第18話 アズール魔導館
碧の光と突風、蒼華と飛翠を襲ったその光の中には、碧風纏う“キトン”を着た美しい青年が居た。
けれども突風と光に覆われ、蒼華は直視出来ずに居た。
▷▷▷
私は当然、目を ぎゅっ。と、閉じてた。でも、少し経つと風はやんだ。
目を開くとさっきまで空中遊泳楽しんでた人は居なく、、、目の前には滅茶苦茶デカい男の人がゆらり。と、浮いてたんだ。
(は?? え? 何??)
頭に疑問符は浮かぶけど、私はその肩に掛かるミントブルーの色をした髪を見て はっ。とした。
(え? もしかして……シーラさん??)
私と飛翠の前で、まるで“護る”様にふわり。と、浮いているその人の髪の色を見て何となく思った。
真っ黒な身体したイフリートと同じぐらい大きな身体の彼の周りには、碧色の綺麗なドール達が浮かんでた。
「え!? シーラさんなの!?」
私が聞くと、彼は振り返る。
「だったら何?」
「!!」
(え? 嘘! バチくそイケメンっ!!)
さっきまでの憎たらしい顔などない、美形男子! 私はシーラさんのその顔面偏差値の高さに驚いてしまった。
けれど、シーラさんは直ぐに振り返り、イフリートとリヴァイアサンに向き合った。
「お前ら、どっか行け。ココは、何とかしてやるよ。」
シーラさんの言葉に私は え? と、聞き返した。
けど、シーラさんはさっきまでは短目のゴツゴツした銀色のロッド持ってたのに、その右手には長い“碧色の光”放つ剣を持っていた。
(え? 巨大化すると武器も変わるの!?)
私は彼の“チカラ”に何故かとても興味惹いたんだ。解らないけど。
シーラさんはその剣を崩壊した搭に向けた。ゼクセンさんの居る“月読の搭”を指標の様に指した。
けれども……直ぐに溜息ついた。
はー………。と。
「あー………来ちまった。」
と、剣を提げた。
「え?」
私が聞き返すと途轍もなく大人な姿になった美麗なシーラさんは言った。
「お前ら……まじ……逢いたくなかった。」
「え??」
けれどもその声はボヤくみたいで良く聞き取れなくて聞き返したけど、彼は私達を見ずに言った。
「“絶望”を変えるチカラがあるなら見せてみろよ。“光”を呼べるチカラがあんなら、救ってみろよ。」
ハッキリとそう聴こえた。
その後だった。
「蒼華ちゃん! 飛翠くん!」
ネフェルさんの声だった。
その声に目線向けるとハウザーさん、グリードさん、シロくんも居て、駆け寄って来てくれたんだ。
「お前らの武器どーなった? 弾けて飛んだぞ!?」
ハウザーさんが私達を見るなりそう言ったんだ。
「シーラ殿! 何がどうなってるのだ!」
ネフェルさんが……シーラさんに怒鳴っていた。普段はクールビューティーな彼が怒鳴っていた。
でも、シーラさんは言った。
「何がどーなってんのかはお前ら“人間”が知ってんだろ。」
その1言の後だった。
私達の目の前……崩壊した“月読の搭”の頭上の空が渦巻き始めた。黒い雲が空を覆い渦を巻き……その中心から舞い降りる黒い影。
私はその姿を見て叫んだ。
「バハムート!!」
そう……“雷鳴の神殿”で私達を襲った“合成神獣”……。つまり……、“ティア王女”……。
「飛翠っ!」
私は隣の飛翠の腕を掴んでいた。彼は月読の搭に真っ黒な身体で突進していくバハムートを見て言った。
「………来やがった。」
と。
え!? と、私は飛翠を見た。
「何? その察してました感っ!?」
「蒼華……。」
飛翠は私を見つめた。見た事もない強い眼差しで え? と、私は彼の腕から手を離していた。
けれど……飛翠が私の肩を抱いた。引き寄せられて、ぎゅっ。と、抱き締められた。
(は?? え!? 何っ!?)
私はいきなり抱き締められてビックリしてしまって……身体が固まった……。
でも……、彼は身体を起こして、私を真っ直ぐと見つめると、頬を抱いて……キスしたんだ。
(な……な!? え!? えぇっ!?)
頭の中は真っ白ーー。
少しの間……唇重なって……離れた。
私は飛翠を見上げた。
「飛翠……?」
飛翠は私の頬を撫でながら言った。
「次はこんなモンじゃねーんで。」
と、笑った。
「は??」
私は瞬時に聞き返して、
「ド変態っ!!」
って、怒鳴った。飛翠は私から腕離して、フッ。と、軽く笑う。ちょっと意地悪く。
「お前はそーやって喚いてんのが丁度いい、蒼華。」
何?? と、私は飛翠に聞き返した。何だかとても意地悪く笑う飛翠に。
でも、飛翠は直ぐにとても優しく笑った。余り見ないその微笑み……。私は、驚いて え? と、眼を丸くした。
「俺は傍に居る。“実体”がなくても。」
「え……?」
飛翠は私を見つめてフッ。と、柔らかく笑うと頭にぽんっ。と、手を乗せた。
「好きな女の傍に居る。忘れんな。」
私はそれを聞いて飛翠を見上げた。とても真剣でいて強い眼差し向けてた。
(駄目だ、言わなきゃ。コレ、今、言わなきゃ!)
「ダメだよ! 何言ってんの!? 私の為に飛翠が居なくなるのは嫌だよっ!」
目の前の飛翠の顔なんて見れない、でも私は叫んだ。
「飛翠が居るから私は此処まで生きて来れたんだ! お願いだから! 消えないで!!」
私は……叫んだ。
「1人にしないでっ!」
私が叫ぶとーー、飛翠は私の身体を引き寄せて………抱き締めた。ぎゅっ。と。
頭を強く抱いて、彼は
「……蒼華……。」
名を呼んで ぎゅっ。と、身体を抱き締めてくれたんだ。
彼は私の頭を撫でて言った。
「悪かった……。ちょい弱気だったわ。俺……。」
飛翠はぎゅっ。と、私の身体を抱き締めた。




