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【第一章】第十九部分

「ふ~ん。」

「火と日は、曜日が違うって、ツッコまんかい!」

「いきなり、そんなこと言われてもツッコミなんかできないよ。」

「初心者やからしゃーないな。これは有機野菜弁当や。火の丸弁当と言っても真ん中がでかい。梅干しはコア、まわりにニンジン、赤パプリカ、肉。米はゴシゴシヒカリや。ゴシゴシ磨いたぐらい光ってるで。これ作るのにいくらかかると思う?百万円や。」

「百円なんだ。」

「違う、そこは百万円?安いなあ。ってツッコミするんや。半ボケが受けるんやで。これはウチの畑で作ったんや。」

「そこのふたり、今は授業中ですよ。お弁当を広げてる時間帯じゃありませんよ。」

「ごめんなさい。」「すんまへん。」

教室中においしい匂いが漂ってきたため、女教師は窓を開けて換気した。


今度は本当の昼休み時間である。

中庭でふたりだけで弁当を広げていた。日吉は箸をタクトのように振っている。

「ウチは芸人めざしてるんや。いつか、ピン芸人になって、大金持ちになるんや。」

日吉は首を大仰に振って金髪を揺らしてみせた。

「あれ?髪は2本じゃなくて、うしろに6本あるよ。」

「そうや。合計で8本や。景気ええやろ。たこ焼ツインテールや!」

「8本って、ツインテールじゃなくなってるよ。」

「モノは多い方が派手でええんや。」

「ふ~ん。そんなものなんだ。」

光秀奈は、日吉の髪の色がメタリックに輝いているのがいかにも人工的で気になったが、ツッコむのをやめた。

「自家農園やって、芸人とかすごいね。」

「そうやな。そないな立派なものやあらへん。」

「えっ。そうなの?い、いやなんでもない。」

「へんなやっちゃな。ほら食後のデザートに、ごっつう熱いものでもどうや。ほら、聖火や。」

「冷たい!これってソフトクリームじゃない。」

「こら、どこがやねん、とツッコむんや、それで初めておもろくなる。ほれ、聖火代金のおつり、1千万円。」

「払ってもないのにおつり?」

「ノリや、ノリ。ほら向こう見てみ。大阪城が天空を突き刺すように聳え立ってるで。」

「あれは名古屋城なんだけど。」

「大阪城の横に見えるのが通天閣や。」

「通天閣なんかないけど。あほ。スカイツリーやな、あっごめん、すっかいらあく、やった、なんでやねん!とボケてツッコむんや。」

「わかったよ。努力する。」

「こんなんやったら、芸人にはとてもなれへんで。」

「あたしは芸人なんて目指してないし。」

「そんなことは関係ない。芸人テストや、テストやるで!昼休みも終わるし、教室に行くで。」

「ちょ、ちょっと、教室に戻るのはいいけど、テストっていったい何?」

「行けばわかる。いや別にわからんでもかまへん。」

日吉は光秀奈の腕を引っ張って、校舎に駆け込んでいった。


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