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生贄令嬢の幸せ  作者: maruko
本編

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ドン引き

ショタルーカスに心を持って行かれたアルシェリーナは心の内を無意識に曝け出していたようだ。


可愛い~~食べちゃいたい!


その曝け出された言葉にラガン親子とルーカスはドン引いたが、状況的にはしてやったりだった。


ご機嫌でニコニコと可愛いルーカスを見つめるアルシェリーナだったが、トゥールの言葉で今迄のドルチェ家が一変してしまった。


「嘘っ!」


「本当の事なのですよ、アルシェリーナ様」


隣からラガン夫人がショックを受けたアルシェリーナを気遣いながらトゥールの話しを肯定した。


「昔々のお話になるんですの、ただこの事を知っているのは生きてる者の中では此方にいる3名と現陛下、。もしかしたら貴方のお父様はお気付きになっているかもしれませんわ。確かめたことはありませんけれど」


アルシェリーナはその場にいるラガン親子とそしてキラキラと光る金目でじっと見つめるルーカスを交互に見ながら、それが真実なのだと驚愕した。


「それでは⋯本当に、ルーカス様の前任の愛子(めでご)はお祖父様なのですね」


トゥールから齎された話しは、今迄のドュバン侯爵家の根本から認識を変えざるを得ない事だった。

ラガン夫人がその頃の事を順を追って詳しく話してくれた。

その話はルーカスが妖精の愛子になった時に前陛下から教えて貰ったと言う。

その場には現陛下も同じくいたと話してくれた。


「昔々の話ですわ、前陛下と前ドュバン伯爵が学園に入学する前だと聞いております」


アルシェリーナの祖父であるマイケルは14歳にしては些か小柄で見目だけ見れば女の子に間違えられるほどに可愛い容姿をしていた。

そのタイミングでおそらく愛子が亡くなったのだろう。

次の愛子にマイケルが選ばれてしまった。

愛子になると途端に妖精が見えるようになるという。

周りを飛び交い愛子の状況を説明するらしい。

マイケルは元々小柄という事もあり、まだ学園に入って1年目までは誤魔化しがきいたが、2年目以降は流石に隠せないと判断した。

ドュバン伯爵家は王家を頼った。


結果王家のというより前国王であるサイラスと婚約者のエスカリーナの判断は、マイケルの保護であった。

全面的に協力体制をしき、外に漏れぬよう心を尽くした。

マイケルが家に閉じ篭っても可笑しくない状況を作る為に、あの婚約者交代も行われた。

サイラスが心変わりをしてマイケルにエスカリーナを押し付けた、結果マイケルが自暴自棄になり家に閉じ篭って身代を傾けたという筋書きだった。


全てを聞いたアルシェリーナは前国王の懐の深さに感動したのだが、ここでルーカスが水を差す。


前国王(お祖父様)に感謝する必要はないぞ。今回お前が私の婚約者に指名されたのはその時の仮を返して貰うためだからな」


見目は可愛らしいショタルーカスの癖に言葉は辛辣だ。

おそらく前国王の遺言とやらはそういう事なのだろう。

アルシェリーナにも想像できた、だが数十年前にマイケル(祖父)の窮地を前国王(サイラス)が救ってくれたのは事実だ。

アルシェリーナは武尊な顔をしているキラキラお目々のショタルーカスに微笑みながら答える。


「それでも感謝しております、私でお役に立てるのならば前国王様の御遺言を忠実に守りたいと思いますわ」


「⋯⋯物好きだな」


ルーカスは少しだけ俯きながら呟いたがその耳は赤く染まっていた。

それを見てトゥールが彼を揶揄う。


「素直じゃないなぁ殿下も、嬉しいくせに~」


不敬にも肘でルーカスを突きながらトゥールはニヤニヤしていた。


「今後はどうされますか?」


アルシェリーナの質問にはラガン夫人が応えた。


「出来ればドルチェ侯爵には自体を把握して頂きたいのですがお話しして頂けますか?」


「陛下ではだめなのでしょうか?王命のほうが宜しいのでは?」


アルシェリーナは前国王より直接聞いた陛下の方がいいのではないかと思ったが、それは簡単にはいかないらしい。


「母上の宮が魔窟なんだ」


「魔窟⋯ですか?」


「あぁ父上は性格は温和だがあまり頭が宜しくない、母上も言わずとも解るだろう、あの人は噂どうりだ」


自分の両親をここ迄こき下ろせるなんてとアルシェリーナは驚いた。


「殿下、言い過ぎですわよ」


「だがラガン夫人、母上が脳みそが詰まってないのはわかりきっておる、それで性格が悪ければいいのにそうではないだろう。素直すぎるあの人は誰にでも騙されるから宮内が魔窟になるのだ。それを抑えられない父上も頭が悪いと言えるだろう。そんなやつの言う事を全面的に信用できるのか?ただでさえ王家をよく思っていないだろうお前の両親が」


ルーカスはラガン夫人に話しながら矛先をアルシェリーナに途中から変更した。


「そうですね、ドュバン侯爵家(わが家)の王家への印象は最悪ですものね」


ドュバン侯爵家に帰ってから、父に話さなければならないなぁとアルシェリーナは考えてからルーカスを見て閃いた。


「ルーカス様、今後私は貴方様の婚約者として最善を尽くさせて頂きますわ」


「⋯っあっありがとう」


「尽きましてはご褒美を下さいませ」


「褒美?」


「ハイ!」


満面の笑みでルーカスに微笑むアルシェリーナ

訝しみながらルーカスは言った。


「お前はまだ何もしていないじゃないか!褒美は後だ」


「いえいえ先に頂けなければ私、失敗してしまいます、お願いですルーカス様!」


「いいんじゃないですか殿下」


トゥールも後押ししてくれたのでルーカスは「仕方がないなぁ」とアルシェリーナの方を向く。

するとアルシェリーナは徐に立ち上がりルーカスの横に移動した。

そしてルーカスを抱き上げた。


「なっ何をするんだ!お前不敬だぞ!」


「ご褒美ですもの~ありがとうございます~」


ギュゥと抱きしめてショタルーカスを堪能したアルシェリーナは、新しい扉を最初から全開に開いてしまった。

その様子を横で見上げながらドン引きしていたトゥールであった。






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