ゆめのくらがり―1―
欠伸猫です。
新作連載小説のお届けです♪
短めですが是非とも宜しくお願い致します。
ネオン煌めく都内のとある夜の街、その路地裏の片隅にて―――――
「おいおい、
お嬢ちゃん。
此処はオメェみてぇのが
来るトコロじゃあねぇゼェ?」
「そうそう!
こんなトコロ、お遊び半分で
歩き回ってちゃあ駄目ダロゥ?」
「とぉ~っても
恐ぁあぁい人タチに
襲われちゃうよォ~??」
ギャハハハハハ…………ッ!!と
意地汚く、
浅ましく、
大声で嘲笑いながら、
柄の悪い、
だけでは無く。
性質も悪そうな、
輩。
とも呼ばれる様な
複数人の男達が
幾重にも重なる様に、
外側からは見ることがかなわないが、
その中心に
見た目は中学生、
いや、
ともすれば小学生とも思わせる、
絶世の美幼女、
もとい。
美少女を、
壁際に追い詰める様にして
取り囲んで、
絡んでいた―――。
そして、
その包囲網の最中に居る、
普通であれば。
怯えて震えることしか出来ない様な、
いたいけな見目の。
幼子の様なその、少女は―――
「………。
はあ……、
そうなのですか………。
それは――――、
……例えば………
どんな……。方に……、
でしょうか……?」
平然とした表情で、
冷静な態度で、
淡々とした口調で、
何とも為さそうに、
気怠げに、
どうでも良さそうに、
微塵の欠片も
興味も無い。
と言わんばかりに。
そう、
尋ねてみせた。
その言葉を聞いた、
輩達は―――
「………ッ!
ぶぷっ、フはッ!
~~~~~~ッ!!
ギャァッハハハ!
アハハハハッッ!!!
マジかよぉ!?」
「オイオイオイ、
おォーイ!
流石に………っ
ハッはぁ……!
その、っ!
くっくく……!!
台詞っ、は、想像外、だぞ!??!」
ハハハハハハハ………!!
と。
何が可笑しいというのか、
只管、嘲笑い続ける。
その姿を見た、
少女は。
不思議そうに、
小首を傾げながら、
小さな声で、
囁く様に、
呟く。
「………??――??
何か……
可笑しなコトでも……、
ありましたか……?
何をそんなに楽しそうに笑っているのでしょう……?
しかもそんな……、
下劣且つ下品な笑い方で……?
頭でも可笑しくなりましたか……??
大丈夫です……?
何処か悪いところでも……?
お医者様……、お呼び致しましょうか……?
………。??―――、
何かのご病気……、でしょう……。か………???」
その、台詞を耳にした。瞬間―――、
輩達は、
顔―――耳や首もとまで―――を瞬時に真っ赤にして、
憤怒の色に染め上げた。
怒りそのままに
詰め掛かり、
詰り寄り
唾を吐き飛ばしながら
叫びあげる。
「あァッ!?
てメェ、ザけてんじゃネぇゾぉッッ!?」
「打っ飛ばして
周姧して犯ろうかっ!?
糞尼がぁっ!!!!」
「只じゃあオカネェかんなァ!?こん糞ガキゃアッ!!」
その聞くにも耐え難い、
詰り罵倒の台詞を聞き捉えて。
少女は
1つ。溜め息をついてから、
只、一言。
「ふぅ………。
ウルサイですね………。
少し……、
静かにしていただいても………?」
冷淡に、言い放つ。
言い放った後に、
辺りを静寂が包み
その、直後――――
「アァアアアァぁあァッ!?!?」
「ふっザけんじゃネェぞッ、
ゴラァっっ!
ブっ殺ぞッ!
おぉンッ!?」
「ザけてんのかッ!?
テメェ!!!!」
「ブち犯すッ!!!」
ギャアギャアと、
口汚い罵り声で叫びをあげ、
拳を握り締め、
角材を
鉄パイプを
金属製の釘付バットを
鉄輪鎖を
折畳式扇形ナイフを
拾い上げ
取り出し
持ち直し
構えて
振りかぶり
今、正に。
襲い掛からんとする、
その刹那に。
少女は――――、
「何をそんなに怒っているのでしょう……?
私はただ……、思ったことを言って……、
疑問に感じたことを聞いた……。
それだけ……、です……。」
「もう一度だけ……、
お尋ねいたしますね……?
貴方達の言う……。
その……、
とても恐ぁあぁい人タチ……?
というのは……、
何方の方のコトなのでしょうか……?
何処に……、
いらっしゃる…。のですか……?
答えては……、いただけませんか……?」
涼やかに嘯き、
そう尋ねた。
尋ねて
その上で、
ニッコリと
極上の微笑みを
浮かべて魅せた。
その微笑みを見て、
輩達は
一瞬。
ほんの、
瞬きの間。
見惚れて、
見惚れてしまう。
そして
一拍の間を置いて、
我に返り――――
「アァぁン!?
ンだ、ゴラッ
明らかに馬鹿にしてィたろォがァ!!
テメェ、
舐めてンじゃねぇゾっ!
おラッ!!」
「クソッタレ、ふざけんなよ!?
手足へし折って
ボロクソにぶん殴って
服、引ン剥いて
ドチャクソに犯しまくって
周姧して
何処ゾの変態オッサンに
売り飛ばして殺ろうかっ!?
アァッ!!!???」
「クハハっ、!!
本気でフザケてんのか?
オメェが言ってンのは、
聞いてきてンのは、
恐いヤツ等が
気を付けなきゃなんねぇのは
誰だっつぅ話ダロぉ?
ンなら簡単だァ………?
オレ等みてぇのに気ィ付けろっつってンダよォっっ!!!!」
その台詞と共に、
遂に
少女に向かって
拳が振りかざされる。
ソレを見た周りの通行人達――巻き込まれまいと
見て見ぬ振りをしていた人々――は
大きく眼を見張り、
口元を両手、或いは片手で、覆い
凡そ想像出来得る限りの
最悪の数秒か数分先の未来を幻視して、
息を呑み込み、
身体や頭ごと眼を反らして、
何も出来ない、
何も言えない、
自分自身達を恨み、
どうか、最小限の
被害で済みます様に………!
と。
祈るコトしか出来ないと
嘆いた。
が、
絡まれ
襲われ
今、正に、
殴り掛かられている
少女は―――、
一言、呟いて。
「…………、
そうですか……。
ならば――………、
コレは……。
正当防衛……、
ですので……。
ソコのトコロ……、
悪しからず……。」
反撃、してみせた。
如何でしたか?
一話目終です。
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