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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第5章 秩序が崩れるとき
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第10話 蒼華と飛翠は帰るのか?②

チクタク……。

月並みな言い方だけど、ウッド調のこの小屋の壁に掛けられている柱時計は、その音がする。

ああ、そう。

○きなのっぽの○時計〜と、頭の中にメロディ流れてきそうな柱時計が、小屋の中にその秒針の音をたててる。

え〜〜、時刻は只今、14:55分を指しております。なんか、こーゆうの見ると、、、あーちゃんと私は生きてるんだな。って思う。

時計って大事なんだな。うん。生きてるって証なんだな。と、そんな事を思いつつ、何だかみんな集まって“会合”みたいなこの空間を、私は眺めた。

ふと、隣に座っていたネフェルさんが、私の右手を掴んだ。

蒼華(そうか)ちゃん、、、“継承石”が……。」

ネフェルさんのその声に私も右腕に目を向けた。私の右腕には、金色のバングルがついている。そこに“この世界の支配者”たち、つまり“神獣”と呼ばれる者達を宿す力の源。

“魔石に似た継承石”と呼ばれるそれが、バングルにはめてある。これをはめる事で、彼等を“召喚獣”として呼べるのだ。私は彼等の力を継承し、その“飼い主”になった。その証だったりする。でも、“紅炎の野獣(イフリート)”のエメラルドカットの深紅の宝石に似た石は、灰色になっていたのだ。

「え??」

更に、その脇にはめてある“深海の乱暴者(リヴァイアサン)”の、ティアドロップ型の深蒼の宝石も灰色になっていた。

まるで、そこら辺の道端に転がってる石ころ。そんな風に光も美しさも無い。

「ど……どーゆうこと??」

魔石もそうだが、私の持つ継承石たちもキラキラと煌めく宝石だ。いっつもあー、眩しい! ってほどに、存在をアピールしてる。この金色のバングル(腕のサポーターみたいなやつ)で。

他はちゃんと煌めいてる。

大地の暴君(タイラント)”の金色のブリリアント(ダイアモンド)カットの宝石や、“碧風の女帝(アトモーネス)”の、サファイアみたいなハート型の宝石。そして、、、“樹氷の獅子(ライムス)”の淡い水色の宝石。白氷のテーパーカット。細長い台円形のカタチだ。イフリートとリヴァイアサンの石以外は、みんなキラキラと宝石みたいに煌めいてる。あ……、そう言えばまだ貰ってない。“雷鳴の神殿”にいた“紫雷の神獣”の継承石。グロームさんのはまだない。

「ゼクセンさん……、どうゆうこと?? それに、ガルパトスさんは? グロームさんは?」

ゼクセンさんは私の声に、酷く辛そうな顔をした。

「結論から言う。イフリートとリヴァイアサンは死んだ。最早、神獣として機能はしない。」

「え……?? 死ぬの?? 神獣が??」

ちょっと……、、、ちょっと待って!

ウソでしょ?? あの……イフリートとリヴァイアサンだよ?? え?? イレーネ王の闘いにも勝手に突っ込んでいった奴らよ? どうして?? え?? 死ぬ??

私は受け止められない。

何を言ってるのかわからなかった。

こんな時、ふっつーの漫画や物語では亡き人の面影が、主人公に走馬灯みたいに駆け巡るんだろうけど、そんなもの浮かばない。

いや、そうゆう漫画見てきたんでそう思っただけです。

でも、私は……ゼクセンさんの顔しか見えなかった。銀髪の老人しか。

「なんで? え? ちょっと待って……、あの人たちってこの世界の“原石の支配者”でしょ?? 天然素材でしょ?? なんで死ぬの?」

そう、、、彼等は“元素”。酸素や空気と同じ存在の支配者だ。世界が在る為に無くてはならない存在だ。

この世界で言えば。

「そこに“力”が存在するからだ。均衡と秩序。それが“イシュタリアの世界”を護ってきた。だから、ワシの様な“世界の秩序を保つ存在”がいる。」

ゼクセンさんの言葉に私は、、、力がぬけた。

「残念ながら、種族にはそれぞれ“階級”が存在する。人間と同じだ。無くてはならない存在だとしても、“力関係”がある。だがそれが、不思議と世界の均衡を保つ。上手く循環し成り立ってる。」

ゼクセンさんは、私達を見て語り始めた。

「空気や酸素が無くては何も産まれない。太陽が無ければ育たない。だが、そればかりでは枯れてしまう。それを隠す月、そしてーー、大地、風、火、水。全ての理の中に世界は存在する。」

ゼクセンさんは1つ息を吐いた。

「生命の誕生の中に自ずとして、この自然の理、つまり“元素”は存在する。そこに“司る神獣”が誕生した。それらは確たる者であり絶対強者。だが、他にも“彼等を基盤とし力を持つ存在”が産まれる。これが“魔術”だ。」

誰も何も言えなかった。

「人間が神獣の力を利用し、“ありとあらゆる兵器”を産み出した。“魔術”と言う力はそこから産まれた。“合成魔術”。お主らの“剣魔法”も同様、、、人間が産み出した“術”だ。」

ゼクセンさんはため息ついた。

「古代の生きる神獣たちと、“合成魔術で産み出された化身”、つまり、先程見た“神獣バハムート”、”戦神オーディン“は、魔導師が産み出した“合成神獣”。それが今、この世界の均衡を保っていたのは事実だ。彼等は相容れない、天然素材と“造り者”だから。」

わ……わかんなくなってきちゃったけど、わかった。よーは、人間が造った者と元々いる自然の存在が、敵対しだした!? ってこと??

え?? そんで?? 私は……その天然素材の方を味方にしてて、ティア王女は……“造り物”を集めてる??

それって最早……最初っから“バチバチ”じゃん!!

え?? でも待って!!

「でも! イフリートもリヴァイアサンも世界にとっては必要不可欠でしょ?? 水と火だよ?? なんで消えるの?? 消えたら世界はどうなるの??」

と、ぶつけてみた。

だが、ゼクセンさんは涼しい顔をした。

「その為に“魔石”がある。支配者の源は結晶となり、鉱石として各地に散らばっている。それを採掘し、“魔石”となる。人間はエネルギー資源として活用している。」

あ……、そうゆうこと。

ん? てことは、無限ってことじゃないんだよね? それってウチらの世界とおんなじじゃん。

と、私は思った。

「でも……待ってよ……、世界はなくなんないけど……、あの2人はどうなるの? 私が呼んだから死んじゃったんだ!」

私はーー、叫んでいた。

わからない。感情なんて。情緒どーよ? と、言われても仕方ない。けど、思った。彼等はどうなる?? 一瞬でも私が“飼い主”なんだ。彼等は命令に従っただけだ。

飼い主が呼んだら、愛犬は走ってくるでしょう?? それの成れの果てが……“死”??

「蒼華ちゃん!」

ハッとした。

ゼクセンさんが、私を叱りつけるみたいに呼んだ。私はゼクセンさんを見つめた。

「その為に“術者”がいる。チカラ関係だ。お主は、ティア王女を超えるのだ。あの合成神獣たちを司る魔導師を、超えること。アズール魔導館に行くぞ? よいな?」

ゼクセンさんは、、、私を見つめてハッキリとそう言った。

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