【第二章】第四十六部分
「そちらの作戦などお見通しだよ。上様を狙う不届き者は、世の中にごまんといるから、幼い頃から毒物対応訓練を繰り返しているんだよ。どんな毒も、『読モ』も上様にはまったく効果がないよ。」
読モの色目なんぞは、信永に無効であるのは言うまでもない。
「なんと、ハメラレたんですの?ワタクシはレイプされたのですわ!」
無論、そんな重罪ではない。
「浅はかな考えは軽く超えてみせるのが、おねいさんだよ。これは年の功だよ。むっ。年の功、年。おねいさんは年を取ってる?豊島区じゃないよ~。うぎゃあ。」
かつえは自爆して敗北。かつえは聴診器で自分のからだの音を聞くとモンスターになることに加えて、自分をトシマと認識してしまうこともトリガーであった。要は『自分で自分を診るということと同義であること』がモンスタートリガーなのである。
「グウ、グウ。腹が減ったぞ。」
信永はお腹に手を当てて、立ち上がった。
「どこかに食べ物屋はないか。」
突然、靴のはしばのシャッターが、ガラガラという耳障りな音を立てて、開かれた。
フルフェイスに宇宙服の光秀奈が、たい焼き屋台を引いていた。光秀奈はたい焼きアレルギーを完全ガードして、屋台を引っ張ってきたのである。収音マイクで音声はクリアに聞こえるようになっている。
「なんだ、どうして宇宙飛行士がこんなところにいる?」
「信永会長、あたし、かわいいですか?・・とか聞くんじゃなくて、斎藤さんの邪魔しに来たんだった。宇宙服は大丈夫だけど、なんとなく甘い匂いがする。回りがたい焼きだらけだから、大脳内で、視覚が嗅覚に影響を与えているんだろうね。」
しかし、光秀奈は顔を隠しているので、言いたいことが言える。光秀奈は超直球を信永のど真ん中に投げた。
「好きな女子はいますか?」
「一介の店員がどうしてそんなことを質問する?」
「あたしはコイバナ好きでして。」
光秀奈は分厚い手袋を手揉みしていた。いちおう、照れのポーズを行使しているのである。
「うむ。好きな女子は。」
そこで唇は動きを停止した。しかし、否定もしない。
これは!色めき立ったのは、光秀奈だけでなく、危蝶もだった。




