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君と剣と魔法を紡ぐ物語〜私達がお尋ね者っ!?〜  作者: 高見 燈
第4章 動き出すとき
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第10話 ウラヌス鉱山▷▷タイラント!おーマイガッ!!

 ーー来ました。はい。猛スピード。ハイクオリティな感じで、お送りしてます。見えませんよね? すみません。


 桜木蒼華です。


 ウラヌス鉱山です!!


 でかっ!!


 氷山!? と言うほどに、金色に近い眩しいほどに煌めく岩山は、私の目の前にあります。


 と言うか……


「エベレストっ!?」

「行ったことあんのかよ?」


 はい。飛翠からのツッコミも頂いたところで、


「ありません。」


 はぁぁ。


 いや。怖いのよ。こー見えて。わかります!?


 またもや……支配者。しかも大地。わかってるんですよ。はい。私には……“魔石の雷”しかないんです。


 つまり……今回もまた……。


 死んでしまうかもしれません。


「行きましょう!」


 私はシロくんに、手を引かれて鉱山の中に入る。


 中はとてもひんやりしていた。眩しいくらいに、光が岩から出てる。


 蛍光灯みたいに、明るい。


「この土も原石が入ってるのかな?」


 そうなのだ。キラキラとしている。とっても。


「そうですよ。鉱山ですからね。魔石を掘り出す場所でもあります。奥の方には……紅炎石もありますね。」


 ネフェルさんは前を歩きながら、そう言ったのだ。


「へー。大地って何に使うの? やっぱり……畑とか? 農作物系が良く育ちますように?」


 と、私が言うとネフェルさんは


「建物の土台。それらを作る時に埋め込みます。頑丈になるので、天災に強いんですよ。後は……さっきのキングシップ。あれの動力は大地の原石と紅炎石です。」


 と、言ったのだ。


「え? それってまさしく溶岩!?」

「……石油ねーのにどうしてんのかと思ったが、なるほどな。マグマみてーな熱を産み出してんのか。」


 飛翠は隣で目を丸くしていた。


「石油? それはわかりませんが、強力な動力ですよ。」


 ネフェルさんはそう言ったのだ。


 なんだか凄いな。私達が当たり前だと思ってるエネルギー資源。それが……魔石の原石。それで作られてるんだ。


 それも天然だからエコだし。


「最近では雷と風、火。それらを使い電熱。それにも挑戦してるみたいですね。フィランデルのリュートで。」


 ネフェルさんはそう言ったのだ。


「電気!? 電気も作るの!?」

「やべーな。イシュタリア。」


 私と飛翠は驚いてしまったのだ。


「もっと言うと……」


 ネフェルさんは振り返った。碧の髪がさらっと揺れる。


「イシュタリアの“大地”。そのもの。なので、度重なる戦争にも、この世界が姿を保っていられる。それも大地の原石が、世界に散らばっているからです。」


 優しい銀色の光を放つ眼は、とってもあったかかった。世界の神秘。それを大切にしている。そんな気持ちが、伝わってくるみたいだった。


「ドラゴン達は……“天然の原石”。魔石と共に生きてますから。世界を傷つけたくない。傷つける事は、自分たちに命を与えてくれる物に、傷をつけることになる。そんな想いがあるんですよ。」


 そうか。なんか今……わかったかも。


 だから人間と上手く行かないんだ。人間は、生きて行く為に……物を造る。街をつくる。その時に……少なくても世界を削るしかない。


 ドラゴンたちにしてみれば、傷つけてる事になるんだね。それに……戦争もするし。


 イレーネ王みたいのもいるしね。


 そんな話をしていると、鉱山の奥地。そこに辿り着いたのだ。


 ササライ鉱山とか、国境越えしようとして入ったファイアードラゴンのいた場所。


 あんな所を想像していたけど……、この鉱山は、本当に歩きやすかった。しかも、広いし。


 道も真っ直ぐだった。


 ので……目的地は直ぐだったのだ。


 広い洞窟。きらきらと岩壁が金色に近い光を放つ。凄い。地面まで光ってる。


 でも全体的じゃなくて……まるで、地面の中や壁に埋め込まれてる魔石の原石。それが、幾つも光っていて、星空みたいだった。


 だからそこまで、眩しくない。


 綺麗だった。


「良く来た。救世主」


 でた!! 黒いローブで顔隠してる、カーミラさんだ。もう! 顔バレしてるんだから、姿見せてくれてもいいのに。


 その隣にはやっぱり、金色に近い光を放つ結晶。魔石の結晶だ。


 それが白い台の上に乗っかっていた。丸くない。本当に岩の塊。そんなカタチだ。ゴツゴツしてる。


 あの中に、魔石の原石があるんだ。きっと。


「こんにちわ。」


 私はとりあえず、挨拶したが……スルーされた。カーミラさんは、結晶に右手掲げたのだ。


 はぁ。もう。もうちょっとさ。コミュ力だしましょーよ。何回も会ってるんだし。


 と、思っていたら


「いでよ。“大地の支配者 タイラント”!」


 さっさと……呼んでしまった。


 光輝く金色の結晶。その前に、これまた金色の光に包まれたその者は、姿を現したのだった。


 ウォーーッ!!


 えぇっ!? 雄叫びですかっ!?


 いきなり登場したかと思いきや、両手広げて吠えられました。


「えっ!? 鬼!?」


 ではないんだろうけど……グレーっぽい、泥の色。その長い髪は、ゴツゴツしてる。硬そうだ。頭の上には黄色。三角の山。あのカタチが三つ。


 それがまるで角に見えた。


 顔は獣みたいだし、身体もイフリートみたいな獣人っぽい。さすがに、しっぽはないけど、両手両足は爪。褐色の身体は、やっぱり巨体で筋肉が凄い。


 腹筋八パック! 


 完全な鬼! それも牙まである。


 あ。わかりやすい! 腰には虎巻!! トラ模様のサロンみたいの巻いてる!


 首には大っきな数珠。トパーズみたいな黄色の数珠だ。ゴルフボールより大きそう。野球のボールかな? 大きさ的に。重そうなんだけど。


「良く来た。さぁ来い。」

「えぇっ!? いきなりですかっ!?」


 心で思う前に叫んでいた。


 しかも、ちょっと嬉しそうだけど!? なに? もしかして……バトルマニア!? 楽しみにしてた感じ!?


 褐色の怖そうな顔。私を見る黄色の眼。輝いて見える。


「蒼華。ありがたく答えてやれよ。」


 飛翠の声だ。


「あのね! 私はあんたじゃないんだけど!」


 まーなんてヤツ!! 腕くんで優雅に鑑賞モードだよ! サッカーの試合かっ!? 


「タイラントですよ! 蒼華姉様! スゴいです! 大っきいです!」


 シロくん……。嬉しいんだね。会えたから。


 はぁ。


 私はロッドを握った。


「来ぬならゆくぞ。救世主。」


 タイラントは大きな足を地につけて立ったまま、私に両手を向けた。


「“大地の怒り(アーススラング)”」


 飛び出してきたのは、岩石! それも大きな岩の塊。


 れ……連射っ!?


 そうなのだ。まるでロケットランチャーだ! しかも五発!!


 えっ!? ウソでしょ!!


 私はとにかく逃げるしかない!


 ぶっ飛んでくる岩石を前に、避ける為に走り回ったのだ。


「んんっ!? 何をしとるのだ? アレは?」

「彼女の戦い方。だそうです。」


 はい! 聞こえてますからね! そこのお二人さん! タイラントとカーミラさんだった。


 逃げる人いないんですかっ!? 私は逃げますけど!? フツーに!!


 ゴッ!! と、乱射された岩石は、地面に落下していく。落ちてぐしゃっ! と、勝手に壊れてくれるのは良かった。


 ジャンピングして跳ね返ってきたら、どうしようかと思った。


 はー。はー。


 あんなのぶつけられたら、死ぬわ! 幾らなんでも!!


 とりあえず五発。私は走り回って避けたのだ。


 地面にはコナゴナになった岩石が、散らばっていた。


 んむぅ。


 とっても険しい顔をしたタイラントは、


「お主……魔法に魔法で返さんのか?」


 と、そう聞いてきた。


「返したいけど! 返せない! その様な余裕はありません!!」


 私は紫色のロッドをタイラントに向けたのだ。


 五発連射ですよ!? ファイアーボール五発連射すれば……良かったのかな?


 そんなの思いつかない!! あんなどでかい岩石が、飛んでくるんだもん! ムリ! パニックですよ!


「うむぅ……なめとるな? よかろう。本気で相手をしてやろう。」


 タイラントはぎらり。と、その黄色の眼をギラつかせたのだ。


 えぇっ!? ちがうっての!! なめてるワケじゃない!!


 あーもう! なんでこうカンタンにみんな、スイッチ入っちゃうかな!?


 もっとこうやわらか〜くいこうよ! 人生!


「“大地の震撃(アースブレイブ)”!!」


 右手を向けてきたタイラント。


 その瞬間、私の立つ地が揺れた。


 まるで地震。更に上から岩の塊が落ちてきた。


 地は浮き揺れる。


 これは……挟まれる!?


 そう。まるで天井落下に地面が浮き上がり、超高速で挟まれるパターンだ。


 潰される!!


 私は揺れながら浮く大地の塊。それから上から落ちてくる岩石。


 ロッドを向けた。


紅炎の弾丸(ファイアーボール)!!」


 これだと……上にしか撃てない!


 でも挟まれるよりはマシ!


 大きな炎の弾丸は、落ちてくる岩石にぶち当たる。でも壊れてはくれない。


 それどころか、私の炎の魔法のせいで岩石は、火に包まれ溶岩みたいになってしまった。


 さっきの話じゃないけど。これがキングシップのエネルギー。


 いや! 違うっての!!


 私はとりあえず向かってくる溶岩。火の岩石に、ロッドを向けていた。


 考えろ。えっと……これをどうにか、崩すのだ。壊すのだ。火を消すのだ。当たったら焼けるし、熱い!


 あ!!


「“水流の渦(アミュストリーム)”!!」


 私は水流の魔法。水の渦の噴射。それを放ったのだ。


 洪水とまでいかないけど! 岩をも砕く水の力!

 そう。それを思い出したのだ。


 でも、効いてはくれない。


 壊れる気配はない。ならば!!


「アミュストリーム!!」


 連射じゃ!!


 私はとにかく溶岩めがけて、ぶっ放した。お陰で、私の紅炎の魔法は消えた。自分のだからだろうな。


 ん? ちょっと待って?? 岩を砕くのは水もそうだけど……雷!!


「“サンダー”!!」


 私は稲妻。それを放った。落雷。それが頭に浮かんだのだ。


 属性のことはすっかり、忘れていた。


 水の噴射に続いての稲妻。でも、岩は壊れない。


「サンダー!! も一つおまけのサンダー!!」


 もう連射しかない!


 ぶつかる!


 私の目の前だ。


 岩石は本当に目の前にまで迫っていた。稲妻の魔法。それが撃ち落とされ、目の前で岩石は砕かれたのだ。


「きゃっ!!」


 コナゴナになってくれたのはいいが、岩の屑が吹っ飛ぶ。


 私はせり上がり上昇する岩の上に、頭抱えて倒れこんだ。


 とりあえず頭だけは守らないと! これ以上、バカになったら困る!!


「蒼華!」


 私をいつもひっぱたく飛翠の声が、聴こえた。


 崩れ落ちて石を投げられてるみたいに、身体に当たってくるけど、なんとか……おさまったみたいだ。


「きゃあっ!!」


 でも、せり上がって動いてた岩の塊。私がうずくまってる岩が、落下した。


 お……落ちてる! え!? どうなるの!?


 私はこのまま……地面に、落ちて岩石みたいにコナゴナになるんでしょうか?


 イヤなんですけど!!


 と、思っていると


「勝負あり!」


 そんな声が聴こえた。


 この声はカーミラさん?? 


 私の身体はその時。浮いた。うずくまったまま。


 更に下を見ると私のいた岩石。それが浮いていた。だが、消えたのだ。


「カーミラ。甘いぞ!」

「わかっておるだろう? お前にも」


 タイラントとカーミラさんの声だ。


 私は白い光。それに包まれて浮いていたのだ。そのまま、地面にふわっと着地した。


 ふと見ると、カーミラさんはローブを降ろしていた。顔が見えた。


 銀色の髪をアップにした小顔のキレイな女性。真紅のティアドロップ型。そのピアスが両耳で揺れる。グレーの眼が、私を見ていた。


 額につけたサークレット。紫水晶がおでこの真ん中でキラっと光る。


「蒼華姉様!」


 シロくんと飛翠。二人が駆けつけてきていた。私の身体を纏う白い光。それも消えていた。


「……助けてくれた……??」


 え? なんで??


 私は驚いていたのだ。でも、とっても助かった!! あのままだときっと、落ちてぺしゃんこ。はい。さよなら。だったはずだ。


 タイラントは私を見ていた。黄色の眼が、とても強い光を放っていた。


 でも、とっても不満そうだ。その顔は。


 はぁ。


 私は息を吐いてロッドを眺めた。進化した魔法の力なんて、見てる余裕なかった。


 でも……あれだけ撃ったのに、私の身体はまだフラついてない。これは……少しは成長したんですかね!?


「大丈夫か? ケガしてねーよな?」

「うん。大丈夫。なんとか。」


 飛翠はこの時ばかりは、とても優しい。いつもは、おっかないけど。


 私は、カーミラさんに目を向けた。


「あの……助けてくれてありがとうございます。」


 そう言うと、カーミラさんは


「助けた訳ではない。“必然”なこと。こちらへ。」


 顔はとっても綺麗なんだけど、やっぱり冷たい言い方だ。と言うか淡々としてる。


 私は結晶とカーミラさん。それからタイラントの方に、向かったのだ。


「致し方ない。力を貸してやる。」


 あらら。とっても不満そうだ。それにムッとしたままだ。おっかないなー。鬼。


 タイラントの身体は、金色の光に包まれた。


 消えてゆくその身体。コトン。


 足元に落ちる石。ブリリアントカット。ダイアモンド。そんなカタチだ。


 やっぱり綺麗なトパーズ。黄玉の煌めきをしている。バングルの穴。それに嵌めた。


 蒼、紅、黄。私の右腕には三色の宝石が煌めく。


 これで……。ようやく三人。支配者の力を借りる事が出来たのだ。


 ん? ちょっと待ってよ。あと何回これやんの?? まだ続くの?? 身体もつかなぁ??


 不安になった……。

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