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夏のシリウス  作者: 捺嬉
6/7

約束。

ラジオ体操が終わると、自分のカードにスタンプを押してもらえる。毎日ためると、鉛筆とかもらえたっけ。

自分のカードの名前欄に目をやる。俺、今六年生なのか…。まあ、一歳違いの姉が中学生で、俺が小学生ならそうだよな。



「はるー!今日の約束、覚えとるんやろうな?」


しゅんちゃんが肩を組んできながら言った。


「えっ、約束…」

「みんなで作戦会議したやろーが!俺らの、秘密の調査!」


秘密の調査?なんのことだかさっぱり思い出せない。


「…球場、夜の十時、集合」


宙が腕組みしながら言った。

球場?そういえば、昔こいつらと夜に親の目を盗んで外に出た気がする。


「はるが言い出したんやぞ?しかも、秘密厳守!って」


有川瑞樹が靴紐を結び直しながら言う。…正直、夢の中のガキの頃のこいつでさえも、今は話す気になれない。


「そう!俺らの秘密調査!うぉー!俺、ワクワクして、夜寝れなさそう!」

「しゅんちゃん、夜、寝ちゃったら調査来れないから(笑)」

「あ、そっか!やっぱ瑞樹は頭いいな!」


お前の脳味噌がお花畑なだけだよ。


「俺、バナナ持っていくわ!あれ?バナナってお菓子か?」

「…先生は居ないんやから、お菓子でもどっちでも関係ないでしょ」


宙がつっこむ。おぉ、こいつ、つっこみもキレがあるな。


「…ナイスツッコミ」


声に出してしまっていた。


「サンキュー」


…宙って、口数少ないけど、決して口下手なわけじゃなく、でも表情もあまり変わらないからミステリアスっつーか…。男の俺でも、たまに魅力的に感じるものがある。やっぱ、俺が言う大人しいより、しょうちゃんが言ったクールの方が合っているのかもしれない。


「じゃあ、夜十時に球場な!」

しょうちゃんが言うと、またあとで、と、各々自分の家へ帰っていった。





---現在、pm9:40。

まずい、そろそろ家を出ないと、十時に間に合わない。母ちゃんの寝ている隙に家を出ようとしたが、母ちゃんはまだ起きている。どうしよう。二階から飛び降りるか?いや、怪我をしなかったとしても、物音でバレるだろう。

廊下で悩んでいると、俺の前に影ができた。


「あんた、さっきから何しとるん?」

「か、かあちゃ…」


やばい。計画が台無しになる。そう思うと手汗が滲んでいくのが分かった。

母ちゃんは俺の全身を一通り見た後に、


「あんたも来年中学生か…早いね。でも、一応まだ小学生なんやし、気をつけんと。今日だけやよ。」


あ、今の言葉、聞いたことがある。いや、てかほんとは28歳なんですケド…。そして母ちゃんは続けて、行ってらっしゃい。と微笑んでくれた。


「…行ってきます!」





俺は自転車に乗って球場へ向かう。俺が中学生の頃に球場は介護施設に建て替えられてしまった。球場への道なんて覚えていない。でも、身体が勝手に動く。見えない何かに引っ張られているかのように。

無我夢中で自転車を漕ぎながら考える。


(てか、球場って、何しに行ったんだっけ…?夜中に野球?なわけ、ないよな…)


少し経つと、周りに家がなくなり、田んぼしかない道にでた。無我夢中で走っていた俺はこの道に出るまで気付かなかったが、そこには、周りに田んぼしかない平たい地面を覆う、海の中に散りばめられた宝石のような、キラキラした無数の---





「星…!」




☆.。.:*・゜

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