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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第5章 秩序が崩れるとき
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第14話 Re:START〜護る力の為に〜

朝、それぞれの支度を整えてリビングルームに集まった。自然とウッド調の長テーブル囲む様に集ったんだ。“犬獣人族(コボルト)”の蒼い狼犬グリードさん、紀州犬そっくりわんこのシロくん、“神導者”ネフェルさん、飛翠(ひすい)の剣の師匠“戦神”ハウザーさん。そして、この世界に導いた“大魔導師”ゼクセンさん、飛翠。私にとって大切な人達だ。


「さて、昨日も言ったが皆にはこれより“アズール魔導館”を目指して貰う。」

銀色の長い髪に白い魔法衣(ローブ)姿のゼクセンさんが私達をぐるりと見回しながら言った。


その横には黒い神導衣姿のネフェルさんが居る、今朝も碧の髪がサラッさらでお美しいお顔も眼福ですわ、そのネフェルさんが説明したんだ。


「“アズール魔導館”はラナティア大陸にあります、今回は空路を使おうと思ってます。」

「え?? 空路?? ソレって飛行機!?」


イシュタリア来てから初の交通手段に私の心は弾んでしまった、のでそう聞き返したんだ。


「飛行機? いや……“飛行船(スカイシップ)”ですよ? 蒼華(そうか)ちゃん。」

ネフェルさんがちょっときょとん。としたんだ。


「あ、ごめんなさい、つい……。」

そうでしたっ、ココは“イシュタリア”でした、私と飛翠の住んでる世界とは違うんだった。


「この地から近いのが“ユナイタウン”でな、そこから魔導館までの飛行船(スカイシップ)が出ておる、それに乗って向かって貰う。」

ゼクセンさんがそう説明してくれた。


(ユナイタウン?? これまた聞いたことない名前だ。)

イシュタリアでの土地勘ゼ〜ロ〜なので最早、わかりました。としか言えん。


「ユナイタウン? てことは……ココは“イレーネ領”か? ゼクセン殿。」

ハウザーさんが少し驚いた様に言ったんだ。


「そうじゃ、イレーネ国とは離れてはおるがな、ユナイタウンまではワシが送る、イレーネ領を彷徨くのは危険行為じゃて。」


ゼクセンさんの言葉を聞いていやぁな奴を思い出してしまった、そう“イレーネ王”。思い出したくもないクソ親父だ。アイツの所為でメンヘラ王女は“窃盗駆落ち家出”、全く! 父娘ケンカに巻き込まれる身にもなれっつの! 挙句、無関係の人間に罪擦り付けて“死刑”とかサイコパス父娘だろ。そのお陰でコッチはおもクソ大変だっつの!


「送るって?」

私がぶちぶちと脳内で愚痴ってると、グリードさんが聞いていた。


「昨日のシロの“魔法”は覚えておるかな? アレと同じ要領で“瞬間移動”出来る魔法があるのじゃ、それで送らせて貰う。」

ゼクセンさんはグリードさんを優しい眼で見ていた。


「瞬間移動??」

私は驚いてしまった。

「あ〜…ココに連れて来た魔法か。」

グリードさんは頷いたんだ。

「左様。」

ゼクセンさんが頷くと私の隣で黙り中だった飛翠がクチ開いた。


「つか、んなの出来んなら魔導館チョクでいーんじゃね?」

ご尤もですが、今朝も上目線全開やな!


「すまんの、飛翠くん、ユナイタウンで“会って欲しい人”が居るんじゃよ、その人と共に魔導館に来て欲しいんじゃ。」

ゼクセンさんはそう言った。


「会って欲しい人……? おっかない人じゃないですよね?? ゼクセンさん。」

私はちょいヤな予感しかしない。何しろここ迄このパターンで良い思いしたことないんですもの。


「大丈夫じゃ、蒼華ちゃん。」

にっこり笑顔で返されたけど……その笑顔にも何回騙されたことかっ。警戒心バッチバチでしかない。隣の飛翠は ふ〜ん。と、軽く流してるし。


「蒼華姉様! 飛行船(スカイシップ)に乗れるんですよ?? 楽しみですね!」

私の横で可愛いコがまた癒やしをくれてる。シロくん……貴方が居てくれて良かった、シロくん居なかったら私のメンタルぐにゃりだよ。


「そうだね! 楽しみだよねっ。」

うん、大丈夫! この可愛いイッヌが居れば私はやっていける! っし! 頑張れ蒼華っ!


▷▷▷

朝のHR……じゃなかった、なんて言うの? MT?? 会議?? まぁいっか、ソレが終わると小屋の外へ。いよいよ“瞬間移動”!


あ。と、その前に。私はくるりと振り返る。後ろからゼクセンさんが出て来てるので。


「ゼクセンさん、あの……付かぬ事をお聞きしますが……。」

「どうしたね? 改まって。」

ちょっと聞きづらいんだけど……でも、大事なことなので。ファイっ!


「雷の魔法って……やっぱり継承してないから、使えないんですよね?」

そう! あんだけメタくそにヤラれたのに……貰ってないんですよぉぉ〜〜〜私! やっぱモヤっとなので聞きました。


「大丈夫じゃ。アズール魔導館でちゃんと伝承される。」

「あ。そうなんですね。良かったぁ。」


あ〜……良かった、正直あのグロームとか言う“神獣”だけはお友達になれないと思うんだけど……人をサッカーボールみたいに蹴りましたからね、アレだけは許せんのよ、幾ら試練だとしても。そんな痛い思いしたのに雷魔法貰えんかったらそりゃア〜タ! 泣くだろ、いや大泣きじゃっ。


「だがな? 蒼華ちゃん、昨日も言ったが……グロームはティア王女様の元に居る、神獣としてそなたの元には降臨せん。」

「あ〜と……ソレって……グロームさんも、“ガルパトス”さんも捕まったってことなんですか? それとも……自分の意志ですか?」


この際だから聞いてしまおう、聞きたかったから。


ゼクセンさんの表情が何だか……翳った。


「余り認めたくはないのだがな……、ティア王女に“拘束”されたそうじゃ。幾らグロームと“剣豪ガルパトス”でもシェイドとティア王女には敵わんと判断せざるを得なかったのじゃよ、“戦神オーディン”、“神獣バハムート”の力も偉大であるからな。」


「やっぱり……そうゆうことなんですね…。」

“堕ちた”と聞いた時になんとなくは思った。だってあのグロームは別として……ガルパトスさんは、飛翠のこと気に入ってたんだから。自分の技を伝授して付いて来てくれたんだから。


「クソだな、あのメンヘラ女。」


飛翠が隣でイラっとしてた。


「すまんな、蒼華ちゃん、飛翠くん、2人を救えなくて。」

ゼクセンさんは申し訳なさそうに言ったんだ。


「いえ。ゼクセンさんは悪くないですよ。」

可怪しいのはあのバカっぷるです! って言いたかったけど……、ゼクセンさんにとってティア王女は“特別”なんだよね……。あんまり言われたくないよね。なので、私は言葉を飲み込んだ。


▷▷▷

私達はゼクセンさんの小屋の前で円陣組む様に集まった。ゼクセンさんは右手に持ってる“樫の木の杖”を私達に向けていた。

「良いか? “ユナイタウン”に着いたら“フリージアの店”に行くのじゃ。」

「“フリージアの店”??」

私が聞き返すとゼクセンさんはこくり。と、頷いた。

「少し歩けば視えて来るでな、そこに“シーラ”と言う名の者がおる。良いか? ユナイタウンはイレーネ領に程近い。迷い道をしてはならぬぞ?」

ゼクセンさんの少し強目の声に緊張感が伝わって来て、思わず隣の飛翠の腕掴んでた。

「フリじゃねーよな? ジジィ。」

「何と?」

飛翠が聞くとゼクセンさんの眉間にシワ寄った。

「や? 何でもねー。」

飛翠もまた顔を引き攣らせてた。言葉通じないって戸惑うよねぇ。と、私は思ったのだ。

「大丈夫ですよ、飛翠くん。ユナイタウンは僕もハウザーも何度も訪れてます、“道案内”はお任せを。」

ネフェルさんの声がしたんだ。飛翠をちらっと見上げると あー、どーも。と、振り返りはしないがボソッと応えてた。

「蒼華ちゃん、アズール魔導館で会おうぞ。」

その声に視線を向けると目の前のゼクセンさんは柔らかく笑ってたんだ。その笑顔はずっと見て来た“月読(つくよみ)”の店主だった時と同じで、ホッとした。

「はい!」

だから自然と元気な声でてた。でも、向けられた樫の木の杖がポワっ。て、白い光に包まれるとやっぱりビビる。だから……飛翠の腕掴んでる右手に力入っちゃった。そんな私の心中お察ししてくれたのか、飛翠は私の右手をするっと払うと手を繋いでくれたんだ。ぎゅっ。と、繋がれてビックリした。見上げると何も言わないけど、滅茶苦茶優しい眼で私を見てたんだ。“大丈夫だ。”と言われてる気がして何だかとっても安心した。


「“浮浪の導線(ディスティネーション)”。」

その後ーー、ゼクセンさんの声が聞こえて私達は白い光に包まれたんだ。

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