【第二章】第七部分
ある日の昼休み。光秀奈は鬼の形相で、ついに日吉に詰め寄った。
「毎日毎日、ゲームバトルで疲れちゃうよ。これ、見てよ。」
光秀奈は制服のスカートをめくって、白いフトモモを露にした。
「おおお~、むしゃぶりつきたい!」
「おい、光秀奈。その一人芝居、大根やで。」
「あたし、大根足じゃないよ!って、こうやって、日吉のゆりゆり疑惑の無罪を確認しただけだよ。日吉が無反応だったから、安心して相談できるんだよ。」
「それで相談って何や、いや想像ついてるけどな。生徒会のオバチャンからのイジメを回避はできないから、せめて、モンスターバトル時の痛みを軽減したいってことやな。」
「そうそう。よくわかってるじゃん。」
「痛みを軽くするには防御力の強化が必要や。」
「うん、うん。」
「そのためには、血の滲むような鍛練が第一や。それはジャッジからの攻撃をぎょうさん受けて、痛みを十分学習せなあかん。」
「それはあかんよ!痛いの痛いの、屯田兵だよ!」
「防御力を強化する気がゼロなのは想定内や。そこでや。」
「うん。」
「こら、そこは、『どこなの?』とやって、キョロキョロせんかい!ウチが用意した初歩的ツッコミどころや。」
「んなの、わかるか!あたしはお笑いタレント、目指してないし。」
「だれが目覚まし時計やねん!」
「話が進まないよ!とにかく、たくさん痛いのは、やだよ。」
「そう来ると思うたんや。たくさん攻撃を受けなあかんことは、変わらん。でも痛みを回避することは化膿なんや。」
「化膿って、もう逃げたくなったけど。」
「いや、ごめん。化膿やなくて、可能なんや。」
「どういうこと?却って危険なことじゃないの?」
「危険なことはあらへん。痛くないのは確実や。ウチが試してるんやから。」
日吉はドヤ顔で、腰に付けた注射器を指差した。
「いつの間にそんなものを用意したの?」
「前から持ってたんや。」
「でも注射器だよ。針が痛そうに光ってるよ。」
「それは幻や。ほらほら痛くない、痛くない、痛くない、痛い、痛い。」
「途中から痛くなってるじゃない!」
「言葉をショートカットしただけや。短いのが好まれるのは、スカートと俳句の真骨頂や。」
「全然違う、いや違わないけど。だ、誰でも最初は痛いんじゃないの?」
「変なことと混同するんやない。そんなことあらへん。騙されたと思うて、騙されるんや。」
「騙されたくないよ!」
「ただのボケや。ほら注射器で、ぶちゅうっと。」
光秀奈は日吉の不穏な動きを即座に回避した。




