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【第二章】第十八部分

「だが採用する。不合格なのは、ネタの方だ。人物本位では合格者として認める。」

日吉の顔は壊れるぐらいに緩んだ。

「えっ、ホンマかいな!光秀奈、やったで~!って、おらへんなぁ。」

日吉の表情はサルのように無愛想になった。

「凹むわぁ。ギャグはダメなんや~。」

その瞬間、日吉はバトルフィールドに転移した。日吉はギャグがすべるとモンスターになってしまうのである。


ちょっと時間を遡って、尾張学園の入学式の2週間前。

織田屋敷で仕事を終えて、商店街の近くを通った日吉。そこはシャッター街になっていた。ちょっと前までは多数の通行人や客が来ており、それなりに繁盛していたので、日吉には意外なことだった。

「別に実家のことなんか、気にせんのやから。おかんの放漫経営で、つぶれて当たり前や。世の中で、つぶれていいのは、血マメとやぶれ饅頭と社長のメンツだけやな。いや、スクラップや粘土もあるな。それ以外にも、ケチなオバハン、オバタリアン、それは同じか、税金で雇われとる窓際公務員もそうやな。おっと、優勝でけへんプロ野球の虎チームもあるな。ゼッタイ忘れてならんのが、無能総理大臣や。世界にはごまんと、あるやないか。なら、ウチの靴修理屋がつぶれるのは必然中の当然や。」

日吉は、ひとけのない商店街の通路を歩いて、薄汚れた自宅兼店舗で立ち止まった。

『廃業しました。長い間お世話になり、大変感謝しております。靴のはしば店主。』という、赤マジックで書いた手書きの張り紙がしてあった。

看板はすでに撤去されていて、錆の跡がやけに目に付いた。

「改めて見るとちょっと寂しいな。」

旧店舗の前に佇んで、ぐっとコブシを握りしめた日吉。そのまま、しばらく茫然と立っていた。

すると、ふたりの六十代オバサン、つまり老婆カテゴリーに片足以上突っ込んでいる婦人たちが、日吉の後ろに立って、井戸端会議を開始した。

「ここの商店街は織田石油グループが地上げしたらしいで。」

「そうなんや。」

「それでな、1階がガソリンスタンド、その上はオフィスビルになるらしいで。」

「そうなんや。で、この、靴のはしばという店も止めたんやな。」

「そや。でもこの店の廃棄は、ちょっといわく付きなんや。」

「なんやそれ。お化けでも出るんかい?」


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