【第二章】第二十九部分
数日後、尾張学園に、異様な姿の転校生が現れて、登校する生徒たちの注目を集めていた。
「あの女子、制服着てないんじゃない?」「変質者なの?」「よく見ると、全身肌色の制服を身につけてるみたい?」
「ウフフ、目立ってますわ、ビックウエーブがやってきてますわ。」
フルヌードで登校すれば他人の視線を釘付けにはするが、警察のお世話になることは不可避である。
「よく見てよ、はだかじゃないわよ。」「肌色の服を着てるわ。」「あっ、本当だ。すごく薄い肌色のドレスを着てるわ。」「透け透けじゃない!」
「さて、皆さんに見せてさしあげましょう、ワタクシの本気汁をちょっとだけですわ。エイッ!」
危蝶のからだから、激しい光の嵐が四方八方に拡散した。
『バサッ。』
危蝶はドレスを空高く舞わせた。
「眩しい!」
靄が晴れていくような感覚で、危蝶の姿が露になってきた。
「今度こそ、本当の生まれたままの姿だわ・・・ん?」「からだの線はハッキリクッキリだけど、何か違うわ。」「あれはボンデージよ。」「それもセクシー過ぎる肌色よ!」「フツーは黒なんだろうけど、まったく異質だわ。」
肌色レザーのボンデージは切れ込みの激しい鋭角、そこからスラリと伸びた白い足。胸元も容赦なく、切り開かれていて、豊満な双房の大部分が露わになり、妖艶な空気を吐き出している。そして、腕を肘まで覆うドット柄の長い手袋。
黒髪はキラキラと光の星を振り撒いている。しかしそれに加えて更なるインパクトが生徒たちを震わせた。
「蝶が舞ってるわ!」
何より生徒の注目を集めたのは、純白の顔を隠す仮面だった。さらに光の正体は、七色の粉、それも鱗粉を、危蝶は振り撒いていた。鱗粉が太陽光を浴びて煌いていたのである。
「高貴なワタクシが転入してきたというのに、出迎えがありませんわ。」
「あのう、斎藤危蝶さんですか?」
危蝶の背中に遠慮がちで、ガチガチに固まりそうな声が触ってきた。
生徒会から迎えに出されたのは光秀奈だった。
光秀奈は危蝶を追い出すように、かつえに指示されていた。ミッションをクリアしたら、信永と二人きりにしてくれるという報酬が付いていた。
「副会長から、どヘンタイだからすぐにわかると言われてたけど、本当にそうだった。でもこの人、どこかで見たような?」
「やっと迎えが来ましたわね。」
「あたしは迎えに来たのではありません。あなたを生徒会室に通さないように、言われてます。」
光秀奈は黒い帽子、ピンクの魔法少女コスだった。場所は現実世界であるから、ただのコスプレである。




