遭遇
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ようやく仕事を終え帰路に着く。
陽はまだ沈んではいないが、家々の屋根に差し掛かろうとしていた。
「今日も1日が終わる、か」
明日は休暇だ。特に予定がある訳ではないが、休日と思うと気持ちがホッとする。仕事は嫌ではないし、日々の生活にそれなりの刺激をくれるものだ。
しかし、だからと言って常に享受出来るわけでもないもの。王宮勤めとなると、何かと気遣うことも多い。
戒律を重んじる騎士は規則にも則らなければならない。そのためか、勤務中はいつの間にか肩に力が入ってしまう。
「明日は自邸でゆっくり過ごそう」
帰り道は街の様子を見ながら徒歩で帰る。身分が高い者は馬車を使ったりもするが、歩くことで街の治安確認も出来るからだ。
羽織りを着るため、顔見知りでもない限り騎士とは気付かれない。
そうして街の観察をしながら邸へと向かい、あと2つ先の角を曲がれば到着するというところまで来た時。
ふいに、見覚えのあるような顔を見かけた。
人々が自分の進むべき方向を向いて歩いている中、1人きょろきょろと辺りを見ながら進む者がいる。それが目に留まったのだ。
「あれは…?」
人は誰かに視線を向けられると、不思議と気配を感じるものだ。その少女も私に目を留め、そして歩みも止めた。
驚いたように目を見開き、そしてすぐ視線を下げて目を泳がせる。そういう行動をするのは、何かしらやましい思いがある時だ。
「人違いでなければ、あの時の方ではありませんか?」
色んな意味を込めて、私はその少女へと声をかけた。




