【第一章】第二十二部分
彼女は、気が強く振られた歴史なしであった。真面目な彼女は、生徒会長であり、学校間生徒会交流で、尾張学園の信永と出会ったのである。
私こと松平康世は、いつもツンツンしていると言われる。そんな俗語に汚染されている自覚はない。
私はハッキリ言って男子にモテる。しかし、私に言い寄る男子は、私と対峙すると、大抵たじろぐ。そんな男ばかり見てきた。
私に釣り合うとか、付き合う価値が低いとか、そんなことを思ってるわけではない。どこまで真剣に私のことを思ってくれてるのか、それを試していないと言えばウソになる。
私は、相手が私のことを、どこまで広く深く思ってくれているのかを、見極めようとしているだけなのに。
私の真剣なまなざしを見ると、大抵の男は目を逸らす。萎縮してるんだ、私はそう感じると、どうしても態度に出てしまう。
ある時、尾張学園で、みかわ女子高と意見交換会が行われることになった。両校の生徒会活動状況を聞いて、幅広く議論し、それを自校の生徒会運営に生かそうという試みである。今回はこちらから尾張学園を訪問することとなった。
生徒会室に通された私は、女子ばかりの生徒会を見て、呆れた。ああ、ここの生徒会長は織田石油グループの御曹子だと聞いていたけど、生徒会を私物化して、ハーレムを構築してるんだと確信した。金持ちの道楽で生徒会長をやってるんだ、こんなヤツが将来銀座や六本木辺りで、御大尽遊びをして、個人消費を上昇させるんだ。
そんな思考というか、感想を巡らす私に、凶悪な鉄槌が振り下ろされた。
織田生徒会長が入ってきた。彼は車椅子に乗っていた。足が悪いとか、聞いてないよ。いや足が悪いんじゃない。品行方正じゃないんだ、そんなものじゃない、品行悪性だわ。こんな酷い生徒会長、見たことないわ!
というのも、車椅子を押しているのは、濃いピンクのナースだったから。胸に校章を付けているから、生徒には違いないみたいだけど、ここの生徒会役員なのだろうか。ナースは持ち前の強大かつ凶悪な胸を、露骨に生徒会長の肩に乗せている。ここはキャバクラじゃないのよ?キャバクラってどんなところか知らないけど。
気づいたら、さっきまでいた女子たちは忽然と消え去っていた。
ナースは、豊満で放漫な括れた肢体を左右に揺らして、車椅子ごと、こちらに近づいてきた。私に貧富のボディ格差を見せつけている意図は明白だ。
ナース姿の秘書らしき美人と公明正大にイチャイチャ。ああ、やっぱり、御大尽生徒会長なんだ。私は落胆したのを感じた、ということは心のどこかで、織田生徒会長に何かを期待していたことになる。
それを恥じて、私は暗たんたる気持ちに沈んだ。こんな輩に落ち込むなんてバカらしい!私の感情は落胆から怒りに転じた。
こんな生徒会長がいるのか。今度は憤怒に震えて、地震を起こしそうに、机を揺らした。




