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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第5章 秩序が崩れるとき
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第2話 超えろ!! 強者に勝つ為に!

 ーーこ……こんな事が……今まで……あったでしょうか。ええ。イシュタリア。この世界にひょい。と、来てからかなり経ちます……。


 今までも……死ぬかも? とは、何度か思いました。ですが……。


 今回ばかりはまじでヤバいです!!


 桜木蒼華! 17歳!(数え)


 死の恐怖をはじめて感じております!!



魔法防御(シェルミナ)を……最初に教えてくれなかった秩序の大魔導士とやらを、恨むんだな。」


 え?? 


「つ……使えるの??」


 そうなんだ。知らなかった。


 流れる様な紫色の髪。更に……紫色の眼。なかなか渋い男の人だけど、もう既にその右手には雷の電撃を走らせる光が漂う。


 バチッ……バチッ……


 と、スタンガン。その電流によく似てる。って、飛翠の悪友が持ってるので……見せて貰っただけなんだけど。それを思い出した。


「“風魔法”だ。風の精霊に会えば最初に必ず教えてくれる。」


 グロームさんは、そう言うとフッと笑った。


「お前の先導者は……“精霊”に会わせたくなかったんだな。初めから“我等……支配者狙い”。それもヤヌスの事を考えての判断だろうな。」


 と、そう言ったのだ。


 私達はーー、イレーネ王を倒す為にこの世界に連れて来られた。今までの事も……全部が、ゼクセンさんの……修行の道。みたいなものだ。


 もうそれはわかった。私も飛翠も納得した。


 精霊に頼るんじゃなく……グロームさん達……神獣。彼らを頼る様に差し向けてたんだ。


 う〜ん。ゼクセンさん……と言うか、黒崎さん。二年近くつき合ってきたけど、構想練ってたのかな?


 もう……救世主育成方法みたいな感じだよね。


「あーもう! わかってます! でも。とりあえず、この結界から出るにはアンタを倒さなきゃなんないのよね?」


 いつものことだ。


 とにかく目の前にいる……支配者を倒して、力を継承する。それはもう変わらない。


 私がやるべきことは、この雷オヤジを倒すこと!


「そうだ。俺を倒せるか? 救世主。」

「やってやるわよ! 日本の女子高生なめんなよ!」


 とにかく。魔法防御されるんだし、蹴りだのなんだの来そうだ。


 ココは……属性なんか気にしないで……乱発! 乱射! 連射! 


 この手で行くしかない!


 私はロッドを握りしめた。


大地の怒り(アーススラング)!!」


 放ったのは大地の魔法。大きな岩石がボールの様に飛んでいく魔法だ。それも5連発。


 けど、グロームさんは笑った。


「雷には地。基本は大事だな。」


 そう言うと右手を飛んで行く岩石に向けた。雷で撃ち落とすのかな?


 なんかできそうだよね。あの稲妻みたいなのを使って。


 属性云々の前に、私はこの人たちより弱いんだろうから、どう考えても魔法だって通用しない。


 それなら……強力にするだけ!


「ファイアーストーム!!」


 これはーー、大地の支配者。タイラントの時にも思いついたやつだ。


 あの岩石を溶岩に変える。


 私はその為に飛んで行く岩石に、炎の熱風を放った。


 これでーー、岩を覆ってさえくれれば!


 そんな願いみたいな事を考えながら、放ったのだ。


「ほぉ? わかってないのに……“上級魔法”か。なるほどな。お前に力を貸そうと思った連中の……意味がわかった。」


 グロームさんは熱風に包まれた溶岩を前に、そう言った。


 上級魔法?? そんな事考えてませんけど! 魔法の基準なんて私にはどうでもいい!


 ホント正直、数学の問題と同じぐらいどうでもいい!


雷鳴の裁き(ライトニング)!」


 グロームさんは熱風に包まれた溶岩。それをまるで、切断するかの様に稲妻の電流を放った。


 上下に挟む様に電流は溶岩を打ち砕く。


 それも溶岩を残さず流動して打ち砕いた。


 まるで……噴水。それも上からも下からもあがる噴水だ。その電流が溶岩を打ち砕いたのだ。


 光と水のイリュージョン。そんな世界の様だった。


「そうやって……通用しないのはわかってるのよ!」


 私は呑気な事を考えているだけではない。どうせ通用しないのはわかってる。


「“水流の渦(アミュストリーム)”! ついでに、“碧風の竜巻(サイクロン)”!!」


 私はーー、水の放流。竜巻みたいな放水だ。それと、風の竜巻。これもグロームさんに直進で向かって行く魔法だ。


 この二つを同時に放った。


 私の頭にあったのは、台風で土砂を流す水の力だ。大雨に風の力。重なればとっても凄い力になる。そう思ったのだ。


「むぅ。」


 まるで嵐。水と風の竜巻はグロームさんに向かっていった。


 それを見て唸ると


「シェルミナ!」


 そう叫んだ。


 白い光に包まれたグロームさんの身体。水と風の竜巻が、直撃した。


 物凄い光と風。私は吹き飛ばされるかと思った。でも、目の前のグロームさんは吹き飛ばされていた。


 更に……


 バチバチッ! と、まるで全身に静電気が流れたかのように、光った。


 ドームの壁。そこに吹き飛ばされて体当たりしたのだ。そのときに……それは起きた。


「……結界ってそうゆうこと?」


 私はドームを見上げた。


 頭上まで覆っている。電流の様に稲妻が駆け巡る紫色のドームだ。


「そうだ。俺は何とも無いが……お前が、直撃すれば……感電だな。」


 グロームさんはプッ! と、地面にツバを吐いた。口元からは少しの血。


 どうやら私の竜巻はそれなりに、ダメージを与えたみたいだった。


 でも、私はドームの電流攻撃を知って……正直。ビビった。


「ズルすぎ!」

「自分の特性を利用して何が悪い? 敵を倒すと言う事は、そうゆうことだ。」


 グロームさんはそう言いながら、首をコキコキと、左右に倒した。


「ちょうどいい。俺はもと人間だ。だが、転生して神獣になった。お前に元人間の神獣のチカラを見せてやろう。」


 グロームさんはそう言うと、全身に稲妻を纏った。


「雷獣と呼ばれるチカラだ。」


 と、そう言うと地面を蹴り向かって来たのだ。


 突進……。


 私はロッドを向けた。


「ファイアーボール!! 樹氷の弾丸(ライムボール)!!」


 紅炎の弾丸と樹氷の弾丸。それを放った。


 でもそれらをまるでバスケのディフェンスみたいに、避けながらグロームさんはジャンプした。


「“雷鳴の轟き(サンダーボルト)”!!」


 私の頭上ーー、そこから稲妻の雨を放ってきたのだ。


 さっきは食らったけど……雷は電熱!


 なら……


「ファイアーストーム!!」


 私は頭上から降り注ぐ稲妻に、紅炎の熱風を放った。


 熱を与えれば大爆発するはず!


 そう。跳ね返すにはこれしかない! などと、カンタンな発想だけど、とにかく広範囲の稲妻を防げるのは熱風しかない。


 それも……相殺とやらを出来そうな魔法。


 私はーー、それしか考えてなかった。


 ドォォン……


 と、吹っ飛ばされるほど、爆風が巻き起こった。同時に大爆発したのがわかった。


 何がどうなったのかはわからなかった。


 でも、私はさっきみたいに稲妻で身体を、攻撃されなくてすんだ。


「やるな。」


 爆風の向こうでグロームさんの声が聞こえた。硝煙。その向こうで、まったくもって無傷。


 グロームさんは笑っていた。


 ぐらっ……と、私はいつもの感じに襲われた。


 これは……魔力喪失。ゼロではないんだね。フラついてるだけだから。


 ロッドを杖代わりに私はよろけてしまった。


「とっとと回復薬を使え。敵は待ってはくれない。」

「わかってます!」


 あーもう!! 腕組んで待ってくれる気配なのはわかるけどさ!


 なんかハラたつな〜。


 とは思いつつ、私はマジックメイトを飲み干した。


 よし! 


 魔力回復! 準備オケ!!


「どうも……緊張感に欠ける女だな。」


 バチバチ……と、グロームさんの右手が雷で光った。


 え?


 私がロッドを握り……グロームさんを見た時だ。


 フッ……と、グロームさんは消えた。


 え?? どこ??


 私は辺りを見回したが、


「“紫電の攻手(ライデイン)”」


 声がーー、聴こえた。


 目の前にグロームさんはいたのだ。それも右手から雷の掌打。それを私の腹に放ったのだ。


「きゃぁっ!!」


 なにこれ!? ふっ飛ばされた。


 それもドームの壁に体当たり。


 バチバチと全身に電流が流れた。拷問だ!!


 腹に受けた雷の掌打。それも一緒になって私はーー、気を失いそうになった。


 余りの痛さに。


「それまで!!」


 そんな声が聴こえた。


 この声ーー。 


 ずるっと。私はドームの壁から落ちた。


 離れたから電流は流れなくなったけど、身体は痺れてる。地面に落ちて倒れたのがわかる。


 でも、自分の身体の感覚はない。まるで……麻痺。そんな感じだ。


「カーミラ。お前がそうやって情けをかけるのは、良くないぞ。」


 グロームさんの声は聞こえる。やっぱり。カーミラさん。私は顔をあげられない。


 前を見れない。


「殺されてはかなわない。私やお前では闇魔石には勝てない。ティアでさえ光魔石の継承に失敗している。救世主に頼るしかない。わかっているだろう?」


「……甘いんだよ。お前たちは。そいつらが救世主? 悪いが……ただのガキだ。この世界を救う器じゃない。」


 勝手なことばっかり。


 なんか……ハラたってきた。


「アミナス……」


 私は回復魔法を呟いた。身体に巡る暖かな流れ。


「蒼華?」


 カーミラさんの顔。少し驚いていた。


「アースフリッカー!!」


 私はーー、立つと直ぐにグロームさんに向けて大地の魔法を放った。


 グロームさんの立つ足元の地面は揺らぐ。地震のように。そこから大きな岩石の槍が突き出した。


 震動しながらグロームさんを、突き刺そうと突き上がったのだ。


 グロームさんは不意打ちだったのか、シェルミナを放つこともなく、岩石に突き刺され身体が吹っ飛んだ。


「勝手なことばっか言わないでよね! 痛い思いしてるのは、私達なんだから! エラソーに言うなら、お前がヤヌスを倒してみろ!」


 私はーー、岩石の槍に突き刺され血を流し倒れたグロームさんに、怒鳴っていたのだ。


 その後だった。


 私達を覆っていたドームは消えたのだ。


 カーミラさんはグロームさんの方に駆け寄ると、右手を翳した。


 白い光。それがグロームさんの身体を覆った。 


「蒼華!」

「蒼華姉様!」

「嬢ちゃん!」


 みんなーーが、駆けつけてくれたのもその後だった。


「……力を貸してやる。残念だが……俺では、ヤヌスは倒せない。」


 グロームさんの声が聴こえたのも……その後だった。

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