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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第5章 秩序が崩れるとき
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第11話 蒼華と飛翠は帰るのか??③

私はロッドを握った。

「ゼ……ゼクセンさん。」

なぜか声が裏返った。

でも、彼を見たーー。

「イフリートとリヴァイアサンを助けたい! そこへ行けばどうにかなるの??」

私はそう言った。

魔術とやらがあるなら、どうにかなるんじゃないかと思った。そりゃー、殺すつもりですか!? ぐらいの勢いでやられました。けど、でも……“継承者”だから! 私は彼らを自分がピンチの時に呼べる存在!

つまり、私だって彼等がピンチの時は助けるべき!! 死んだって言われて、ハイそーですか! 代理の魔石があるんで世界は大丈夫です! で、納得いくかい!?

いかねーわ!

「その意味も兼ねて……行くつもりだったんだがな。」

ゼクセンさんはホッとした様に笑った。

「え??」

私がゼクセンさんを見ると、彼はにこやかに笑ってた。

「イフリートもリヴァイアサンも救える。だが、それは“術者”が、そう思えばだ。近年、支配者たちの存在は疎ましい。苦労して手に入れても“管理”が厳しい。何しろ彼等は暴君だから。とにかく抑えきるチカラが必要なのだ。」

ゼクセンさんのその言葉に、私はとっても納得した。ええ。もう強く納得した。

「そこへ行くと……“精霊”と言うのは基本的に“大人しい”。彼等は支配ではなく存在している者達、漂う者達だから。人間に対して様々な思考は持つが、危害は与えない。支配者たちは唯我独尊じゃ。だが、精霊は基本は慈愛。生きとし生ける物が、この自然に成り立つ。そう考えておる。」

ゼクセンさんは、私達を強く見据えた。

「“イシュタリア”。それはイフリート達の様な支配者がいるからこそ、秩序は保たれていた。だが、それは長い年月を辿り魔物以外の別生命と言うものが誕生した。精霊、多種族が誕生し、人間が誕生した。」

ゼクセンさんのイシュタリア創世記に誰も何も言わなかった。ただ、黙って聞いていた。

「そしてそれらは各々の“個”を持ち、存在理由も持ったのだ。支配者たちはやがて利用される存在になった。魔石の力で人間は“文明と力”を手に入れた。精霊はイシュタリアの自然と共存した。世界がイフリート達支配者を追いやったのだ。」

ゼクセンさんの言葉に、申し訳ないが私はリタイヤを言いたいと思っていた。

わからん。え? 難しい。苦手な分野だ。

「あー、、、なるほどな。だからあんな“ストレス”たまってんのか。」

と、そう言ったのは飛翠(ひすい)だった。

なんでお前はわかるんじゃい! と、言いたかったが彼は頭がいい。しかも歴史とかすっごい好き。破天荒だから。

「その表現はちとわからんが……、存在理由を拒否された者達は、力の発揮所を喪った。殆ど、隔離されていた様なものだ。そこで人間が目指す“魔導師”の道、そこに支配者に挑戦すると言う試練を与えた。」

「あ! そーゆうこと!」

私はようやくなんかわかった。だからそう声を出してみた。

「だが……さっきも言ったが……彼等は暴君。力を存分に発揮し、容赦しない。魔導師を目指す者が減衰した。ワシらはそこで……“精霊”に頼んだのだ。試練と言う名は使うが力を継承して欲しいと。」

ゼクセンさんは金色の樫の杖を握った。その白銀の長い顎髭を撫でた。

「そうか……、巡礼になったのはそこからなんですね?」

と、ネフェルさんは言った。

「左様。人間が魔導師になるのはこの世界の行く末には必要不可欠。全てはこの世界を護る為でもある。騎士の忠誠心は王。魔導師の忠誠心は、世界。それを指導するのが“アズール魔導館”だ。」

ゼクセンさんはそう強く言った。

「あ。てことは……魔導師ってのは……“対騎士”。つまり、この世界で戦争が起きた時に、歯向かう存在ってことか?」

ふと、気づいたのかそう言ったのはハウザーさんだった。

「左様。世界が破滅する戦争を止める存在だ。イシュタリアの護衛軍。それがアズールの魔導師だ。」

と、ゼクセンさんが言うと、ネフェルさんは

「なるほど。“ノクトワール戦争”……、それを終わらせたのは、ゼクセン殿、貴方と貴方が引き連れて来た“神獣❨支配者❩”と魔導師たちだった。更に伝承では“七聖戦争”も、加担したとか?」

と、そう言った。

ノクトワール戦争って……、ハウザーさんやローズさん、ネフェルさんが活躍したって言う戦争だったよね。

「ノクトワールはそうだが、七聖戦争は異なる。アレを終わらせたのは“初代イレーネ王”。輝石(クリュス)と聖剣。それで戦争を終わらせたのだ。」

と、ゼクセンさんはなんか懐かしそうにそう言った。

ああ。と、ネフェルさん、ハウザーさん、そしてグリードさんは頷いていた。

「“魔導師”は特別な存在なのです。蒼華姉さま。人を国を世界を助けられるんです。それを指揮してるのが、ゼクセン様なのです。」

シロくんはキラキラしたお目々でそう言ったのだった。

わ! まぶしぃ!


「シロ。ワシはそんなに凄くはない。」

ゼクセンさんもなんだか嬉しそうな顔で、シロくんの頭を撫でていた。


あーもう! シロくんって場を和ませる! 天才っ! 君みたいのがたくさんいたらきっと、世界は平和だよ。

優しくて愛しくて……みんな笑顔になれる。


この日はここで一泊する事になった。

でも、私達に少し嫌な報告があったのは、夕飯の時だった。

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