場である。


最近大人ルーカスとアルシェリーナはダンスの練習をしている。

普段が幼児体型のルーカスは、大人の自分の体を操るのにまだ慣れていない。

ステップもよく間違えてアルシェリーナの足を踏んでいる。

その度に「すまない」と悲しそうに言うルーカスを見るとアルシェリーナの庇護欲は大人になっても彼に注がれてゆく。


─可愛い私のルーカス様─


アルシェリーナのルーカスへの溺愛が止まらない。






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