【第一章】第二十七部分
「あ~あ、やっちゃったわ。やっぱり安物はすぐに壊れちゃうわね。」
「ううう。」
光秀奈は呻き声を上げて、自分の腰を擦った。
「あれ?あたし、斬られてないよ。」
「当然だわ。斬る速度を倍加させて、回りの空気を切り裂いたから、からだが分かれたように見えただけよ。つまり残像がからだから離れたということ。さて、では仕上げといくわよ。」
康世はトコトコと光秀奈の所に、歩いて行って、お姫様抱っこをした。
「よくわからないけど、助かった・・って訳じゃなく、動けなくなったあたしに、エロいトドメを刺す気ね?」
「違うわよ!ドスン。」
康世は擬似音声を出力して、光秀奈を日吉の脇にどけた。
「安易に殺すのはもったいないわ。私は自分とヒトの死に方は尊いものだと、思ってるからね。次はド派手な衣装のあんたよ。」
「千両役者の登場や。道を開けるんや。」「頭が高い!」「誰の座高が高いんや?」
「日吉、ひとりでボケてもだれもツッコまないよ。」
「どうやらド派手は劣等生のようね。生徒会長としては、低レベル生徒を引き上げるのが役割。だから、おしおきよ!ワハハハ。」
「あんた、それでも生徒会長かい?」
「学校と生徒は、生徒会長の栄華のために存在するの。そのためには、将来に不安をもたらす病原菌は駆除しないとね。」
「コイツ、外道や。お笑いで世界に光を照らすウチとは真逆な輩や。外道には負けてられへん。ドンドン恋や。あら文字が違う。濃い、いや、じゃない来いや。これは故意やからな。」
「うるさいわよ。もう容赦しないからね。」
康世は、大鎌を血管の浮かび上がった腕っぷしで振り回す。
日吉は、ひらひらのスカートを翻しながら、高速の反復横とびのように、左右に動いて攻撃を回避する。
「ぐぬぬ。ド派手なワリにすばしっこいサルめ!」
「サルやと!?ウチ、その呼び方、スゴく嫌いやねん。もう許さんで。こっちも本気でやったるで!」
日吉は右手をアタマに乗せて、口を開け、左手でアゴを触っている。つまりサルのポーズで、康世を挑発した。日吉は小さい頃からサル呼ばわりされていたので、それには慣れていたのである。




