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【第一章】第二十五部分

ある時、康世のいる体育館フィールドに、次のモンスターが現れた。

「これはゲームなんだから、何人殺しても刑法に触れることはないし、倫理的にもまったく問題ないわ。ドンドンやれと、もうひとりの私が言ってるわ。」

もうひとりが言うという認識を持っていることは二重人格ではなく、自分の非人道的な行為を正当化しているだけである。今度のモンスターも低レベルで、康世の大鎌のなすがままに、切り裂かれた。

「なんか物足りないわ。武器が大きすぎて、刺身にするような精緻さを絶賛募集中なのになあ。あははは。」

狂喜に浸りきる康世からは、理性が逃げ出していた。

「ひとり殺してふたり、殺した。どんどん殺す。どうして殺戮部に入部したかって?カンタンじゃない。絶望した私に未来はない。殺しに飽きたら殺してもらうつもり。ひひひ。私、狂った?そんなことない、夢でもないわ。ほら、頬をつねった。痛くない。こんなのが痛いわけない。やるならペンチで引っ張って皮膚を肉ごと破らないとね。真に痛いのはここだけよ。」

康世は高鳴る心臓の上を押さえた。理性が欠如した心臓は、すごく軽く感じられた。


『ドン!』

現在の康世の鼓膜が大きな音に震えた。康世の欲求を満たさんと、目の前にふたりのモンスターが出現した。

通常、モンスターが現れる時に音はしないのであるが、今回は光秀奈のあとに、日吉が覆い被さってきたのである。

康世には、ふたりが腰を巧みに動かしているように見えた。無論、エロいこととは無縁なふたりだが、ぶつかった偶然な衝突の結果腰が振動しただけである。だが、そういうことに極めて疎い康世には違った風景に映った。

「ふたりは、ゆりキュアなの?」

「「違う!」」

ふたりの反応はシンクロした、評価10点満点

「それにしてもひとりはド派手で安っぽそうな魔法少女コスねえ。」

「違うで!」「その通りだわ。」

シンクロせず、1点。

「これまでのモンスターより手強い雰囲気はあるわね。新しい獲物と見た康世。 まだ殺したりないから、殺るよ?あっさり死なないようにね。」

康世はカエルを狙う大蛇の冷たい目になった。

冷酷な視線に圧迫を受けたのか、光秀奈と日吉は防御態勢を取りながら、慎重に立ち上がった。

バトルであるから、相手を見て萎縮すると、動きが鈍ってしまうので、ビビりは回避しなければいけない。しかし光秀奈は、からだの震えを抑えきれなかった。

日吉が背中に回って、顔でスリスリしていたからである。

「こら日吉、やめてよ!ゆりキュアと勘違いされるじゃない。」

「相手がゆりキュア言うから、ボケただけや。」

「な~んだ。こんな時にもボケなんてやめてよね。」

「ハアハア、ハアハア。」

 日吉の呼吸は荒々しく乱れている。

「ガチだよ。」「ガチだわ。」

光秀奈、康世は正直に感想を述べた。


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