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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第5章 秩序が崩れるとき
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第3話 不屈の迷宮

久し振り過ぎて申し訳御座いません。

もし。宜しければ覗いてください。


高見燈

「まさか……本当にいるとは。」

えっ??

グロームさんや私……とにかく、戦いが終わった後だ。

その声に誰もが振り向いた。漆黒の髪、何よりも気品ーー、全てが彼を美しいと言っている。

立ってるだけで、その場が光輝いている様に見えた。

「グローム……。」

その隣にいるのはセピアのあの“手配書”ではわかんなかったけど、流れる様な金髪の女の娘。

私は、わかってしまった。

「ウソでしょ……? “ティアさん” ? え? シェイドさん?」

似てるかどうかなんてわからない。眼の前に鏡があればわかるだろう。でも無い。

けど、2人を見てわかった。

いや、確信した。

「ティア様……。」

その足を……いや? 膝を折り床に膝まづいたのは、カーミラさんだった。

しかも、深々と頭を下げたのだ。私も、いえ、ここにいる誰もが“現れた2人”に、何もかもを奪われた。

感情を。

「グローム……、全てわかっていての判断か?」

その、漆黒の髪をした騎士は言った。低いその声で。私達を見るその眼は深紅、美しい宝石みたいだけど……怖い。シェイド……さん? なんだよね?カーミラさんは、“彼女をティア様”と言った。隣にいて、剣を構えているのは……“彼女を護る騎士”。シェイドさん……。

見ていればわかる。

美しいお姫様を護る様に寄り添い、剣を構え……大人数の私達を“威嚇”している。

大切な人を……護る男だ。

この人は。

「お前か? やっと会えたってワケだ。」

でも、そんな何とも言えない空気を断ち切ったのは、飛翠だった。

大剣(クレイモア)、えっと、、、“勇敢な心(ブレイブハート)”だっけ??

飛翠にぴったりなその剣を、構えて美しい騎士を彼は、、、睨みつけた。

「なるほど、お前達か。」

シェイド……さんは、私よりも飛翠を見た。深紅の眼が、飛翠を見つめていた。

「シェイド、今は。」

ティア王女はーー、そんなシェイドさんをまるで制するかの様に……、前に出たのだ。

私はーー、ただの高校生だ。

でも、萎縮する人、いや女の人に会った事はない。綺麗な人は何度となく見てきた。都内には、腐るほどいる。いや? 私の住む世界には、沢山いる。憧れるほど。

でも、眼の前に出てきたその人は、ただ美しいだけではない。

真っ白な……ああ、女神が着ていた昔のドレス。それを纏ったブロンドの髪をしたその人は……、私に持っているロッドを向けた。

話を聞いて、少し会ってみたい。と、思っていたその人は金色のロッドを向けた。

「何の為に歯向かう? 邪魔をするならこの場で殺します。」

美しい女神はそう言ったのだ。

私だけではなかった。

誰もが……、彼女の言葉に目を見開いた。


 金色の長い髪、金色のロッド。

 白いギリシャ神話に出てくるあの女神が着る様なドレス……。それを着て颯爽と彼女は、私達の前に立った。

 これだけの屈強な男たちがいるのに、その……“私に似たと言う顔”は、崩れない。

「時間がありません、歯向かうと言うなら貴方達を……。」

 彼女の優しい口調。だが、向けられたロッドは、白く光輝いた。

 それは、ここにいるネフェルさんを始めとする、皆を驚かせるものだった。

 白い光に驚き立ち竦んだ訳ではない、その光の中から出てきた騎士。

 それに、誰もが驚き、そして目を見開いた。

「……“オーディン”……。」

 そう言ったのは、ネフェルさんだった。

 白きユニコーン、それに跨がる銀髪の大柄の騎士。そして、手に持つレイピアに似た長剣。美しいその白銀の鎧を着た者がそこにいたのだ。

「“戦神オーディン”! 殺せ!」

 それは、金色のロッドを天に掲げた美しい王女様の一言だった。

「えっ!?」

 私はその美しい王女様から放たれたその言葉に、耳を疑った。

 でも、白きユニコーンに跨がる騎士は、剣を突き刺しながら走って向かって来たのだ。

 大きい!

 近づくとよくわかる! その右手に持っている剣すらも……、巨大だ。

 あんなので突き刺されたら、私も飛翠も……、皆、、、死んでしまう!!

 いやだ!!

 私はロッドを向けた。

「“紅炎の野獣(イフリート)”!! “深海の乱暴者(リヴァイアサン)”!!」

 そう、、、私は叫んでいた。

 颯爽と剣を突き刺し向かってくる騎士……オーディンを前にして。


 私の前に彼らは現れる。

 炎とそして水飛沫に包まれながら。

「“メルトストリーム”!!」

 オーディンの攻撃は、旋風そのものであった。剣を突き刺しながら、ユニコーンで向かって来るのだが、それはまるで突風!

 それをイフリートは、炎の嵐でまるで壁の様に私達の前に護る様に放った。

 更に、リヴァイアサンは水の津波だ。

 それをユニコーンで駆けてくるオーディンに、放ったのだ。

 津波は、オーディンの身体を飲み込む。

 高波がまるで人を攫うように。

「やった??」

 私は、波に飲み込まれる様に流されてゆくオーディンを見て、そう叫んだ。

 だが、飛翠が叫んだ。

「蒼華!!」

 私はーー、その声に顔を向けた。

 でも、隣で彼は飛んできた“黒い矢”に、その腹を突き刺されて……、吹き飛んだ。

「飛翠っ!!」

 叫んでいた。

 眼の前に彼はその胸元を矢に突き刺されて、倒れたからだ。

「“生命帰還(リバース)!!」

 私がーー、倒れ込んだ飛翠に手を貸すよりも先に、ネフェルさんが叫んでいたのだ。

「え?」

 私はわからないが、彼の“必死”な声にネフェルさんを見たのだ。

 だが、そんな事よりも地面に倒れた飛翠が、金色の光に包まれたのだ。

 そしてーー、

「死ぬな! 私はその為に来たんだ!!」

 ネフェルさんは、神道書を開いたままそう叫んでいたのだ。

 私はようやく、飛翠が……“ヤバい”と知った。

 魔法の世界だ。

 これまでも色んな意味でヤバい事はあった。けれども、私達は生きてきた。それは、皆が助けてくれたからだ。けど、今、、、飛翠は、ヤバいってことなんだ。

 そう思っていたら……

「“メルトストリーム”!!」

「“深海の悲鳴(ディープスクリーム)”!!」

 イフリートと、リヴァイアサンがティア王女とシェイドさん、オーディンに攻撃していた。

「“天地無心”!!」

 シェイドさんにハウザーさんが、剣を振り下ろしていた。

 紅炎の嵐と、水の波動と、そしてーー、ハウザーさんの斬撃が、ティア王女とシェイドさん、戦神オーディンに降り掛かっていたのだ。

 私はーー、眩く光る閃光を見つめた。

 飛翠の身体を抱きながら。

「蒼華ちゃん!」

 でも、ネフェルさんがそう叫んだ。

 私はその彼の必死な眼に、飛翠を離し……、地面に放置して、立ち上がっていた。

 向けていた。ロッドを。

 爆風も閃光も消えたその遺跡で、私は彼女にロッドを向けた。

「なんなの? 飛翠をやったのは魔法?」

 そう、アレは何だったの?

 オーディンの攻撃ではない。

 だけど、飛翠は黒い矢で攻撃された。

 すると、シェイドさんが剣を向けた。

「俺だよ。」

 そうーー、言ったと思ったらシェイドさんはその剣を振り下ろした。

 黒い太刀ーー。一直線にその刃の太刀は飛んできた。まるで、ブーメラン!!

「バカ者っ!!」

 その声に私は目を見開く。

 私の前に立ちはだかったのはーー、紅炎の神獣、イフリートだった。

「……!?」

 でもーー、カレはその太刀筋を受け消えた。

「イフリート!?」

 私がーー、叫んだ時、紅炎の神獣は粉々に砕け散った。

 そう、まるで……、ガラスが割れた様に。

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