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バンドマンとの恋愛(仮)  作者: 粕茶
高校1年生
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高校一年生 4



朝7時にアラームが鳴る。


夜間高校生なのに早起きなのはアルバイトに向かうためだ。

私の家族は、父親と姉その二人だけだ。

わりと父親が放任主義・・・というよりはダメ親なため自分のお金は自分で稼ぐスタイルの家庭だ。


父親のどこがダメかと聞かれたらお金がない。としか言えない。

いいとこのサラリーマンをしていたのに40代でやめた挙句、

退職金をすべて株に溶かしたのだ。


今は派遣をしている。

何か言葉を話せば「お金がない。」としか言わない。



なので高校一年生になったばかりだけど、

携帯代、学費、定期代、遊び代すべて自分で払わなければいけないため

卒業してすぐにアルバイトを始めたのだ。


家から自転車で15分の飲食店だ。


今日は8時出勤だったので7時に起きたというわけだ。

朝は弱いので辛いがお金がないと何もできないため気合で起きた。



まだ始めたてなので慣れてないせいもあって疲れたが、

なんとか退勤時間まで頑張ってそれから学校へ向かった。




朝ごはんも昼ご飯も食べれなかったため

夜間高校に給食があるのはとても有難かった。




咲ちゃんと一緒に食堂に向かい、

栄養バランスのとれたご飯を食べてやっと元気が戻ってきた。



そのあとは、学級委員などを決めたりして気づけばLHRだった。



今日は楽しみにしていた軽音部の見学へ行くので朝からここまでがとても待ち遠しかった。



教室を出ると穂波ちゃんが生徒玄関で待っていたので合流して軽音部の部室へ向かった。



どうやら化学室が部室のようだった。

緊張しながら穂波ちゃんと一緒に部室に入った。



扉を開けた先には、机に座っている先輩であろう方が数人いた。


「あの、軽音部の見学に来ました・・・。」



勇気を振り絞って声を出した。



「一年生だー!!!かわいい!!!」



机に座っていた先輩が私たちのほうへ向かってきてそう言った。


私はその先輩にもう一度、軽音部の見学へ来たことを伝えた。


「軽音部ぜんぜん活動してないんだよねー。2年生が6人と4年生が一人だけでね。

基本2年生しか来てないんだけど、みんな雑談しに来てる感じなんだよね。」



先輩のその言葉に私はショックを受けた。

それと同時になぜ夜間高校の軽音部にこんなにも期待していたのだろう。

そんなことでいっぱいになった。




「雑談ばっかしてるけど本気でバンドとかしてみたいって思ってる人もいるよ。

例えば私みたいにね。」



そう声をかけてきたのは2年生の先輩、カオルさんだった。

薫先輩は黒髪ロングヘアで身長は高めで化粧はしてないけれど

きれいな顔立ちをしていた。


薫先輩はドラムが好きみたいでバンドでドラムをしてみたいと私たちに話した。

初めに私たちに声をかけてきた先輩はつまんなさそうに残りの部室に居た人たちとまた雑談しに行ってしまった。


薫先輩は1年生の時も雑談部みたいになっていたため、

一年生の間は何も活動できなかったことを話してくれた。



「そしたら、私たちとバンド組みませんか?」



そう提案したのは穂波ちゃんだった。

私も薫先輩も笑顔で「いいね!」と答えた。

部室に入ったときはショックを受けた心が嘘みたいに晴れやかになっていた。



私は中学生の頃に配信サイトで弾き語りをしていたため

歌うこととアコースティックギターができることを伝えた。


穂波ちゃんはエレキギターをしてみたいと話していたので


「あとはベースの子がほしいね」


と薫先輩が呟いた言葉に私も穂波ちゃんもうなずいた。





そんな時に部室の扉が開いた。


「この子、軽音部の見学に来たらしいよ。」


扉から入ってきたのは赤髪の男の人と黒髪の短髪の男の人だった。


春樹ハルキ遅いよ。その子も一年生なの?」


「ごめんねー。この子、一年生で日向ヒナタくんっていうんだって。」


薫先輩と赤髪の人が話している。

どうやら黒髪の人が私たちと同じ一年生の日向くんで、

赤髪の人が薫先輩と同じ2年生の春樹先輩というようだった。



春樹くんは少し恥ずかしそうに笑いながら自己紹介してくれた。

音楽が好きで気になって見学に来たこと、バンドを組んでみたいこと。


それを聞いてすぐ私たちは


「ベースに興味ない?!」


と声をそろえて聞いてしまった。



春樹先輩と日向くんはびっくりした顔をしていたので、

ここまで私たちが話した内容を二人に薫先輩が伝えた。


日向くんはまた恥ずかしそうに笑いながら


「やってみようかな・・・」


と言ってくれた。




こうして私たち4人でバンドを組むことが見学初日に決まった。

薫先輩はときどき部室でドラムの練習をしていたようである程度は叩けるようだった。

穂波ちゃんと日向くんは一度も触ったことがない楽器だったので

春樹先輩が教えてくれることになった。



どうやら春樹先輩は中学時代から色んな楽器に触れているようで、

ギターもベースもドラムも基本出来るようだった。




はじめはどうなるかと思った部活動見学だったけど、

頼もしい先輩や同じ気持ちを持つ仲間に出会えたいい日になった。


明日から練習しようと意気込んで、気づけば下校時間になっていたため帰ることになった。



途中までみんな一緒だったので色んな話をしながら歩いた。

電車で帰るのは私と春樹先輩だけだったのでみんなとはバイバイして春樹先輩と電車に乗った。


春樹先輩は気まずくならないようにたくさん話してくれた。

その中で私と春樹先輩は一駅違いの場所に住んでることと、

春樹先輩の彼女が薫先輩なことを知った。



そして春樹先輩の最寄り駅についたので電車の中でお別れをした。





今日はいろいろあったけど、色んな楽しみが増えた日で心がウキウキしていた。

帰ったらギターを弾こう。

そう決めて私は家に帰った。




















































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