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【第二章】第五部分

「弱点?そ、そんなの、あたしは、弱点だらけだけど。」

「それはそやけど、今から言うのは弱点中の弱点や。この前モンスターに変身した時、光秀奈はたい焼きに気を取られたやろ。」

「そ、それは。」

「図星やな。って、ウチはズボラやないで!」

「うん、わかってる。」

「そこは、あたしはズボンは穿いてないよ、パンツも穿いてないよ、この通り、すっぽんぽんよ!って、ボケるとこや!」

「ひとりでボケツッコミしないでよ。」

「ご、ごほん。やっぱりたい焼きが苦手なんやな。たぶん、さっき生徒会でたい焼き使ったイジメに遭ったやろ。」

「そう言えばそんな記憶があるような。」

「このままにしておくと、イジメがエスカレートするで。そやから、たい焼きキライから脱出するための特訓をやるで!」

「ひええ~!」

 

翌日の昼休み。校舎裏の人目につかないところに、日吉と光秀奈はいた。ふたりとも、罰ゲームの苦い青汁を飲まされた顔をしている。

「そもそも、どうしてたい焼きが苦手なんや?」

「たい焼きの目があたしの目と似てる。どっちも死んだようなところがね。」

「どれどれ。ウチにもよくわかるように、よ~く見せな。」

日吉は必要以上に、ぐぐっとアタマを寄せた。

「顔が近いよ。やっぱりエロいことをしようとしてる!」

「違うわ!たい焼きの目と光秀奈の瞳はひとつも似とらへん。自分でよく見てみ。」

日吉はキャラネコデザインのファンシーな鏡を光秀奈に渡した。

「たしかにまったく違うね。」

「他に原因があるはずや。たい焼きについての記憶。よく探してみいや。」

「そんなこと、急に言われても。ずっと前からだし。」

「生まれた時からたい焼きが嫌いなんてありえへん。きっと何かのトラウマやな。水族館で鯛を見てみた時に、こけたとか。鯛に食われそうになったとか。鯛をしこたま食べさせられて、飽きてもうたとか。光秀奈は、鯛を食べきれんほど出すほどの金持ちには、見えへんけど。」

「失礼な、でもなく、その通りだね。悲しい。」

「う~ん。反論がないと思考がつらいわ。食いものなんやから、食べて腹をこわしたとかないか?」

「たい焼きって腐るようなもの?大抵、焼いてからすぐに食べるよね。暖かいうちが美味しいはずだから。」

「あ~、もう話がすすまんなあ。光秀奈は誰かに殺されたそうになったとか、あるわけないなあ。」

光秀奈は、その言葉にハッとして、心のボロな紙袋を破られた思いがした。

(あたしが信永会長に殺されたいのは極秘だから。)

「もう、調査がすすまんやないか。こんなこともあろうかと思って、これを用意しておいたんや。ガバッと!」

日吉は、部下のダメダメ書類を放り投げる部長のように、大量のたい焼きをぶちまけた。


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