【第三章】第十二部分
ウチはチューリッヒの花を罪にするで。それを言うならチューリップや、罪やなくて詰みや。あ~ギャグが詰んでもうた。」
日吉は、落語家のように、首を上手下手に使い分けて、トイレを使わずに、信永の部屋にダッシュしたが、障子の前に静かに正座した。
「なんかヤッとるんやろうか?不安やな。おっ、社会の大窓が開いとるやんか。社会の窓って、ウチもエロいなあ。ムフフ。」
少々猥雑になってきた日吉は、ねっとりした眼で覗いた。
「う、動いとる。あれは腰のジュンコがランウエイで、大股ファッションショーや!ヤバいで~!」
日吉も女子部屋に大回帰して、報告した。
「布団が動いとった。それも山脈バイブレーションや!」
「「「えええ!」」」
びっくりドンキー的な、驚異の世界になった女子部屋。
「みんなの話を聞いてて、あたしもひまわりの胤を受粉して作ってきたくなったよ。」
咲いてもいない向日葵は受粉不能である。
光秀奈はトイレにはわき目も触れず、怒涛の勢いで信永部屋に到達した。
大穴をソッコーで見つけたが、片目ではよく見えないという理由で、二つ目の大穴を開けて、両目でガン見した。二つの大穴の合計面積は顔と同等である。
部屋の中はデンキが消されて見えなかった。しかし、光秀奈には、吐息が聞こえてきた。
『あんあん』という幼女声だった。それは明らかに布団越しのものだった。
光秀奈は耳に全神経を超集中させた。
『あんあんあん、あんあんあん。』
「こ、これは。うわさに聞く、喘ぎ声!?今度こそ、還付なき税金までに信永会長に裏切られた~!最強、埼京線エロ~!うえ~ん!」
一旦収めた税金は、税務署の強烈な防御力で、通常は完膚なきまで還付されないものである。
涙にまみれた光秀奈は、『あんあんあん』という暗澹たる状況説明をした。
「「「えええ~!!!」」」
驚天動地のスーパー台風が女子部屋に上陸した。合わせて、信永が真に裏切ったという認識は、4人に深々と共有された。




