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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第4章 動き出すとき
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第17話 決着!!鳥か?ロケットか!?いや。飛翠くんです。

 ーー樹氷の妖精(エルフ)フォルスさんは、私の放った紅炎の弾丸。それを背中に受けた飛翠を、見ていた。


 だが……私もそうだが……、誰もがビックリだ! おったまげたのだ。


「な……なんだ? アレは。」


 ガルパトスさんはこれまで黙って見守っていたが、目をまん丸くして声をあげた。


「飛翠なのか?」

「ええ。飛翠くんです」


 ハウザーさんの声にネフェルさんは冷静に答えている様だけど……その顔は、驚愕!! と、言った感じだ。


「飛翠さん……ですよね?」


 シロくんがそう聞いてきたのだが、私とグリードさんは


「「ファイヤーバードマンっ!?」」


 と、おったまげていたのだ。


 そう。目の前の飛翠は紅炎に包まれていて、姿は飛翠なのだが……。背中に炎の鳥の翼を広げていたのだ。


 炎の鳥……。まさしくそのまんまだ。翼広げ、羽ばたきながらフォルスさんに向かっていったのだ。


 それに持っている曲刀みたいな大剣も、ゴウゴウと燃える炎の剣になってしまった。彼は炎の剣を、普通に握っているのだ。


 え……? とうとう……ファイヤーバードマンになってしまった。どーしましょう!? 人間ではなくなってしまった!!


 ファイヤードラゴンみたいに、炎吹かれたらどーしましょっ!! おっかないんですけど!!


「“黒の鉄槌”!!」


 翼あるから……なんとまー身軽なこと。勢いよく飛び、急降下!!


 そのまま炎の大剣で、フォルスさんに脳天直撃の剣技を放ったのだ。


「剣技は変わらずか……」

「だから言ったでしょう? 有り得ないんですよ。彼等は。」


 ハウザーさんの声に大きなため息ついたのは、ネフェルさんだった。


 なんか……すみません。


「“樹氷の塔(ライムソルト)”!!」


 だが、飛翠の脳天直撃の炎の大剣を防ぐ為なのか、フォルスさんは氷に包まれた。飛翠を凍らせたあの氷の岩石だ。


「自分を凍らせたぞ?」

「樹氷のエルフですからね。彼だから出来ることですよ。」


 グリードさんの声にネフェルさんはそう言った。でも、フォルスさんの身体を覆う氷の岩石は、いつもなら着地する飛翠の、さらなる一撃。


 それに砕かれることになったのだ。


「“斬骸(ざんがい)”!!」


 飛翠は炎の大剣を振り下ろした。翼があるから、空中に浮いてる時間も長いし、何よりも自由自在。踏み込みもいらない。助走もなし。


 力を思う存分にふるえるのか、その斬りおろしは見事に縦一直線!!


 更に下に降りるとハイスピード。いつもなら少しだけど、着地して剣を振るまで時間がかかる。


 でも今は身体が翼のお陰で軽いのか、斬り降ろしたら直ぐだ。


 フォルスさんの腹元を横一線に斬り払った。


「お。俺の技だ。」

「飛翠は何気に“新しいのが好き”でな。直ぐに試すんだ。」


 ガルパトスさんの声に、ハウザーさんはそう笑う。おっさんら。嬉しそうですね。


 見事な十字斬り。それに炎の剣だからか、氷を真っ二つに切り裂きフォルスさんを、覆う氷の岩石を砕けさせたのだ。


「“樹氷の輪舞(ライムスクリュー)”」


 だが! だがしかし!!


 フォルスさんは待っていた。氷の岩石が砕け散った中で、身体に冷気を覆わせ氷の大剣を振り上げていたのだ!


 何ということ!!


 飛翠は翼を羽ばたかせ浮いている! 目の前に現れたフォルスさんは、剣を振り下ろした!!


 え??


「ちょ……回転!?」


 私は驚いてしまった。


 そうなのだ。フォルスさんは大剣振り下ろしたかと思うと、回転したのだ。


 くるっと一回転だ。大剣もぶんっと回る。でもそれは、飛翠を斬りつけるものじゃなかった。そこに旋風を巻き起こしたのだ。


 それもただの旋風ではない。


 吹雪だ。それも氷の刃が無数に飛ぶ回転手裏剣!!


「な……なにあれ!」


 もう……目の前で起きてることが、尋常じゃない。CGですよ! 完全に!


 飛翠に向かって無数の樹氷手裏剣は、飛んでゆく。でも、飛翠は


「見様見真似!!」


 と、叫んだ。


「え!? またですかっ!?」


 私はそう叫んでいた。


「バカ女直伝。“紅炎の旋空(ファイアースラッシュ)”!!」


 飛翠は飛びながら回転した。


 え!? 私!?


 と、驚いてはみたが、それよりも目の前の飛翠は、あのアトモーネス。あのねずみ花火みたいな、碧風の魔法だ。


 ぐるぐると回転する炎の円を作り出したのだ。飛翠が、回転した事で紅炎の円が巻き起こり、それは円形手裏剣の如く、フォルスさんに向かって行ったのだ。


「何だ? アレは……」


 ガルパトスさんだった。


「まるで……“炎の円陣”…」


 ハウザーさんもそう驚いていた。


 私には炎の円盤にしか見えない。DVDだ。ディスクみたいな炎の円盤。それが、回転しながらフォルスさんに向かって行ったのだ。


 それもデカい。フォルスさんの身体を真っ二つにしそうなほどに。


 樹氷の手裏剣はその紅炎のディスク盤に、薙ぎ払われてゆく。


 フォルスさんは驚いた様な顔をしたが、


「“樹氷の線上(ライムオーブ)”!!」


 直ぐに彼の身体は冷気。冷凍庫開けた時みたいな、白いもやもやっとしたものに包まれた。


 それも身体を覆う!!


 そこから氷の剣を構えたままだ! まるで全身から力を放つ! そんなふうに叫んだ。


 紅炎のディスク盤は回転しながら、切断してやろう。と、フォルスさんに向かう。もうアレは電動ノコギリ回転版だ!


 それを氷の槍が上下から円盤を突き破ろうと現れた。シュレッダーだ。紙を細かく千切るやつ!


 アレみたいに炎の円盤は上下からたくさんの槍に挟まれ千切り状態!


 だが、飛翠は炎の大剣を薙ぎ払った。


「“烈風斬”!!」


 ネーミング意味不明の炎の旋風巻き起こる薙ぎ払い!!シュレッダーで千切りの炎の後ろから、更に炎が風になりフォルスさんを襲う!!


 フォルスさんは炎の旋風に巻き込まれ、身体を回転させながら切り刻まれた!!


「え?」


 見ていたかったが……私はぐらっと、全身から力が抜けた。そう。立ってられなくなってしまった。


「蒼華ちゃん!!」


 ネフェルさんが私が倒れ込むのを、支えてくれていた。


「蒼華姉様!!」


 シロくんの声が聞こえた。


 え? なに? なんで……立ってられないの? 私はネフェルさんに、地面に寝かされた。


「飛翠の炎が消える……」


 グリードさんの声が、聞こえた。


 まさか。こんな大事な時に……私は……まさかのガス欠ですか!? え!? ウソでしょ!?


「仕方ありません。魔法剣はかなりの魔力を使います。お互いの“一体化”も……この二人だからこそ、何とかなるんです。魔力と技力。それに心。それらを通わせてないと……発動しない。エルフや精霊は単独ですが……、難しい力なんです。だからこそ……鍛錬するんです。バディを組んで。」


 ネフェルさんの声は私の頭の上から、聞こえた。


「タイムリミットですかね?」


 フォルスさんの声だ。


「蒼華!」


 飛翠の声も聞こえる。


 どうしよう……。しんどい。


 なんだろ。身体が言う事聞いてくれない。ああ。ヤバい。息するのもしんどくなってきた。


 なに? これ。過呼吸?? なったことないけど、なった人は見た事ある。苦しそうで……見てられなかった。何も出来なかったし。


 私……死ぬの? 


「蒼華! ネフェル! シロ! なんとかしろ!」


 飛翠……。


 お願い……動かさないで。今は……死ぬっての!!


 私は飛翠に、抱き抱えられていた。寝かされた身体を、起こされたのだ。背中に感じるのは飛翠の膝。肩を抱かれ……頬を触られる。


「わかってます。蒼華ちゃん。魔力が無くなったんです。“マジックメイト”を。飲めますか?」


 ネフェルさんが差し出したのは、私のいつものエネルギー限だ。蒼い小瓶はきらきらしている。


 飲めますか?? と、言われたが……飲めるかい!! 呼吸できないんじゃ!!


「蒼華。」


 でも飛翠が口元に……いつの間にか小瓶をくっつけてくれていた。優しいその声に、私は苦しいけど……口を開けた。


 流し込まれるトロピカルジュース。みたいなやつ。


「う……ごほっ……ごほっ……」


 こ……殺す気ですかっ!? 苦しいっての!!


 むせた。でも吹き出さなかったから……喉から少しは入ったみたいだ。


 ゲホゲホ言いながら……飲み込んだ。


 はー……死ぬ……。ありえない。息できないのに、液体流し込みますかっ!? 有り得ない。己は鬼畜か!?


「蒼華……」


 え??


 私はビックリしてしまった。いやとても苦しいんですけど……。


 ぎゅっ。とされたのだ。


 飛翠の辛そうな声とその腕の力はわかった。だ……抱き締められてます!? もしかして!!


「ありえねーからな。お前がいなくなるとか、考えらんねー。“この先もお前は俺の傍にいる”。それは変わらねー。」


 ごほっごほっ。


 言いながら……私は……その言葉を、ギュっとされながら聞いていた。


 でも……マジックメイトは喉から少し……入ってくれていたんだな。息できる。


 私は……ずっと言えなかった。だから、死ぬかもしれないから……今。言っておこう。そう思った。


 だって……苦しい。もしかしたら……この後……殺害予告されてるとおりに死ぬかも?? じゃん。


 こんなのもうないかも??じゃん。


 こんな時にふざけんな。かも? だけど……私は……、死んで後悔したくない。


「……飛翠……。好きだよ。……。傍にいるよ。」


 後半は……ウソかも。この後のことはわかんないから。でも……。言っておかないと。


「……」


 ギュッとされた。


 もっと強く。飛翠の顔が私の肩にかかる。


「……ざけんな。もっと早く……言え。バカ女」


 飛翠の……声は……震えていた。


 おかしくなってしまった。いつも一緒にいたのに。始めて言う言葉だ。だからおかしくなってしまった。


「……そうだね……」


 でも……私はとてつもない眠気に襲われた。身体がだるくて……そのまま……意識は遠のいた。

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