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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第4章 動き出すとき
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章の終わり 境界線が崩れたとき〜幼馴染みの結末〜

 ーーはぁ。


 なんだか肩こっちゃったな。疲れたな。あのライムスの相手は。


 回復魔法で身体は元気なんだけど……メンタルにくるよね。


「蒼華姉様。大丈夫ですか?」


 シロくんがとても心配そうに顔をあげた。


「大丈夫。だーいじょーぶ。」


 私は、シロくんの頭を撫でた。うわ〜ふわもふっ! これが癒やされる! たまらん!


「雷鳴の神殿でしたね?」

「ここからだと……船に乗り“ラナティア大陸”。そこを目指す事になる。」


 ネフェルさんとフォルスさんは並んで、そんな話をしていた。


「ラナティア大陸……。アズール魔導館があるんですよね?」

「ええ。よく覚えてましたね。蒼華ちゃん。」


 ネフェルさんは振り返ると笑った。


「うん。ミリアと約束した場所だから。」


 私はそこでミリアと会う約束をした。友達との約束なんて……久し振りだ。こっちではそんなのないもんね〜。


 まぁ。アッチでも舞子ぐらいだったけど。私は飛翠のせいで嫌われていたので。女子はみんな寄ってたかって飛翠を紹介して! だった。


 最初こそは紹介してたけど……面倒になってしまったし、何よりも飛翠にキレられた。ので。私はあまり女子とは、関わらないようにしてたんだよね。


 いじめはなかったからまだ良かったけど。


「どうかしましたか? 蒼華姉様? 顔がコワいです。」

「あ。ちょっと……昔の事を思い出してました。ごめんね。」


 いかん。いかん。シロくんを心配させては。私はぺちぺち。と、両頬叩いた。


 私達はーー、その後。フォルスさんに見送られ船で樹氷の島を後にした。


 ここからラナティア大陸に向かうのだ。


「雷の神獣か。どんなヤツだろうな?」


 樹氷の島を出たのでもこもこのコートやブーツを、脱ぐ私達。


 飛翠はブーツを脱ぎながらそう言った。


「どうかなぁ? 雷オヤジとかだったらイヤだよね?」

「は? 面白くねーぞ。それ。」


 冷たいなぁ。そんなにバカなのか? みたいな顔しなくてもいいじゃん! べつに笑わせようともしてないし。


「蒼華。」

「ん?」


 私は丸めてぽんっと椅子の上に置いた、飛翠の毛皮のコートを畳んだ。


 いっつも脱ぎっぱなんだよね。


「返事。」

「え……?」


 私はその声に顔をあげた。飛翠はとても真剣な顔を……と言うか……コワいんですけど。


 なんで睨んでるのかな??


「の前に……お前。俺が聞いた時に誤魔化して逃げたよな? かなり前のハナシだけど。」


 え?? 前??


 飛翠はとてつもなく睨んでる……。


「覚えてねーの?」

「……ごめん。」


 はぁ。


 飛翠は大きなため息ついた。


 え? 聞かれたっけ? 逃げた?? ん〜……。あったかな??


「俺は聞いたよな? お前がオンナばっか連れて来て俺に紹介した時に。“お前は平気なのか?”って。」


 飛翠の顔は相変わらずおっかない。でも……声は怒ってるワケじゃないみたいだ。


 あったかな? あ!!


「え? アレってそーゆう意味だったの?? 私はてっきり。“女子に頼まれてウザくねーか?”の意味だと思ったんだけど!」

「どこでそーなる? まじお前の思考回路がイラつく。」


 そ……そんな事言われても……。


「だって……わかんないし。」

「その後だよな? 俺の事を避け始めた。しかもオンナが出来てもなんも言って来なかったよな? で? 何で今更“告ってんだ?” お前……頭沸いてんのか?」


 と、とてつもないキレ顔で言われた。告ってキレられるってどーなの??


「迷惑だったんならごめん。もういいよ。忘れてよ。」


 私はーー、飛翠に腕を掴まれた。


「この世界に来て……気分がそうなったとかじゃねーんだよな? 流されてんじゃねーよな?」


 そうーー言った飛翠の顔は……とても真剣だった。なんか……すごく……カッコよかった。


 見た事ないぐらい……カッコよかった。


「……やっと……二人だけになって……色々と……わかったと言うか……。飛翠がいなきゃヤダ。って思えたから……、言ったんだけど。」


 私は腕を掴まれたまま……そう言った。それはホントだ。いつもは……女子とかいて、それに飛翠は彼女いたし。常に。


 だから……素直になれなかった。でもここには誰もいない。私と飛翠しかいない。だから……本当に、素直になれるんだけど……。


「ソレ。帰ってからも変わらねー? お前の事だから……元に戻ったら、また誤魔化して逃げるんじゃねーの?」


 飛翠は私を……すごく……真っ直ぐと見ていた。さっきまでの強い目じゃなくて……なんか……、不安? そんな目だ。


「そ……そんな事ない。異常な環境だからとかそうゆうのじゃないもん。ホントの気持ち……」

「ウソじゃねーよな?」


 え? なんでこんな……疑ってるんだ? この人は。ちょっと……コッチまで不安になるんですけど。


「な……なんでそんなこと聞くの? ウソで告りますか??」


 飛翠は私の首筋を掴んだ。がしっと。


 え? 手……強いんですけど!! 首が動かせないんですけど!


「どんだけ待ってやったと思ってる? お前がいつも誤魔化して逃げるから……俺は、幼馴染みのままでいたいのかと思ってた。俺との間に境界線つくったのはお前だ。蒼華。これが最後だ。もう待たねー。」


 飛翠は……真剣な顔と眼に戻ってた。とゆーかキレてた。怖いぐらいに。


 でも……今。わかった。飛翠も私と同じだ。あまりにも近くにいて……好きだ。と伝えて……拒否されたら……幼馴染みにすら戻れない。


 それがイヤで……私は……飛翠に傍にいて欲しかったから、気持ちをずっと言えなかった。微妙になるのがイヤだったから……。言えなかった。ずっと。


「……好きだよ。飛翠。ウソじゃないし……もう、誤魔化さない。」


 私はすんなりと言っていた。ここで言わないと……もう二度と……彼は、聞いてもくれないだろうし、応えてもくれないだろうから。


 待たない。そう言ったのは……気持ちの整理をしようとしたんだろうから。


「!!」


 飛翠の顔が近づいたと思ったら……唇に……当たった。


 え?? な……不意打ちかい!!


 飛翠の唇はちょっと冷たかった。でも……やっと、私は……ファーストなキスをして貰えたのだ。


 凄く長く感じた。目を閉じたから飛翠の顔は見えなかったけど……。離れた唇に私はゆっくりと目を開けた。


 フッ……と笑う飛翠がいた。


「俺も好きだ。蒼華。」


 や……やばい。どきどきしてしまった。しかも……今になってものすごくハズかしくなった。


 うわ! な……キスしちゃったし! 好きだと言われてしまった!! どーしましょー!!


「大丈夫か? お前。」

「放置してください! お願いだから!」


 私はーー、顔を両手で覆った。きっと噴火しそうになってるに違いない。


 熱くてたまらない! 樹氷の島でしてほしかった! そしたら一気に冷めるのに!!


 ラナティア大陸に向かうまでーー、私はドキドキと格闘することになってしまった。

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