遭遇②
・・・・・・
陽が暮れる…時期に夜が来る。
そう思うと、どうしようもない不安感が込み上げてきた。
大丈夫、何とかなるからーー。
そう自分に言い聞かせても、刻々と変化していく空の色が、無意識に不安を誘い出す。
「どうしよう…」
わたしは、きっとまだ街の中心部にいる。
ここから乗り合い所へ行き、城壁近くへ行った後、さらに王都から故郷へと向かう馬車を探す。
道はある程度わかる。しかし、問題はそこではないのだ。
「こんなに…時間ってあっという間なんだ」
1日で王都から去るのはもったいない。せっかくなのだ、2,3日宿泊して、それから帰ろう。
そう思って、夕方に宿でも探してみるつもりだった。
しかしーー。
いざ街を歩いてみると、それらしきものが見当たらない。というより、区別がつかない。看板が下がっているところ、何も出てないのに店らしきところ、そしてほとんどが文字で説明されているところーー。
勉強はしてきた。正直、嫌いでもなかった。
知らない知識を得られることは楽しく、成績も良い方だった。ただーー・・・世の中にこんなに沢山の言葉があるとは知らなかった。言葉の意味が、分からない。
初めは道行く人に尋ねたりもした。大体の人はみな親切に教えてくれた。
宿の場所も聞いた。行ってみた。しかし、わたしの所持金では泊まることは無理だった。
街に住む人は、みな良い身なりをしている。わたしも街に来るためにちょっと背伸びをしたため、所作に気をつければ侮られることもないだろう。
そんなわたしに見合った場所を、紹介してくれたのだ。別に一流の宿という訳ではなかったが、わたしには相場が分かっていなかった。
そうこうしているうちに、どんどん陽が傾き始めた。宿も見つからず、帰路にも着けずーー変わりゆく景色が、わたしの心をかき乱していく。
そんなときだった。ふと視線を感じたような気がして、無意識に顔をそちらへ向けた。そしてそこに見知ったような姿があったので、驚いてしまった。
偶然とは重なるものだ。あれは本の中の出来事だけではなかったらしい。実際、物語は現実の事実と空想で出来ているのだ。珍しい出来事に遭った時ほど、誰かに聴いて欲しくなるものだ。
「レオンハルト様…?」
そう呟いてハッとして、思わず目を逸らした。
ーー嬉しかったのだ。この知らない土地で不安に包まれていく中、偶然にも見知った存在に出逢えて、心の底から安堵してしまった。
そして同時に気づいた。わたしは、この方を頼ろうとしているーー。
たかだか一晩一緒に過ごしただけの相手。いえ、こう言うと語弊が生まれますね。親しい訳でもない、身分差もある、そんな相手をわたしはまるで友人のように頼ろうとしてしまったのだ。あまりに身勝手すぎる。
そんなことやら、目が合った貴人から礼儀知らずにも目を逸らしてしまったことやら、色んなことが瞬時に頭を過ぎり狼狽えてしまう。
そんなわたしの元へ、レオンハルト様は向かってきた。どうしよう、気まずい…。
わたしの前で足を止めると、レオンハルトは真っ直ぐにわたしを見ながら
「シャルロット…?どうしたんだ、こんなところで」
と声をかけてきた。それはそうでしょう、わたしもびっくりしてます。
「レオンハルト様、久しくお目にかかります。名前を覚えていただき光栄です」
「いや、挨拶は良い。キミと街で出会うなんて、どうしたんだ?




