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プロローグ

「赤い。オレは赤い悪魔が怖い。どうして赤い悪魔をこんなに恐れるのか?それは、赤い悪魔が、オレのすべてを奪い去るからだ。・・・。こ、これは赤い悪魔の気配!?来る、来るぞ。来た~。これこそ、あの赤い悪魔だ!お、襲われる、うぎゃあああ~。」

即座に御曹司は自分の下半身に手をやった。

「ま、まさか。な、ないぞ?なくなったのか~!」

 御曹司は両目がつぶれるぐらいに、顔をくしゃくしゃにして、絶望し喘いでいる。

「はっ。ゆ、夢か。また今日も赤い悪魔の洗礼を受けることになるのか。ううう。」

大きな屋敷の広いベッドで、『赤い悪魔』に怯える御曹司の顔色は、真っ青であった。

『ドタドタドタ!』

濃いピンク、つまり『どピンク』のナース服を着た、流線形を強く主張するボディの、若い女子が御曹司の部屋に、凄まじい勢いで、乱入してきた。同時に、白く長い台をガラガラと引っ張ってきた。

「上様、ご無事ですか?狼藉者はどこですか?今すぐ、おねいさんが退治しますから、こちらで横になってください。」

どピンクナースはそんな言葉を口にしながら、力感溢れる両腕で、御曹司を抱きかかえて、持ち込んだ白い台に、御曹司を移動させた。

「狼藉者とはお前のことだ、おかつ。こんな夜中にオレを手術台に乗せて、いったい何をするつもりだ。」

「あっ、これは失礼しました。上様の体調が思わしくないと診断しましたので、つい。」

「もはや、お医者さんごっこをする年齢じゃないだろう。変な夢を見ただけだから、もうここから出ていってくれ。」

「ははあ。上様の仰せのままに。」

どピンクナースはスゴスゴと退出した。

「チッ。いつか必ず解剖してやる。」

どピンクナースは、御曹司に届かないように小さな声で呟いた。


ここは街外れの、ひと気のない、小さな公園。ブランコひとつないのだから、子供も寄り付かない場所である。

赤いコスチュームの魔法少女が、魔法ステッキを震わせながら立っている。

『あわあわ。』

「コイツがモンスターか。オレにとっては、ふたりめだぜ。」

ラフな髪の学ラン男子。カラーを開き、第一ボタンを外している。ガムをクチャクチャしている、ちょっとヤンキーっぽい輩である。

一件普通の学生に見えるが、一点だけが他とは違う。目が黄金色に輝いているのである。

「ひっ。あ、あんたはプレイヤー?」

「プレイヤーだと?プレイしているのはたしかだが、『ウイッチモンスタージャッジ』と呼ばれているぜ。魔法少女モンスターを裁く裁判官だからさ。」

「オレはまだ武器を持ってないから、攻撃はこれだ。」

クチャクチャ男は無抵抗な魔法少女モンスターを殴る蹴るの、やりたい放題である。

「痛いよ~。もう限界だよ~。うわあ!」

魔法少女モンスターが悲鳴にも似た声を出すと、からだから小さな炎が出て、男のからだを焼いた。

「あちちち。やめてくれ~!」

『ピピピ。』

男の腕に付けられた黒いデジタル時計が鳴った。そこには『0』という数字が出ていた。

男時計に目をやると、眉間にシワを寄せた。

「ヤバい。ライフストックがなくなった。ゲームオーバーだ。」

男がそう言った時、魔法少女モンスターは、目の前から消えていた。


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