【第二章】第三十三部分
かつえは左にシフトして、真ん中に信永が座って、危蝶に対峙する格好となった。
(はッ。間近に見ると、すごいイケメンですわ!この前はほんの一瞬でしたけど、こうしてマジマジと見ると、凛々しさが、世間一般の男子を遥かに超越してます。これは物凄いお宝発見かもしれませんわ!)
「斎藤くん、岐阜合宿では世話になった。」
まさか、ワタクシのことを見ていたというのかしら、と思ったが、危蝶は言葉を濁した。
「あら、信永様とは今日初めてお会いしたとお見受けしますが。」
「ああ、合宿場所を提供してくれたことへの謝意だ。」
「そういうことでしたか。何か不行き届きがあったかと心配しておりましたわ。」
「他に何かあったのかな?」
「いえ、全然微塵もミジンコもありませんですわ。でも信永様のは、まさかミジンコクラスのタンシオではないでしょうか?」
「ミジンコ、タンシオ?よくわからないが。」
「いえ、スルーしてくださってけっこうですわ。」
(どうやらワタクシが合宿旅館でやったことには、気付かれてないようですわ。)
「ワタクシはこの学校の1年生クラスに転入し、かつえ様の推薦により生徒会への加入が決まりました。そこで、会長たる信永様に、学園の教育理念、それに従って生徒会運営方針をご教示頂いてよろしいでしょうか。」
「いいだろう。」
「我が校の校訓は、質実剛健、文武両道、自由奔放の3つ。知性と体躯は人生を切り開く上での両輪。そこに自由な発想力で、世界を牽引する、そんな人材を育成する我が校。その校訓である教育理念に則り、生徒会は生徒を育て守る。」
「もうけっこうですわ。ワタクシは枕営業を聞きたいのでありません。」
「それを言うなら、枕言葉だよ!」
「付き人は余計な口を挟まないで頂きたいですわ。挟むなら、ミジンコでもどうぞ。」
「ムカッ!上様のは、名刀圧切長谷部なんだよ!」
かつえは厚い唇を噛んで我慢した。信永の前であるからやむを得ない。
「でもさすがは生徒会長です。人格的には素晴らしいことはわかりました。ですが、少々試させて頂きますわ。」
危蝶は突然立ち上がり、Y字型の武器を手にしていた。
「蝶のように舞い、パチンコ大量玉出しするのですわ!」
「なんやってるんだよ?」
かつえは両手を拡げて、信永をガードしようとした。
「おかつ、手出しは無用だ。」
信永は落ち着いた表情で、ソファーに腰を据えたままである。
「ほほう。なかなかヤリマスわね。その腰、激しく動かさざるを得ないようにして差し上げますわ!」




