【第三章】第十五部分
「余が手配したスピーカーの効果は満点じゃった。そして、そろそろ次の展開が潮時じゃな。この状態に麻酔を打てばいい。過去に麻酔を打った結果、抗体ができてるから、そこにこの麻酔を注射すればアレルギー反応が起こるはずじゃ。」
スカイブルー幼児服の余千秋がフィールドに現れて、光秀奈たちに麻酔を打った。すると、4人の目の色が毒々しい紫色になった。
「「「「これでいい、これがいい。」」」」
4人はゆっくりと動き出して、フィールドの壁に当たったが、そのまま突き抜けた。
「これでよし。じゃあ、思う存分やっていいぞ。」
余千秋は満足した表情で、4人の後ろに付いていった。
フィールドの外は本能寺の敷地だった。
時刻はすでに雀たちが鳴く朝になっていた。静かな時間帯に寺の写真を撮ろうとする観光客が、わずかにいた。
光秀奈たちはゆっくりと本堂の方に向かっている。
光秀奈は武器を手にしてはいない。しかし、肘を軽く後ろに引っ張って、灯籠に右ストレートを当てた。『グワッシャ!』という音を立てて、灯籠は小道具の飴細工のように壊れた。
日吉はギャグを始めようとしているのか、口を大きく開いて、息を吐いた。
『バリバリ。』大きな庭石にはひびが入りバリバリと崩壊した。
かつえは木造のトイレに聴診器を当てている。数秒後、建物はドロドロと溶けだした。危蝶はバタフライ仮面を外して、投げ飛ばした。仮面は本堂の屋根を切り裂き、屋根は脆くも崩れ落ちた。仮面はブーメランのように、再び危蝶に装着された。
「うわああ!いったい何が起こってるんだ。全然わからない!」
観光客たちは悲鳴を上げながら、寺の敷地外に逃げ去っていく。
「わははは。これで徳川葵ヘゲモニーとの約束は果たしたぞ。余の社会的地位は、いや将軍職は復活じゃ。」
余千秋は腰に手を当てて、仁王立ちしていた。実にかわいく凛々しい幼女姿である。
徳川葵ヘゲモニーでは研究員がプロジェクトの成功を上司に報告していた。
「モンスターたちの精神を派遣社員が忠実に揺さぶり、バイトがアシストし、薬物処方をした結果、第2形態でフィールド外でのプレイが可能となりました。」
「うむ。このまま、本能寺を破壊しておこう。これこそが、本能寺の変というわけだな。」
ふたりはスクリーンに映る本堂と光秀奈たちを冷静に眺めていた。




