第1話-出会い-
はじめまして!本作をご覧いただきありがとうございます。
この物語は、私が構想しているゲームの世界観をもとに執筆したものです。ゲームの企画段階から温めてきたアイデアを、小説という形で表現することで、物語としての魅力をより多くの方に伝えられればと思っています。
登場する「アニマ」という存在や、その世界の設定はすべてオリジナルの発想から生まれたものです。これらのアイデアは、ゲーム企画としても考案しているものであり、本作を通して少しでもその世界観に興味を持っていただけたら嬉しいです。
まだ試行錯誤しながらの執筆ですが、楽しんでいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。
ーー“死んだ”。
少年は山の崖沿いに横向きに生えている木にしがみついていた。
下には草原。まるでビルの屋上から見下ろすような高さだ。
「…え、俺、詰んだ?」
崖の端から小石が転がり落ち、ひゅうっと風に飲み込まれていく。
その音を聞いて、少年の顔が青ざめた。
その時ーー。
しがみついていた木の枝が、
ミシッ…
「ちょっ、待っ…」
バキィンッ!!
木の枝は無情にも折れ、少年はそのまま落下していった。
「うわぁぁぁぁぁあああああ!!!???」
風が鼓膜を叩く。視界がぐるぐると回り、全身の毛が逆立つ。
あ、終わった。
と、思った瞬間。
ーー目の前が白いベールに包まれた。
同時に、どこか温かく感じる優しい光が差し込む。
…ん?
次の瞬間、少年はふわりとした草の上に横たわっていた。
「え? 俺、死んだ? …の割に天国っぽくないんだけど?」
「ていうか、これ……まさか転生? いや、異世界? もしかして勇者デビュー!? うおおお、剣と魔法の冒険が始まるのか!?」
風が優しく吹き、長い草が波のように揺れる。
辺りを見回すと、どこまでも続く草原が広がっていた。
「…どうなってんだ、これ…?」
少年が困惑していると、
ヒュウウウウウウウ……
突然、目の前に青白い光をまとった存在が現れた。
白銀に輝く翼がふわりと宙を舞い、その姿は風のように儚く、なんつーか神々しい。
その瞬間、草木がざわめき、空気が張り詰めた。
「……な、なんだコイツ……」
その生き物は、まるでこの世界の理そのものであるかのような存在感を放っていた。
そして、深い蒼色の瞳が、じっと少年を見つめる。
「お、お前…もしかして……アニマ?」
”アニマ”ーーそれは、世界の生命の根源が具現化した生き物。
未知のエネルギーを操り、伝承では“アクマ”として恐れられている。
「おいおい、マジかよ……俺、ついに伝説の生き物と遭遇しちまったのか……?
いやいや、ちょっと待て。
こういうの、普通は最初にスライムとかから始まるもんじゃないのか?」
アニマは静かに、しかし確かに、コクリとうなずいた。
「うなずいた…!? え、話せるの? それともエスパー?」
(アニマ、無言で少年をじっと見つめる)
「……どっち? いや、答えてくれないと困るんだけど」
(アニマ、ほんの少し間を空けてから静かに口を開く)
「ーーアニマは…」
(沈黙)
「……?」
「……命を繋ぐものだから」
風が静かに吹き抜け、草木が揺れる。
「……いやいや、カッコつけた答えはいいんだけど、説明が足りないんだってば!」
しかしアニマはそれ以上は何も語らず、ただ少年をじっと見つめ続ける。
少年がその不可思議な存在にどう対応すればいいのか悩んでいるとーー。
ーーー……ゴソゴソ
草むらの陰で、何かがこちらを覗いていた。
「……え?」
ーー少年の冒険は、ここから始まる。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
第1話では、少年とアニマの出会いを描きました。死の間際に現れた神秘的な存在――アニマ。その力の正体や、彼がなぜ少年を助けたのか、今後の展開の中で明らかになっていきます。
この物語は、私が企画しているゲームの世界観を基にした作品です。ゲームとしてのアイデアを膨らませながら、小説という形で先に世界観を描くことで、より多くの人にこの設定やキャラクターを知ってもらえたらと思っています。
今後も、アニマやこの世界の秘密、そして少年の旅をじっくり描いていきますので、引き続きお楽しみいただければ嬉しいです!
感想やご意見などもぜひお待ちしています!
それでは、また次回。