【第二章】第二十一部分
「こうしてから、これを脱いで、やるんじゃろう。そのように聞いているぞ。」
余千秋は、真っ白で、もみじのような手で、日吉の頭を撫でた。
「この感触。おかん・・・。」
日吉は、涙が落ちるのを惜しむように、ゆっくりと頬を伝うのを感じた。
ほんのしばらくの間、日吉の頭は、屈託のない母親の笑顔でいっぱいになった。
『グーっ』
余千秋のお腹が鳴って、幼女顔が紅潮した。
「こ、これはグッドジョブっていうサインじゃ。」
「ついて来いや。あんたとおかんとの関係とか、色々聞きたいこともあるしな。」
ふたりは日吉の安アパートへの道に進んでいった。
いつの間にか、日吉は落ち込んでいた気持ちを忘れていた。
日吉は家柄的には十分な足利家の推薦を得て、生徒会オーディションに臨むことができたのである。
合格の翌日の放課後、光秀奈と日吉は生徒会室にと向かったが、意外にも足取りは軽くなかった。光秀奈は引続き、生徒会の仕事に不安があり、日吉は合格に十分な納得がなかったからである。
ふたりは無言のまま、一緒に生徒会室の扉を開いたが、ひどく重く感じられた。
「やあ、おふたりさん、いらっしゃい。」
「「ギクッ!」」
あまりに、にこやかなかつえの笑顔に、ふたりはビビるしかなかった。
「どうしてそんな顔をするんだい。こんなに優しいおねいさんは、めったにお目にかかれないというのに。」
「副会長、ウチはみなさんの前で、お笑い、いや、挨拶をせんとあかんのやないですか?」
「あっ、それで緊張してたのかな。そんな形式ばったものは、この生徒会にはないんだよ。それより、明日の週末から一泊二日で、おふたりの歓迎会合宿をやるからね。お泊まりの準備をしておきなよ。場所はお隣、岐阜県の提携合宿所だよ。」
「「歓迎会、それも宿泊付きですか?」」
同口同音のふたり。言葉にしなかった思いも同じだった。
「「会長攻略のチャンス!」」




