街へ
いつもと変わらない朝。でも、今日のわたしはいつもと違う。そう、ついに決心をしたのです。
とは言うものの、何となく違和感を感じながら過ごし、思い立ってから決心をするまでにも数日が過ぎた。新しいことをするって、どうしてこんなにもドキドキするのでしょう…。それでもモヤモヤするということは、きっとやってみるまで収まることはない。
いつも通り朝食を終えたあと、歯を磨き、鏡を見る。何だかいつもより緊張した面持ちの表情が映る。
必要なものは何だろう―。お金、地図、大きめのハンカチに…本当に何でしょう?
まぁ、きっと思うように行かないこともあるだろうし、今回は学びの機会と思ってとりあえず行ってみよう。
「では、お父さんお母さん、行ってきます」
そう言って、いつものように挨拶をして、家を後にした。そこには自分への掛け声と、「きっとまたここに帰ってくる」という決心がこもっている。
いつもは町の賑わう中央通りが目的地だが、今日はそこを通り抜け、町の端へと向かう。そこへは隣町、中央都市、その他様々な場所へと向かう乗り合い所がある。
近くのものは馬が、遠くへは大人しい使役された魔獣が各地へと運んでくれる。とてもありがたい。
私は以前町へ来たときに話を聞き、教えてもらった乗り物の方へと向かう。魔獣は既に荷台と繋がれ、大人しく佇んでいた。
「今日はよろしくお願いします」
そう魔獣へ伝えると、そのまま荷台に乗り込む。屋根があり、軽く雨や日差しを防げるようになっていた。太陽がのぞいた頃に出発し、到着するのはお昼過ぎとのこと。万が一のときは、街で宿を探し、一泊しなければならない。初めての都会で、果たして自分にそんなことが出来るのだろうか…。
「考えてもわからない、やるしかない」
不安な気持ちはどんどん押し寄せるが、私は自分にそう言い聞かせた。程なくして、出発の号令と共にベルが鳴る。いつも遠くで聞くこの鐘は、誰かがどこかへ旅立つ出発の合図でもあったんだ―。それが知れただけでも、今までの自分とは少し変われた気がする。
「いざ、王都へ!」
見た目からは全く分からないであろう、私の決意を込めた心の声に反応するかのように、荷台は進み始めた―。




