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【第一章】第二部分

これは、とある火曜日の小日本経済新聞の記事。

『速報、石油業界大手の織田石油グループの大英断!』

織田石油は、言わずと知れた織田信長の子孫が経営する大企業グループである。

『昨日、織田石油は、旧将軍家系譜の徳川葵ヘゲモニーファンドからの買収提案の拒否を表明。代表者のポジションだけでなく、同ファンドからの取締役就任を放棄して、非常勤監査役派遣のみで、実質的な経営権を維持させるという破格の条件を呑まず。老舗織田石油の意地を市場は高評価し、低迷していた株価は急上昇し、年初来高値を更新。』

「面倒な記事が載ってるな。親父の情報管理が不十分だから、小日経新聞にスッパ抜かれるんだよ。」

尾張学園の生徒会室で、生徒会長の織田信永は溜め息をついて、新聞を放り投げた。

「まあまあ、上様。そんなことをしてると、ご乱心と言われますよ。織田石油グループ次期当主としての立ち居振舞いには、十分に気を付けて下さいませ。万事、このおねいさんに任せなさい。パンパン。」

信永の隣に立っていた、どピンクのナース服が肉感的なお腹を叩いた。

織田石油のグループ企業の娘である柴田かつえは、含み笑いをしながら、信永の背中を擦っていた。

「おかつよ。今日もオレに開けられた『穴』が邪魔をする。」

信永はかつえに聞こえないように呻いていたが、かつえは地獄耳だった。

「上様、なんなら、おねいさんの穴を開けるのを手伝ってくれますか?」

「バカなことを言うな!」

 かつえは不気味な含み笑いを信永に向けていた。


冒頭の赤いコスの魔法少女は家にいた。壁、天井など、そこらじゅう、ピンクな女の子らしい部屋で、本人はラフなジャージ姿である。

「ああ、痛かった。そう言えばここにいた時に呼ばれたんだった。あとどれぐらいライフストックが残ってるんだろう。痛いから早く魔法少女モンスターをやめたいんだけど、ライフストックがゼロにならないといけないとか、ドMシュミもいいところだね。」

 ライフストックは、ジャッジ、モンスターの両方にあるゲージである。


『魔法少女モンスターGOO(GRAVE ON ODYSSEY)』というソーシャルゲームが流行している。

巨大企業グループを構成する中核企業の『徳川葵ヘゲモニー』が運営するゲームサイトにアクセスして登録する。初期費用は無料、ゲーム開始後に武器や防具購入に課金されるというのは、よくあるゲームと同じである。

プレイヤーはひたすらモンスターを倒して、経験値を獲得してレベルを上げていく。

このゲームが流行している理由。それはモンスターが魔法少女で、プレイヤーの前に突如出現する、それも等身大で生身のアバターだからである。

外観からは、コスプレしたリアルの魔法少女と変わらず、実在感は圧倒的である。モンスターは攻撃を受ければ悲鳴を上げて、苦悶の表情を露わにする。

プレイヤーにとって、魔法少女を合法的にいたぶることができる、つまり魔法少女を傷つけて倒しても、罪に問われることもないわけで、女子にモテない男子やフラれた男のストレス解消には、もってこいなのである。無論ドSの変態野郎には至福の時間を提供するゲームなのである。

一方、倒されるだけの魔法少女モンスターとは何か。それは実在の、普通に暮らしている女子たちである。彼女たちがゲーム内で魔法少女モンスターに登録するのである。傷付け倒されるだけの魔法少女に何のメリットがあるのか。



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