【第三章】第一部分
魔法少女モンスターサイト運営の徳川葵ヘゲモニーでは数人の白衣の男たちが、ちょっとした議論をしていた。
「誰かが信永を殺してしまうだろうと思っていたら、誰もできていないな。」
「明智光秀奈に至っては自分が殺されたいなどという正反対の結果をもたらそうとしています。」
「いやどうせゆっくり没落させればいいのだから、別にそれでもいい。」
「しかし、せっかく信永を中性男子という変異体にすることに成功、それを維持するために、みんなに変異体へのトリガーを与えたのに、斎藤危蝶のように、変異体解除をしようというのは問題ですよね。」
「それはそうだ。喫緊の課題はその点だな。すぐに阻止行動を起こすべきだ。斎藤危蝶を抹殺しよう!」
「お待ちください。すでに手は打っています。取って置きの兵器を使うように手配しますた。」
「まさか、あんなヤバい爆弾に火を付けるというのか~!」
次の日、信永は徳川葵ヘゲモニーに呼ばれた。織田石油グループと徳川葵ヘゲモニーは、共に財界に強い影響力を持つ団体として交流がある。
かつえは嫌な予感がしたが、信永自身のことに口出しすることはできなかった。
さらにその翌日、生徒会室の天地を揺るがす大きな異変が起こった。
生徒会室のソファーでは、ブツブツ、ブツブツという声が、ゼロコミュニケーションで渦まいていた。
『カッ、カッ、カッ。』
信永が毅然とした歩みで生徒会室に入ってきた。
信永は黒い執事服を身に纏っていた。
『いつもと様子が違う!』ソファーの四人に緊張感が走り、糸が張り詰めた。
信永は四人の存在を微塵も感じていないかのように、奥に向かい、患者椅子にそのまま腰かけた。
四人の緊張の糸は、どんどん太くなり、ロープのようになった。糸には火が点いたように、メラメラと燃え盛ってきた。怒りの炎は患者椅子に向けられたものである。
しかし、フォーカスしているのは、信永そのものではない。信永が抱えている生命体に対してである。
正確には、信永は幼女らしき人物をお姫様抱っこしているのである。
幼女には黒いオカッパに2本のおさげみつあみが左右に広がっている。幼い丸顔に逆さ半月のような眸、鉛筆で書かれたような一本線の眉毛。鼻は存在が確認できない小ささで、口もそれに正比例して無邪気さを演出している。上は黄色いTシャツ、赤いミニスカはパンツが見えそうで少々ヤバい。青い短い靴下に包まれた白い足は、ちょっと太めである。
一見地味な幼女風である。しかし、胸の相当な張り方は、疑似幼女であることを証明している。
半月の瞳をぴくりと動かすと、状況は一変、妖艶を感じさせるオーラを発した。




