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祝福が全ての世界  作者: 緑 遊
3/4

話し相手はいたほうがいい

「いやーにして本当に歩き続けれるんだねーえらいえらい」


そういいながらクラシーはスラヴの頭をわしわしと雑に撫でてきた。

それに対してスラヴは嫌そうな顔をしてクラシーの手を払いのける。


「当たり前だ子ども扱いするな!」


「あははは、ごめんごめん」


スラヴとクラシーは夜中に出会って一緒にノーサスに行くことにしてから今までずっと歩き続けていた。

太陽が昇り切り、朝というよりはすでにお昼のほうが近い時間帯だ。

あれから魔物と出会うことなく歩き続けているがいまだにノーサスについていなかった。


「いやーでも私魔除けの魔法あるって言ってるのに全然休もうとしないんだもん。ノーサスまでまだまだあるしさ休んだほうがいいと思うけどなー」


「…」


クラシーはここまで何度か休憩を取ろう提案したのだがスラヴがそれを拒まみ歩き続けてきた。

それにはスラヴなりのいくつか理由があるが、特に重要な理由にクラシーはあくまで一時的な同行者であるということが挙げられる。

これからも一緒とは限らない。


「そういえばスラヴ君はさ、なんでノーサスに行こうとしてるの?この道で行くってことはアルケイドに住んでいたってことでしょ?正直ノーサスよりもアルケイドのほうが治安いいし住みやすいよ」


体の疲れよりスラヴが鬱陶しいと思っているがこのクラシーの質問だ。

定期的にクラシーはスラヴに様々な質問してくる。

好きものとか自分の見た目についてなどスラヴにとってどうでもいいことばかりだ。

しかし、今回は目的をスラヴは目的を聞かれ少し考えた。


(ノーサスに行ったあと俺はどやって暮す?また盗みか?違うなそれだとアルケイドと同じ目に合う。働く?いやいやエンダを雇うような場所はないだろ)


「どうしたの?」


返事がないことが気になったのかクラシーはさらにスラヴの顔を覗いてきた。


「…いや別に。それよりお前のほうはどうなんだよ。なんでノーサスに行こうとしてるんだよ?」


答えが思いつかなかったのでスラヴは逆にクラシーに質問をした。

そうするとクラシーはムっ顔を膨らめた。


「もー、こっちはスラヴ君のこと聞いてるのになー。まぁいいや、私がなんでノーサスに行くというとー…」


「…」


やたらと答えを言いうのをためてくる。


「それはースラヴ君がノーサスに行くからでーす」


「はぁ?ふざけるなよ」


「別にふざけてませーん、本当でーす」


「そうゆうところがふざけるって言ってんだよ」


クラシーのふざけた答えにスラヴは悪態をつき、ふざけた態度にも悪態をつく。

スラヴはこの数時間でクラシーが能天気なやつだと認識した。

全く緊張感がなくスラヴがいくら悪態をついても全く気にした様子がなかった。


(くそ、こっちは魔物がいつくるかって警戒してるのによ。祝福があるからそんなに余裕なのか?)


昨夜見たクラシーの戦闘能力はすさまじかった。

スラヴが手も足も出ないオオカミの魔物をあっという間に殺してしまった。

それに自分の身長より大きな斧をを振り回していたのも印象的だった。


(あれ?そういえばこいつあのバカでかい斧どこにやった?)


いまクラシーの姿を見ても彼女は昨夜使っていた斧を持っていなかった。

今まで興味もなくまともに見ていなかったが魔物の返り血もついていなかった。


(洗い落とした?いやそん時間なかった。じゃあどうやって)


そんなこと考えながらクラシーを見ていると、クラシーはスラヴの視線に気づいた。


「どうしたのスラヴ君?私の顔になんかついてる?」


スラヴは言うかどうか迷ったが意地よりも興味が勝ち質問することにした。


「なぁ、あのでっかい斧どこにやったんだ?あと返り血もべったりついていたの見当たらないけど何したんだ?」


「お!やっとスラヴ君が私に興味を持ってくれた。嬉しいな」


「いいから早く教えろ」


茶化すクラシーをスラヴはせかす。


「いいよ、あのね私はね、モノのサイズを自由に変えることができるんだ。みててね」


そういうと、クラシーは胸ポケットから何か取り出した。


「えい」


クラシーの掛け声とともに取り出した何かは徐々に大きくなりやがて昨夜見た大きな斧に姿を変えた。


「ほら、すごいでしょ。生き物は大きさを変えれないけど、モノだったらなんでも大きさを変えれるんだよ。だから応用で返り血も小さくしてあとは適当に拭うだけであっという間にきれいな状態に元通り」


クラシーはどや顔で自分の祝福の説明をした。

スラヴはクラシーの祝福に驚き、やっぱ言わなければと後悔した。


「ね、ね、ね、すごいでしょ」


自慢したかったのか、しつこくスラヴに迫る。


「あーわかったわかった、すごいすごいとてもすごいシュクフクデスネー」


そう言うとクラシーは満足したのか満面の笑みになった。

よっぽどうれしかったようでそれから二人がノーサスにつくまでクラシー何度も祝福を見せて、こんなことができるあんなことができると自慢してきた。


明日は無理かもしれない。三日以内には。


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