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【第二章】第十四部分

「今日は気温が高いから、カイロじゃなく人肌レベルで十分や。ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ。他人からここを摩擦されるって、こんな感じなんや。あ、あはん。」

ちょっと目的から逸脱気味の日吉。でもこうでもしないとやってられないという、悲しい側面は無視できない。

「う~。これはキツいぞ。おかつのヤツ、からだを温めるためと称して、朝からお茶を飲ませ過ぎだ。こんなに小用に迫られるとは。」

中学生制服の信永が大慌てて、トイレに飛び込んできた。あまりに急いでいたのか、ズボンのジッパーを引っ張ろうとした状態である。

「えっ、信永様!?ご乱心、いやお腐乱スされたんや、おまへんか。」

恥ずかしい場面での、信永との遭遇に、日吉は舞い上がってしまった。別にボケたわけではなく、ただの言い間違いである。真面目な日吉に、ギャグセンスの持ち合わせはなかった。

信永もジッパーに手をやってるという不自然な姿勢だったので、床の段差に足を取られて、日吉に覆い被さってしまった。つまり、日吉のふたつの腫れ物に、顔を乗せた格好である。

「ぎゃあ、どけや~!」

日吉はスリッパを取り出して、信永をひっぱたいた。信永はからだが反転し、臀部が剥き出しになった。その衝撃で、日吉のツナギのお腹が破れて、ヘソの横にある赤いほくろが、信永の目に入った。

「こんなプレイ、いややあ!」

日吉はおしりを回避するため、革製の固いスリッパをそこに刺してしまった。

「痛い、穴が開いたぁ!」

信永の絶叫がトイレを越えて、屋敷中にこだました。

「ウチはなんてことをしてしまったんや!どうすればええんや?とりあえず、痛がってる信永様の心を他に向けなあかん。」

日吉は手元に戻したスリッパを使った芸に逃げた。本来はケガの手当が先であるが、日吉にそのスキルはなかった。

「ウサぴょんや、ぴょんや、ぴょん。」

ウサミミを付けた日吉は、うさぎ跳びを展開した。ギャグ的に面白いわけではないが、あまりに唐突な出来事に、信永は爆笑した。

「いや、なかなか面白いぞ。こんなに腹を抱えて笑ったのは久しぶりだ。尻の痛みも消し飛んだ。幸い、血も出てないし、大したケガではなかったようだ。お前はどう見ても中学生、それも低学年に見えるが、どうしてここで働いているんだ?」

日吉は真面目な顔つきで、言葉を吐き捨てた。

「お金のためです。生きていくためには、金が必要やからです!」


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